月の満ち欠け

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 477
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000014083

感想・レビュー・書評

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  • 映画化ってなってのと感動みたいなこともあって読んだけど私にはサスペンス的だった。

    瑠璃と言う女性が好きだった人の元へ転生を繰り返して会いに来るのだが

    時代が急に変わったり登場人物多くて簡単に読めなかった。

    ちょっと先でないかな…

    自分の産んだ子が、誰かの生まれ変わりで
    その人の元へ行っちゃうなんて、親としては寂しすぎるじゃん。

  • ブク友さんからのお薦めで7月15日に図書館でリクエスト。
    今月の20日にようやく手元に届き、遅読の私が2日間で読了。
    早い人なら半日もかけずに読み終えるだろう。
    ページをめくる手を止めて考え込む場面など、ひとつもない。
    それほどさらさらと読めるというのは、作者さんの確かな力量あってのものだろう。
    とにかく読みやすい。
    輪廻転生をテーマにした恋愛ファンタジーとでもいうのだろうか。
    多少ミステリーの要素もあり。
    割と使い古されたモチーフだが、情念に溺れず、かと言ってドライにも傾かず。
    「どうなる?」と展開を予想させる精密なプロットと絶妙な筆致で、上手い作家さん
    だなぁと感心しきり。

    物語は「瑠璃」という女性の生まれ変わりを軸として進む。
    ただこの女性が登場するのはお話が四分の一ほど進んでから。
    生まれ変わりのおかげで四苦八苦&右往左往する家族(特に男性は被害者と言っても
    良いほど)たちの方に、むしろ視点は多く当てられている。
    また、「瑠璃」がそれほどまでに相手に思いを残して死んでしまったのは「不倫」
    ゆえであり、その代償かと思うほど輪廻転生もなかなか首尾よくはいかない。
    ここまで周囲を混乱させてまで転生したいのかと少々辟易もするが、登場する家族たちの
    会話や回想から見えてくる細やかな心の機微が甘く切なくて、読みどころはこちらかと。

    興味深いのは、三度の転生が全て幼い少女の身を通して行われること。
    読み手としては、ここがもどかしいところ。
    たぶんこうなるだろうという着地点だったが、不倫相手はすでに中高年の域。
    対して、幼い少女である。この後の展開は・・相当辛くなりそうだ。
    ただ、序盤から登場している「小山内」という男の、ラストのエピソードにはじわっと来た。
    こちらを膨らませてもうひとつ書いてほしいくらいだ。

    自分自身で言えば、輪廻転生などしたくないな。
    他人の人生を乗っ取ってまで、自分の思いを遂げたくない。
    満ち欠けする月のように生まれ変わるよりも、樹木のように穏やかに満足して生きたいと願う。

    今回思いがけず直木賞受賞作品を読むことになってしまったが、それが妙に
    恥ずかしくて(笑)読んだのは内緒にしようかと思ったほど。
    でもお薦めしてくれたブク友さんを思い出し、感謝を込めてのレビュー。
    本当に久々の「小説読み」は新鮮な体験だった。

    • vilureefさん
      nejidonさん!!
      まあ、何と言うことでしょう!
      nejidonさんの本棚にはけっして並ぶことのないようなたぐいのレビューが!
      ブ...
      nejidonさん!!
      まあ、何と言うことでしょう!
      nejidonさんの本棚にはけっして並ぶことのないようなたぐいのレビューが!
      ブク友さんて私のことですよね?
      それなのに、今日までブクログ放置していて、ごめんなさいm(__)m

      いやー、でもうれしいな(笑)
      まさかまさか、読んでくださるなんて。
      ☆の評価はさておき、ページをめくる手が止まらなかったということは合格点かな(*^_^*)

      >今回思いがけず直木賞受賞作品を読むことになってしまったが、それが妙に
      恥ずかしくて(笑)読んだのは内緒にしようかと思ったほど。

      いやいや、恥ずかしいなんておっしゃらず(笑)
      とっても嬉しいです!!
      長年nejidonさんをフォローしていらっしゃる方々はびっくりされたかもしれませんが(^_^;)

      私こそ感謝です。
      たまにしか顔を出さない私でも、ブクログに帰ってくればnejidonさんがいて、こうして素敵なレビューを残してくださる。
      あー、嬉しい。
      今日はいい日になりました!
      2017/09/26
    • nejidonさん
      vilureefさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます。とっても嬉しいです!
      はい、ブク友さんというのはvilureefさんの...
      vilureefさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます。とっても嬉しいです!
      はい、ブク友さんというのはvilureefさんのことですとも!!
      予約を入れてから直木賞を受賞されて、かなり焦りました。
      こりゃ、えらいこっちゃ!
      そんな作品なら、別に私が読まんでもええんちゃう?他にもおるやろ!
      でも心に決めたことなので、しっかり読ませていただきましたよ。
      星の数はご覧のとおりですが、佐藤さんという作家さんの巧みさは
      おおいに堪能させていただきましたよ=
      あはは、そうですね。他のブク友さんはびっくりされたかもです・笑

      いやいや、このレビューでvilureefさんにコメントをいただくなんて、
      ものすごく恥ずかしいです。テレテレです、もう。
      普段は手を出さないような作品も読むことが出来るって、ブクログならではですよね。
      自分の世界が広がったようで、とっても新鮮な機会でした。
      どうぞまた、面白い本に出会えたら教えてくださいね。
      2017/09/26
  • 入り組んでるストーリーを書ける作家さんは本当にすごいなと尊敬する。
    それぞれの関わり合い方が繊細だし、憎めないキャラを作り出すのが上手。

  • レビューを見て読んでみた。
    好きか嫌いかと言われたら、嫌いじゃない。
    けど好きかと言われたらわからない。

    生まれ変わりは抵抗なく受け入れて読めたが、
    実際自分の家族が誰かの生まれ変わりで、元の人生の思い残しのためになりふり構わず行動しだしたら素直に協力できるか自信がない。

    だいたいは小山内さんみたいに妻の話を信じないで精神的に参ってると決めつけてしまうんじゃないかな。そして外でそんなこと言うなよ!って口止めする。

    瑠璃は三角に会いたい一心で三度も生まれ変わった。
    確かに皆さん書いているように、そこまで執着するほどの関係かなと疑問に思う。
    育ってきた環境、正木との夫婦関係を考えると、わずかな愛(と思い込んで)にすがるような感じだったのか。会えないからこそ執着したのか。
    相手の大学生が自分と同じ熱量でいてくれるかわからないのに。

    最後に小山内さんが自分のまわりのサインに気づきかけていたが、もし私だったらと考えると怖かった。
    そういう目で家族や友人を見たことがないし心当たりもないけど、ふと気づいたら怖いだろうな。


    興醒めなことを書くと、舌を出して笑う女性に出会ったことがない。男性作家ならではの女性の仕草ではないかと思ってしまった。

  • [瑠璃も玻璃も照らせば光る]
    愛する人に再び巡りあうために、月の満ち欠けのように何度も生まれ変わる瑠璃。

    なんとも言えない読後感でした。
    そこまでして彼に会いたかったのか…
    その強すぎる意志が、空恐ろしさにつながってしまう。

    個人的には輪廻転生を信じたいので、わからなくもないけれど、
    瑠璃という女性のエキセントリックさに、今一つ寄り添えなかった。
    不倫という意識が邪魔をしてしまうのかもしれない。
    小山内のこの後が気になってしかたなかった。

    2017年度上半期、直木賞

  • 最近は、一晩寝ると次の日、物語の前後の繋がりがちょっとわからなくなる。
    いつものように毎晩少しずつ読むパターンだとこの物語は、あれっこの瑠璃は??となって、え〜っとこの娘は瑠璃で、きれいなお姉さんも瑠璃で……と、こんがらがってしまった。
    ちゃんと理路整然と読めてるひとが羨ましい。

    星が少なめですみません。

  • 生まれ変わりを描き直木賞を受賞した有名な作品です。
    佐藤さんだから当然上手い。短歌の選択など秀逸です。でもなんかピンとこない。読み終えて淡々と「ははぁ、そう来ましたか」という感触です。なんだろうな~と思っていたら受賞時の高村薫さんの評に当たりました。なるほど~と膝を叩いて、転記します。
    「いかにも小説的な文体のわりに意外なほど人間の体温に乏しい。生まれ変わりという主題がそのまま小説の動力になり、躯体になる一方で、自分が生まれ変わりだと知った人間の驚きや苦悩が一切描かれていないことに因るが、ベテラン作家のこの企みの目的は奈辺にあるのだろうか。」「技巧的で、かなり不気味なこの作りものの世界は、作者の真骨頂ではあるのだろうが――。」
    確かに映画化には向いていそうです。

  • 前世の記憶を持ったまま何度も生まれ変わり、好きだった(不倫)男との再会を果たすまで。
    愛故というよりも、執着の方を強く感じた。そこまで??そんなに好きだったの??みたいな、生きてる時の好きで好きで仕方ない感が伝わってこなくて。
    でも映画は配信で観る。洋ちゃんだからね。

  • ずっと前から本棚に入れていて
    最近映画にもなっていたし読んでみた。

    こんな感じなのかー!
    予備知識なしで読んだので面食らった。

    登場人物の関係性が覚えられなくて
    少しゴチャついたけど
    面白かったのは面白かった。

    受け入れられない部分もあり、
    最後は、うーん。。
    ハッピーエンドなんだろうけど
    別の視点からしたらとんでもない話で。

    映画も観たかったけど、どうしようかな笑
    ほっこりあったかいとはまた違う、なんとも言えない読後感。

  • 読みやすかった。
    瑠璃という女性の意識が次々と引き継がれていく話。
    構成は面白い、ただ、死んでも他の人となって生まれ変わるほどの恋愛かしら?ってところが疑問。

著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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