プロジェクト・ヘイル・メアリー 下 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • まさか異星人との交流がこんなにメインの話になるとは予想外だった。三体を前に読んでたからかもしれない。
    めちゃくちゃよかった。audibleで聴いてるとロッキーかわいい…になる。その状況だったらなんか自分でもそうするかも…と思えた。かなりうるっとした。

  • プロジェクトには
    地球の運命がかかっていた。

    ライランド・グレースは
    どこかわからない場所で目覚める。

    次第に戻ってくる記憶。

    科学者であること。

    宇宙船に乗せられたこと。

    そして、アストロファージという
    未知の微生物が
    地球を危機に陥れていること。

    そして。
    接近してくる宇宙船があった。

    アンディ・ウィアーは
    科学的思考法をもつ主人公が
    危機に挑む物語を紡ぐ。

    行き当たりばったりではあるが
    負けてなるか精神と
    持ち前のユーモアで
    問題に立ち向かう。

    今回は地球をはるかに離れた
    宇宙空間で目覚めた男の物語。

    彼の肩には
    地球の運命がかかっていた。

    危機連発で
    ドラマチックで
    ポジティブで
    ユーモラスで
    最後は少し切なくて。

    だから、アンディ・ウィアーは
    こんなにも支持される。

  • この本はどうやってもネタバレになってしまう。どうしたものか。

    解決策を待っている間、地球はちゃんと協力しあって平和が維持されていたのか。
    予想通り、戦争とかしてしまっていたのか。
    気になるので、地球パートも欲しいところだけど。

    ロッキーの外見は、私の中ではなぜか蟹。甲羅という表現が何度も出て来たせいかもしれない。
    地球に戻ってヒーローになって、というエンディングではなく、環境が変わっても先生になっているところが、なんか心が柔らかくなる。

    ヘイル・メアリーに搭乗することを拒み、強制的に人類を救えと宇宙に放り出された主人公。最後に自分の意思でロッキーとロッキーの星を救うために自分の命を投げ出そうとする。地球で過ごした時間で築いた人間関係より、ロッキーと築いた関係が大切で深いものだったのだろう。友情とは一体何なのか考えさせられる。

    ストラットさんが歴史を専攻していて、そこからの考察も興味深い。実際、戦争になるだろうという予測は正しいと思うが、彼女は自分が生き延びようと他国を蹴落とそうとするであろう人間に深い失望を感じつつも、それでも地球を救うという使命に邁進するあたりが、強いなと感じた。自分が投獄されたり死刑になるリスクを犯しつつも、そこまで強くなれるストラットさんのその後が気になる。

  • 下巻を一言で表すと、異星人との友情物語です。
    壮大で夢があり、SF好きな人にはたまらないと思います。
    私は普段こういう夢のある雰囲気のSFは読みませんが、わりと楽しむことができました。

    感想を述べるなら「まるで王道ハリウッド映画のような物語」です。
    多くの者の希望を背負い、困難を乗り越えて突き進む展開が繰り広げられます。
    どんな苦難が生じても主人公は絶対大丈夫なんだろうな~~~という安心感があります。
    普通に楽しめます。

    繰り返しになりますが、ハリウッド映画が好きだと言う人は、本作も思いっきり楽しめるでしょう。
    昔ながらの王道ストーリーです。
    たまにはこういう綺麗にまとまっている物語を読むのもいいなぁと思いました。

  • 地球外の知的生命体との関係性の深まりが素晴らしい。問題解決の発想&チャレンジが豊かで面白かった。

  • ネタバレアリの感想を含む。
    この本は本当に前情報がなければ無いほど面白い。
    読み終わった時に後悔するので、まずは読んでほしい。



    その前提の上で、ネタバレアリの感想を。

    今作品、すごく秀逸な構成だ。
    冒頭、主人公は見知らぬベットで目が覚める。自分の名前、状況、全てが分からず、うろたえている中で物語はスタートする。そこから、少しずつ混濁する意識の中で自分の置かれている状況、目的がはっきりしてくる。

    こういう、意識が混濁した中で少しずつ物語が明らかになってくる、というのはベタな手法ではあるが、今作品はこの魅力を最大限に使っている。プロジェクトの状況、目的がわかってくること、つまり「あらすじ」がわかってくるだけで、読者は一種のカタルシスに陥る。

    そして、驚きなのは、このあらすじを徐々に分からせる、というのが、1つの伏線にもなっていたこと。ただの筆者の都合の良い演出ではなかったのだ。


    もう1つ、この物語の大きな魅力は、異星人であるロッキーとの「バディ」モノとしての魅力だろう。
    思えば、筆者の過去作、オデッセイにハマれなかった理由としてはこれがあり、今作品に自分が熱中した大きな要因だ。キャラ同士のドラマが最高なのである。

    やはり、ドラマはキャラ一人では生まれない。過去編に人間登場させたって、それは過去の話。どうしても限界がある。孤立無援の宇宙船で、じゃあどうやってドラマを誕生させるか。簡単だ。宇宙人とドラマを作れば良い。

    しかも、この宇宙人との出会い、親睦、これがご都合主義では決して無いところが、この作品の良いところだ。少しずつ、でも確実に相棒となっていくロッキーに、感情移入しない読者はいないだろう。

    そして、だからこそあのラストが輝く。SF「小説」である以上、どんなに設定が優秀でも、そこにドラマが、人間がいないと始まらない。そんな当たり前のことを感じさせる、素晴らしいラストだった。

    自分は、あのラストは嫌いじゃない。想像の余地もあるし、少なくともバットだと感じる人はほとんどいないだろう。

    あの規模のストーリーで全てに納得がいく物語を書き上げた作者に。癖の強いウォッカを飲みたくなってきた。

  • 映画化された「火星の人」、「アルテミス」に続くアンディウィアーの長編三作目。太陽光の指数関数的な減衰が観測されてから、主人公が系外の恒星へ原因を探りにいく単純な物語かと思いきや、まさかの展開が待ち受ける。前二作と比べると舞台のスケールが広がり、地球との関わりは薄め。サイエンスを駆使して難局を乗り切るプロットとそれに確からしさを与える情報の数々は著者の作品に一貫して健在(おそらく粗を探そうと思えばあるけども)。え、そうなるのの連続であっという間に読み終える徹夜本。

  • 下巻では宇宙人”エリディアン”ことロッキーとのバディものとなって、アストロファージの捕食者”タウメーバ”回収ミッションに。回想パートでは、なぜグレースがこの決死のミッションの乗組員となったか?という謎にも迫りだす。巻末解説に「科学実験の楽しさがそのまま小説になっている」とあったが、科学のロジックで局面を打破していく展開は、研究者の思考がそのまま小説にもなりうるということで、自分も研究者の端くれとして楽しく読んだ。

    人類とは別の知的生命体とはどのような生き物なのか?どのようにコミュニケーションを取りえるのか?といったあたりが気になる所だが、人類より賢い...といった単純な話ではなかった。そもそも惑星の特性が異なるという所から出発して、真っ暗な惑星に住む種族のために視覚ではなく音波によって会話をする生き物で、全身は惑星の高温にも耐えられるように岩石のようなゴツゴツとした表面に覆われていると説明される。エリディアンは視覚がないから宇宙への興味が今までなく、初めての宇宙圏活動(そして放射線も知らずクルーがほぼ全滅)だったという話もなるほどなと。

    ※ライアン・ゴズリング主演、フィル・ロード&クリス・ミラー監督による映画化でどのような造形で描かれるかとても気になる。

    人類よりも科学は発展していない(相対性理論も知らない)が記憶力が良いとか、寝る時は見ていてもらわないとダメとか食事は恥ずかしい行為なので1人で行うとか、文化が違うのも楽しい。また、それが意外にも典型的なバディものとして見えてくるのも新しいのではないか。

    窒素で死んでしまうタウメーバを、窒素耐性を持つように進化・繁殖させるが、実験ケースを通過できるようにも進化してしまい、その捕食者がエンジンに入り込むことでエンジン内のアストロファージを食い尽くしてしまい大ピンチになる...というのが下巻のパニックポイント。バディを救うために自ら死の覚悟で戻る場面はきっと映画でも胸熱場面になるだろう。帰還のための食糧が足らないという問題に関してはまさかタウメーバを、後には自らのクローンを(ミーバーガーとして)食べて生き残ることになるとは思いもしなかった。他の惑星で、人類以外の知的種族に教師として授業をするラストは、見事な円環構造として良い終わり方だった。

    上巻にて個人的に好きだった回想パートにも触れておきたい。記憶障害は逆行性健忘を引き起こすフランスの尋問薬によるものであったことが明らかとなり、グレースは無理やり送られていたことを思い出す。その際にストラットによって語られる人類絶滅のビジョンは、食糧危機が深刻化することで食糧をめぐる戦争が起き、戦争が農業を破壊することで人類は自滅に近い形を取るというものだが、まるでロシア-ウクライナ戦争を予見していたかのようだ。

    とはいえ、プロジェクトヘイルメアリーのような途方もない計画は国境を越えた人類の連帯なくしてはできなかったはずで、宇宙ではそれが知的生命体の種族すら超えた連帯として表現される。分断の時代に読まれるべき一冊だろう。

    ※備忘的に書いておくが、スピンドライブにはロシア人、宇宙船内に重力を発生させる遠心機の設計にはノルウェー人、生命維持装置はタイ、ビートルという自律型小型宇宙船はカナダ、乗組員リーダーは中国人、全体リーダーのストラットはオランダ人。最初期の太陽の異変発見やジェネレーターに起こりうる不具合の報告にJAXAはちょくちょく登場。

  • 「火星の人」で一躍有名になったアンディウィアーの最新作。今回も火星の人と同様、宇宙が舞台のSFであるものの、恒星間航行を伴った、よりスケールの
    SFとしてのスケールの大きさを伴いつつ、独特のリアリティを持たせたうえで、ハラハラする展開をコミカルに描いているのは、まさにアンディ・ウィアーといったところ。

  • よかったよ。

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