憲法を変えて戦争へ行こう という世の中にしないための18人の発言 (岩波ブックレット657)

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  • Amazon.co.jp ・本 (62ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000093576

感想・レビュー・書評

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  • 憲法9条を改正しようという動きは、いまはあまり耳にしませんが、本書の18人の提言者のひとり、姜尚中さんが個別案件でちょこちょこ法律を作ることも「改正」してるんだと書かれた文に、そうやって”いつの間にか”9条に手が付けられるんじゃないかという怖さを思いました。
    よく、日本国憲法はアメリカが作ったもんだから、改正したいということも聞かれましたが、美輪明宏さんは、アメリカ人でも何人でも「人間が作ったものだから」良いものはそれでいいといわれています。国会で圧倒的多数で承認したのは日本人なんですよね。
    この9条をはじめ、憲法の前文も含めて「平和憲法」と言われる日本国憲法は、もはや日本だけのものではありません。例えばコスタリカは、日本国憲法を手本に、軍隊を廃止したといいます。井上ひさしさんは憲法は「みんなの励み」だといいます。
    平和憲法はいわば”理想”です。その理想をどうやって現実化するのか?その宣言だと思います。”言ったもん勝ち”で言い続けたら現実化するかもしれないし、しなきゃいけない……。そんな単純なものじゃないかもしれないけど、良いものを簡単に変えるとか言っちゃうと、憲法の存在意義が無くなっちゃう気がします。
    18人の中の発言じゃないけど、戦争は経験してるかだけじゃなくて、理解できるかが重要だと言っていた人がいて、そのとおりだと思います。
    森永卓郎さんの、9条は最も「美しい法律」というのと、ピーコさんの「9条が大好き」という文が心に残りました。人類の最も美しい感覚から作り上げた芸術ともいえるし、理屈じゃなく好きというのが、なにか人間の大事な感覚からの言葉のような気がします。

  • このブックレットを買ったのはもう随分前だが、冒頭の発言者が中村哲さんだった。中村さんの言葉は、数多の政治家その他の人たちが机上で語るようなものとは比べ物にならない強さを持っている。

    「実際に、戦争をしない国・日本の人間である、日本人である、ということに守られて仕事ができた、ということが数限りなくあった」「9条を変えて『軍隊を派兵できる普通の国になるべきだ』という論理の、その『普通の国』の意味がよくわかりませんね。そんなことを言うのは”平和ボケ”した、戦争を知らない人たちの意見なのではないでしょうか」

    護憲派を「平和ボケ」と断じる言説を時折目にするが、中村さんはその同じ言葉を使って、そのような意見を一蹴する。

    美輪明宏さんの心からほとばしるような言葉を、今の為政者はどう聞くのだろうか。

    「今の政治家は戦時中の軍人と同じです。そういう連中が、憲法改正、改正と言って、また日本を戦争にひきずりこもうとしている。彼らこそ非国民です」「次は徴兵制度でしょ」「いいじゃありませんか、自分の夫が、ボーイフレンドが、わが子が、孫が、家に帰ったら赤紙一枚で出征させられて」「また戦時中と同じように、日本中が老人と女子どもだけになればいいんです」

    敗戦後75年となる今年。本書は15年前に刊行された小冊子だが、今でも一読に値する。

    ちなみに「憲法変えて戦争へ行こう」というタイトルが秀逸。実際には小さいフォントで「という世の中にしないための18人の発言」と続くのだが。

  • 姜尚中さんの「憲法は理想を掲げる物」という意見が、ストンと心に入ってきた。

  • 憲法「改正」に反対する18人の著名人による18通りの声明。
    玉石混交。ただこう思うと述べるだけの「石」も、その存在を表明することに意味がある。
    「玉」のほうはアメリカに作られたという出自よりも変えずに受け入れて育んできた育ちのほうが大事だろうよと説く三輪明宏や姜尚中、丸腰の守りを説く中村哲とか。

    渡辺えり子の、反対を大きな声で言えないとか、言ったら仕事がなくなるって状況はおかしいでしょうというものすごく当たり前な言葉がかっこいい。これは9条を守れといえないというよりは、政治色を出すと干されるってことじゃないかと思うんだけど。
    その後に読むと、品川正治の「経済界にも護憲派はけっこう居るよ、ただちょっと立場上大きな声で言えない人が多いだけで」という話がとても幼稚なものに見える。じゃあどんな立場になったら言えるようになるの?

  • Blog<a href="http://blogs.dion.ne.jp/calimero/archives/1750527.html " target="_blank">"蚕の桑"2005-08-25</a>(蚕)
     小学六年の社会の教科書だったと思うが、一番後ろに、小さい字で資料として日本国憲法全文が載っていた。小学校の教科書としては、子ども向けに「やさしく」書き直してあるのではない原典資料というのは、そこだけとても「マニアック」な印象で、大人と同じ世界にいる感じがして、私はこのページが「好き」であった。<a href="http://blogs.dion.ne.jp/calimero/archives/1750527.html " target="_blank">...続きを読む</a>

  • 電車で読んでたらすごいガン見された・・・(笑

    やっぱね、実際に戦時に生きてた人はみんなよくないって言ってるんだからダメなんじゃないの、と。

  • 戦争はいやだ!この本を読んで、憲法とか政治とかに少し興味を持てた気がする。

  • 「子どもたちのだれかが」という詩に妙に納得

  •  なんちゃって護憲派なわたしだが、結局平和は大事だというような趣旨の意見を沢山読んで、ちょっと明るい気分になった。今度は改憲派の意見も何か読まなくては。

  • 狙ってつくっているのがよく判る本です。この本づくりに参加している人たちの危機感も。私には一番最初に語られた中村哲さんの「私たちは憲法を護らなければいけないのではなく、憲法に護られているのだ」という実感が強く印象に残りました。
    どうも、他のレビュアーの方の意見を見ていると、専門家でもないのに戯言を、的な意見が目に付くのですが、国際政治の専門家でなければ、戦争について語ってはいけないのでしょうか?戦争が始まってしまえば、即、身近に火の粉が降りかかるのは誰しも同じです。それが「嫌だ」と言って「やめましょうよ」と主張して何がいけないのか、と思います。自分は公平で、公正である、この本の著者の論は偏っている、などと言う人ほど、戦争という問題を他人事だと考えている気がします。あなたは隣の人間が死んでも良いですか?誰か知らない人間を殺すことが出来るのですか?話は切羽詰ったところまで来ています。

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