むらさきのスカートの女 (朝日文庫) [Kindle]

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.45
  • (45)
  • (132)
  • (143)
  • (38)
  • (10)
本棚登録 : 1271
感想 : 194
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (157ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「なにも起こらないのに面白いと話題」と帯に書いてあったので本屋さんでずっと気になっていました!
    読んでみると本当に別段なにも起こらない、です。
    でも、何か面白い。
    「むらさきのスカートの女」を私自身も近くで一緒に見ているようなリアル感、そして実は実際に私のすぐ近くにもむらさきのスカートの女がいるんじゃないかな?と不思議な感覚になってきます。

  • 近所で有名(?)な通称「むらさきのスカートの女」を観測し時に支援し続ける自称「黄色いカーディガンの女」の物語。

    文体は明るく読みやすいのに静かな狂気を感じる不思議な物語。主人公の行動は計算なのか無自覚なのか…この不気味な人間がこの世のどこかに実在しているように気にさせられる。

  • 表紙に惹かれて読みました。
    むらさきのスカートの女よりも主人公がどこへむかいたいのか、理解し難かったです。一体、主人公がどういう人なのかが気になりました。

  • 短い話だったし、展開が読めず一気読み。これは……一体何を読まされたんだ……という不思議な読後感が魅力なんだろうな。狐に化かされたというかなんというか……この読後感は今村作品でしか味わえない気がする。何でこんなに不気味なんだろう?(褒めてる)
    随所に現れる「黄色いカーディガンの女」の不穏な発言にドキドキしつつ、女社会の汚さに辟易し、そして迎える結末になんとも言えない気持ちになれる。

    巻末のエッセイも読んだけど、今村さんって本当に陰キャで本当に独創的でユニークな方なんだろうな(褒めてる)

  • 不思議な空間に引き込まれる

  • 第161回芥川賞受賞作

    奇妙な読み心地で新鮮な小説でした。
    なにやら怪しげなむらさきのスカートの女に興味を持ちつつも、読み進めるとじわじわと感じる主人公の異様さ。
    職場での主人公は、おそらく目立たず地味で印象の薄そうな人なのに、彼女の目線で描かれた日常は狂気的。
    外見からはわからない人の裏の顔を見た気分でゾッとします。

  • 題名から気になっていた作品。
    主人公がむらさきの女に距離が近過ぎて、最初は幽霊か!?と疑ったが、違った!笑
    むらさきの女は、蒼井優さんに演じてほしい笑
    子どもとりんごを分け合うシーンが好きだな。

  • 不思議なテイスト。芥川賞受賞作にしては読みやすいなあと感じた。

    近所に住む『むらさきのスカートの女』の素性が気になって仕方ない『わたし』。彼女を観察してわかったことが綴られていく。

    『むらさきのスカートの女』の行動は少し変わっていて、地域の人からもそういう人だという認識で見られている様子。

    たしかに行動はちょっと風変わりな感じがするものの、仕事の話になってくると印象が変わってきた。そのうち、意外と普通の女性なのかもしれないとも思えてきた。

    むしろ『わたし』の方が逆に気になってきたりして。

    後半の展開、面白かった。そこはかとない怖さも感じたなあ。


    巻末には、芥川賞受賞記念のエッセイがいくつか載っていて、こんな風に作品が生まれるんだなと興味深かった。「ぐるりと回るレストラン」の流れは何だか「むらさきのスカートの女」に出てくる『わたし』が思いそうなことに感じたし、私自身もこういう小さな葛藤ってするよと思って変に感情移入した(笑)。

  • (受け取ったメッセージ)

    気になったり、好きになったりする人は、
    自分の足りない何かを補ってくれる部分を持っている人。

    黄色と紫は補色。
    カーディガンとスカートは上下一対。
    「むらさきスカートの女」は存在感があり、
    「きいろいカーディガンの女」は存在感がない。

    「わたし」には、今まで歴代気になる人がいて、
    姉、フィギュアスケートの選手、小学校、中学校にも「むらさきスカートの女」に似ている人がいた、と思った。「ともだちになりたい」と表現しているが、この信頼のできない語り手は、その相手に浸透し、融合したいと思う気持ちを「ともだちになりたい」と表現しているだけではないかと思う。だからストーカーのように相手にロックオンし、観察している。

    表紙では、2人が一つのスカートに入っている。
    2人で、1つ。
    むらさきスカートの女はいなくなり、
    むらさきのスカートの女に代わって、
    「わたし」が座っていたベンチに座る。
    これは狂気の持ち主の彼女の中では、融合に成功したと言えるのではないか。



    (あらすじ)
    「むらさきスカートの女」と友達になりたい「わたし」。彼女と「ともだち」になるために、彼女を誘導していく。むらさきスカートの女は、「わたし」よりも職場に馴染んだり、上司に気に入られたり、挙げ句の果てに不倫したり。「わたし」はむらさきスカートの女に執着する割に、まったく彼女とかかわらない。ピンチに陥れ、彼女を逃し、自分も一緒に行こうとするが、叶わなかった。今度は「わたし」が「きいろいスカートの女」になって、むらさきスカートの女がすわっていたベンチに腰掛ける…


    (感想)
    読み進めると語り手のストーカー気質にざわざわする。むらさきスカートの女のほうは、きっとまぁまぁ社会に適合できる普通の女なんだろう。反面「わたし」は、他の人にとって存在感がない。

  • ちょっと私には難しかった。読み手側の想像力がスゴく必要みたい。
    字面だけ追ってもダメみたい。

    本当は。主人公は誰?どうなったの?分かりませんでした。

    まあ、いますよ。近所に、特徴持った人たちは。

全194件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

今村夏子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
凪良 ゆう
夕木春央
呉勝浩
今村 夏子
川上 未映子
宇佐見りん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×