- 本 ・本 (592ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041009772
作品紹介・あらすじ
★2022年、ハリウッド映画化!!★
主演:ブラッド・ピット
監督:デヴィッド・リーチ(『デッドプール2』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』)
邦題:『ブレット・トレイン』(原題:BULLET TRAIN)
★英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳部門 ショートリスト作品(最終候補作)(英題『Bullet Train』)
殺し屋シリーズ累計300万部突破!
東京発盛岡着、2時間30分のノンストップエンターテインメント!
幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。
小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテイメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!
『グラスホッパー』『AX アックス』に連なる、殺し屋たちの狂想曲。
感想・レビュー・書評
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本格的に仕事が始まって、ぐっと読書のペースが落ちてしまった。
10年ぶりの再読。
初めて単行本として出版されたのは2010年。本棚から単行本をぐいぐい引っ張り出してみた。一度しか読んでいないだけあって、超美本。しかしとても残念なことに、全く覚えていなかった。
今回、文庫版を読むにあたって事前に「グラスホッパー」を読んで、続く「AX」に備えていたのに、「グラスホッパー」と本作品との間に様々な作品を読んでいるうちに、せっかく事前に読んだ「グラスホッパー」を忘れかけていた。めちゃ悲しい。
今回の舞台は、殺し屋をたくさん乗せた東北新幹線。東京から盛岡までの約2時間半、総分量、文庫にして約570ページ。ものすごい重量感。
6月、わたしは自分なりの幸福の答えを出すことに必死で、自分と向き合う作品を多く読んでいて、少し疲れていた。それで、いつも間違いなく最高のエンタメを提供してくれる伊坂幸太郎作品を読むことにしたのだけれど、内容をすっかり忘れているだけあって、この作品を選んでしまった。そして王子によって、わたしの心は、かなり序盤で打ち砕かれた。
解説で佐々木敦さんが「伊坂幸太郎は、この作品を通して、なんとしても語りたいテーマ、いや、もっと正しく言うと、なんとかして考えたいテーマがあるのだ。語り方から語られたものへ、形式から主題へ。一言で言えばこの転回こそ『グラスホッパー』から『マリアビートル』へと至るあいだに、伊坂幸太郎に起こった変化なのではないかと思う」と言っていて、「彼は『悪』に立ち向かうための方策を、その小説によって探し続けている」としている。
つまり、「グラスホッパー」では、鈴木の悲しい過去はありつつも、個性あるキャラクターや、佐々木氏が言うところの「語り方/形式」によって、かなりエンタメ性が高い作品になっていた。しかし本作品では、蜜柑や檸檬、七尾が新しい個性的なキャラクターとして作品にエンタメ性を持たせつつ、一方で王子というサイコパスを登場させることによって、人の心を踏みにじってくる奴との闘いや、「なぜ人を殺してはいけないのか」という答えを出しきれない問い=「語られたもの/主題」をぶつけてきている。この部分がきっと、佐々木氏の言う「『グラスホッパー』から『マリアビートル』へと至るあいだに、伊坂幸太郎に起こった変化」なのだろうと思う。
大切なものを守るために、悪とどう立ち向かうのか。理不尽な出来事や人と対峙した時に、どう立ち向かうのか。最近の伊坂作品に通ずる表現が、ここにもたくさん溢れていた。
いつものスカッとした読了感を得られずに、ちょっと悶々としている今日この頃。次はもっと早めに、「AX」に入らないと。この分量を忘れちゃうのはしんどい。
最後に。この本を読んでいる間に起こったとても悲しい出来事。三浦春馬くんの訃報だ。
彼は、伊坂幸太郎作品とのつながりでいうと「アイネクライネナハトムジーク」に出演されていた。わたしは映画は観ていないし、春馬くんの大ファン、というほどではないけれど、相当なダメージを受けている。まだまだ立ち直れそうにない。
心より、ご冥福をお祈りいたします。詳細をみるコメント14件をすべて表示-
naonaonao16gさんあのドラマ最後まで見てなくて…( ˊᵕˋ ;)あのドラマ最後まで見てなくて…( ˊᵕˋ ;)2020/08/04
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naonaonao16gさんあんまり覚えておらずです…すみません、せっかくコメントくださったのに…m(_ _)mあんまり覚えておらずです…すみません、せっかくコメントくださったのに…m(_ _)m2020/08/04
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りまのさん私もです。お気になさらずに。私もです。お気になさらずに。2020/08/04
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今月下旬に伊坂さんの殺し屋シリーズ第四弾『777』が出るので再読しています。
この『マリアビートル』はプロフィールの自己ベスト3に入れているにもかかわらず、忘れている所の方が多かったです。『マリアビートル』はブク友さんにお勧めしまくっていた記憶があります。ごめんなさい。
東北新幹線<はやて>に乗っている間に殺し屋同士が一人の極悪な中学生、王子慧に鉢合わせます。
元殺し屋の木村雄一の息子の渉6歳は王子に屋上から落とされ意識不明で入院しています。
王子は木村に「自分に何かあったら渉の命はない」と脅します。
木村はそれで王子の言われるがままになります。
他に殺し屋コンビの檸檬と蜜柑。檸檬は機関車トーマスが大好きで、蜜柑は文学好きというキャラクターです。
あとはボスの殺し屋の峰岸からトランクと息子の身の安全を頼まれている七尾と真莉亜。
他にもスズメバチなど、殺し屋がうじゃうじゃしています。
その殺し屋たちが極悪非道の中学生王子の悪運の強さと悪知恵に負けて、どんどん新幹線の中で死体となっていきます。
殺し屋シリーズ第一作の『グラスホッパー』に出てきた鈴木先生とアサガオ(漢字変換出ない)も登場します。
鈴木先生はとてもいい味を出していると思います。
以下ネタバレ含む感想です。これから読まれる方はお気をつけください。
一回目に読んだ時は最後に王子がどんどん追いつめられていくのが痛快だと思ったのですが、王子は思ったよりそんなにひどい目には遭っていなかったです。におわせる程度で王子がどんなひどい目に遭ったかははっきり描かれていません。伊坂さんらしい配慮だと思いました。
殺し屋たちの中でもキャラクターの際立っていた檸檬と蜜柑を偲ぶラストシーンは覚えていました。
『マリアビートル』とは英語でてんとう虫の意味です。-
naoちゃん♪
『AX』もしかして、読んでなかったのかも、と思い始めてます。
単行本の表紙、絶対に見た記憶あるのに、家の本棚にないから、『...naoちゃん♪
『AX』もしかして、読んでなかったのかも、と思い始めてます。
単行本の表紙、絶対に見た記憶あるのに、家の本棚にないから、『AX』だけ、文庫買いなおしました…。2023/09/11 -
2023/09/11
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2023/09/11
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あーーーーー
ムカムカしてたーーーーームカ~~~(ง"`罒´)ง
憎ったらしい坊主が出てくるんだけど、そいつがどう成敗されるかを見届けたくて読み続けたよ٩(๑`ȏ´๑)۶
それこそが、伊坂幸太郎さんの目論見でしょうけれど。
でも、大人がバカに見えるお年頃はあるのかもしれません。自分もそうだったかも。
今や、この憎ったらしい坊主がバカにしたくなってしまうお年頃になった私は、この坊主くんが憐れにも思えてしまうけれども、多かれ少なかれ、こういうこと繰り返されることなのでしょうね。大人の矛盾に気付いて自分も大人になっていくみたいな……
まぁ、この坊主くんは、度を越しすぎちゃってるので成敗すべし(`・ω・´)フンッ
「なぜ人を殺してはいけないのか」
『グラスホッパー』の鈴木さんの答えが見事でした!
アル中の木村のお父さん、お母さんもカッコよかったし、やっぱり年の功!頭でっかちな坊主くんには分からないことがあるんだぞ!経験がものを言うのだ!-
こっとんさん(^▽^)こんにちは
坊主は憎たらしかったですね!
私は殺し屋シリーズで最初に読んだのが、マリアビートルでした。777の前に。
...こっとんさん(^▽^)こんにちは
坊主は憎たらしかったですね!
私は殺し屋シリーズで最初に読んだのが、マリアビートルでした。777の前に。
鈴木さんは、グラスホッパーと聞きました。いつか読みます!AXも、順番滅茶苦茶(^^ゞ2024/03/02 -
アールグレイさん、こんばんは♪
坊主、ホントに憎ったらしかったですよね!
私は今「AX」読んでますよー(о´∀`о)
「777」も手元にある...アールグレイさん、こんばんは♪
坊主、ホントに憎ったらしかったですよね!
私は今「AX」読んでますよー(о´∀`о)
「777」も手元にあるし、順調に読み進めていってます。
殺し屋シリーズ、なんだかクセになりますね(≧∇≦)2024/03/02
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伊坂幸太郎さん著、殺し屋シリーズの二作目。前作「グラスホッパー」ではある程度の殺し屋達の苦悩や混乱が読み取れたが、今作品は大きくエンターテイメントに振り切った様な作品だなと感じた。だがそのエンターテイメントが抜群に面白かった。
舞台は東北新幹線「はやて」東京~盛岡間の約3時間の幹内。クローズドサークル系とも違うなんとも形容のしようがない状況での物語。そこに殺し屋達が集結し物語が展開される。しかし何故か暗黒さや物騒さはあまり感じない。伊坂マジック全快で殺し屋達の内面や言動がポップでユーモラスに描かれているからだろう。
今作品は木村、果物(蜜柑と檸檬)、天道虫、王子の4人が物語の主軸。そこに別の殺し屋「狼」「スズメバチ」「木村夫妻」も加わる。前作の「鈴木」も搭乗している。更に「槿」も絡む。凄すぎる。
読後、作品名「マリアビートル」、天道虫の事が気になった。前作の鯨や蝉や槿にも意味を感じていただけに何かあるのでは?と調べてみた。
「幸運」「出会い」「幸せの象徴」「死者の生まれ変わり」「復活」等々。なんか全て今作品に意味が含まれている気がする。作者の知識量に脱帽、流石だなと感じる。
その中でも「ナナホシテントウ」=運気が変わるというのも見つけた。
不運続きで描かれていた七尾だが、生き残りやはり「幸運」なのだろうと読み取れる。最後の檸檬からもらったくじ引き券がそれの象徴かな?くじ引きして当たったのが果物(みかんとレモン)。「死者の生まれ変わり?」「復活?」笑える。
もしかして蜜柑と檸檬っていう人物像も芥川龍之介「蜜柑」と梶井基次郎「檸檬」をなぞらえているのかな?
考えれば考えるほど奥が深すぎる。
最高のエンターテイメントだと感じた。
次作の「AX」も大きく期待している。
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殺し屋シリーズ第2弾!
映画観てから読んだ!
しかし、個性的なキャラクター多いな!
こんな個性豊かな殺し屋達が、新幹線という閉鎖空間にいっぱいおったら、はちゃめちゃになるな。
前作と同じで、キャラクター単位の目で話は進む!
前作で登場した殺し屋も登場。寺原の組織「令嬢」が壊れてから、かなり経ったみたいで、ベテランになってるのかも?
鈴木さんも登場(ゆーき本さん!ありがとうございます!)!
内容的には、前作読まなくても問題ないけど、読んでると知ってる人出て来ると、それはそれで嬉しい!
しかし、天道虫こと七尾さん、不運過ぎる〜!
それと対比しての王子が運が良すぎてサイコパス!
蜜柑と檸檬も面白い!
けど、コイツら、ほんまに人の命なんか、何とも思ってないな。まぁ、殺し屋がほとんどやから仕方ないけど、更に仲間内でやってる分には、ええと言えばええけど…
こんな新幹線に乗り合わせたら、どうしようかと思うけど、これ、素人には、バレてないんやな。凄い!
どんな不幸も背負ってそうで、最終的には生き残ってるんやから、運はええんかもしれんな。でも、こんな生活は辛い…
新幹線内のドタバタ劇!
これは、ミッションコンプリートっていうのかは知らんけど、楽しめました!(^-^)v
木村のおじいちゃん、おばあちゃん怖い!
「いつもだったらわたしも、手加減してあげて、ってこの人を宥めるんだけれど、さすがに今回ばかりは、止められないわね」
「何でですか」
「あら」
「わたしたちの孫に手を出したのに、楽に死ねると思ったの?」-
私もまだです。もう、手元にはあります!
早く読まないと!
もうすぐ、シリーズ最新出ますしね!
(トリプルセブン 9/21発売)私もまだです。もう、手元にはあります!
早く読まないと!
もうすぐ、シリーズ最新出ますしね!
(トリプルセブン 9/21発売)2023/09/09 -
2023/09/09
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2023/09/09
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檸檬と蜜柑の2人がとても魅力的でした。
王子への嫌悪感が読み進めるほどに強くなり、この嫌悪感を消化させてくれるのか、物語がこれからどうなっていくのか、ハラハラ、ワクワクしながら何度も「えっ!」と言いながら、登場人物達が今どこにいるのかメモを取りつつ読みました。
とにかく楽しかったです。 -
これはおもしろい!前作グラスホッパーから読んだ方がよい なんとなく昔読んだ記憶があったけどそれでも一気読みしてしまうくらい
出てきた伏線を最後に一気に回収ではなくて、たくさんある伏線をいろんな回収の仕方がされてる 短い回収長い回収 それが重なり合う面白さ
展開が激しくて今までで1番メモ書いたかも
前作でだいぶキャラクター死んだけどうまくつながるんだろうか?
王子は悪のラスボスぽく七尾が主人公ぽい 檸檬と蜜柑がスパイスとしていい味出す さらにスズメバチや車外の槿 木村は渉のためにがんばれるのか?
「僕みたいなガキに、いいようにされて、それでいて何もやり返せない自分たちの無力さを知って、そして絶望してもらいたいんだ。自分が生きてきた人生がいかに無意味だったのかに気づいて、残りの人生を生きる意欲がなくなるくらいに」
「どうして人を殺してはいけないのか」
檸檬がトーマスの話を使いながら王子の悪に気づいたり 蜜柑宛の犯人を示す鍵メッセージを残すところ最高 そして蜜柑が王子を追い詰めるシーン!鍵メッセージ!いじわるなディーゼルのシール!暴発銃!たくさんある伏線がなかなか日の目を見ない お互いに負けず嫌いで檸檬が読みかけの本持ってたり蜜柑がトーマスキャラ覚えてたり泣 最後に籤引きで出てくるのもいいじゃない
前半山場 1-2号車に追いつめられた七尾が、蜜柑と檸檬をすり抜けるところ ここで女装男と黒髭男使うんだ -
殺し屋シリーズの二作目。グラスホッパーと同じくらいの厚さかと思ったがとても分厚くなっていて驚いた。新幹線の車内での二時間半がいかに大変だったのかが伝わってくる。息子の復讐をしようとする元殺し屋の木村、凶悪な心と強い運を持つ王子、運が悪すぎる殺し屋の天道虫、トーマス好きな殺し屋の檸檬と相棒の蜜柑。この5人を中心に物語が進む。5人とも面白く、スリル満点の伊坂さんの傑作。
前作のグラスホッパーから三年も経ったはずなのに上手く物語が繋がっていて、物語はさらに面白くなってて、読むスピードも早くなった。伊坂さんの成長と凄さが感じられた。最後の真莉亜が迎えに来てくれたところは本当に安心した。箱に蜜柑と檸檬が半分ずつ入っているところは全く不自然に感じず感動した。
この作品のどの人物も面白かった、がその中でも王子はこの作品の特徴だ。こんな中学生がいるなんて思えないけど、伊坂さんの書き方が上手いからか全く違和感がなかった。伊坂さんは物語を作るのが圧倒的に上手い。王子は小学生の頃から人殺しを始め、これまで何人も殺してきた凶悪な人物だが、いくつか彼から学んだことがある。
「見た目や年齢に左右され、相手の能力を低く見積っている。」
改めて、見た目や年齢に左右されてはいけないと思った。だが、蜜柑や檸檬もこの物語で実際に怪しい奴を探そうとしている。外観に左右されてはいけないが、それは自然なことだという伊坂さんの考えが書かれている気がした。
「大事なのは、(正しくないことを)『信じさせる側』に自分が回ることなんだ」
王子は自分が他人よりも上の立場につこうとしていることは物語を通して実感できる。この言葉は典型的な悪役のセリフに聞こえるが、私はそう思わない。人の上に立とうとする人は誰もが信じさせる側に回ろうとしていると思う。言葉を選んで、良さそうに聞こえさせる。これも伊坂さんの考えなのかもしれない。
新幹線の車内で二時間半の間で何人も人が倒れていくこの物語。それぞれの人物が魅力的で、物語もスムーズに進む。本当に本の世界に入ったような感覚で読むことができる。本当にいい作品だった。 -
殺し屋シリーズ2弾
世界観に惹き込まれる極上のエンタメ お見事!
グラスホッパーよんでて良かった。前作読まないと面白さ半減かも?
新幹線中をこんなに縦横無尽に動き回って怪しまれないのか? ちょっと小骨に引っかかる‥
『なぜ人をコロしてはいけないのか?』のヘリクツ問答
「殺人を許したら国家が困る」は共感。
そのままいただこうと思います。
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伊坂幸太郎さんの殺し屋シリーズ。
グラスホッパーは映画で観たことあったので
とりあえずマリアビートルから読みました!
新幹線の車内が舞台で、疾走感があり、
時に皮肉もあり、読後感が良かったです!
著者プロフィール
伊坂幸太郎の作品





