二十の悪夢 角川ホラー文庫創刊20周年記念アンソロジー

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041010525

作品紹介・あらすじ

心霊、怪談、サイコなど……あらゆるジャンルのホラーを生み出してきたホラー文庫創刊20周年を記念し、“20”にまつわる世にも恐ろしい物語が集結。豪華なオール書き下ろしホラーアンソロジー!

感想・レビュー・書評

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  • 恒川光太郎「銀の船」は既読でした。この短編好きなんだよな。ここが初出だったんだ。恒川先生は私(たち)の「もうどっか遠くに行きてー」を物語にしてくれるから、最高に天才なんですよね。
    私も船に乗ると思う。そして、いつか後悔するんだろう。その後の選択は過ごしてみないと分からないな。

    そしてもうひとつの目当てだった平山夢明「ドリンカーの20分」、んもー、最悪でした。どんな胸糞がやってくるんだ…と読む前から恐怖を味わえる作家さんだ。

    他の作品は印象が薄い。
    岩井志麻子さんの話は、リアル悪夢みたい。夢の最中は辻褄が合っているはずなのに、目覚めると輪郭がぼやけて、あったはずのストーリーは崩壊していく感じ。

  • 怖い話もあり、不思議な話もあり。で、面白かった。
    どこで、《20》が出てくるか楽しみでもありました。
    様々で使われる20という数字。最高です。

  • 平山さんは相変わらず気分が悪くなるものを書くなぁ!
    スプラッタよりも読後感がよろしくない。今でいう「厭ミス」よりなのかも。
    恒川光太郎さんの『銀の船』も面白い。ホラーではない気がするけれど。ゆるいディストピアもの。
    朱川湊人さんの『生まれて生きて、死んで呪って』も、展開が良き。一方的じゃないのなら、本編を読んでみたい。

  • とにかく平山さんは別格でえげつないものを作るなあと感心した。
    大人たちのエゴを突き通そうとする様子は、生々しくもあり滑稽でもあった。ただ、そこに振り回される子どもは気の毒だし、読んだ後の気分の沈み方が半端ない。

  • 「ドリンカーの20分」が読みたくて。やっぱ夢さん、凄いや。

  • 逡巡の二十秒と悔恨の二十年 小林泰三(こばやしやすみ)
    銀の船   恒川光太郎(つねかわこうたろう)
    母からの手紙      藤木稟(ふじきりん)
    生まれて生きて、死んで呪って   朱川湊(しゅかわみなと)
    暑い国で彼女が語りたかった悪い夢 岩井志麻子(いわいしまこ)
    ドリンカーの20分 平山夢明(ひらやまゆめあき)

    バチカン奇跡調査官シリーズ第7弾「終末の聖母」とのクロスオーバー作品→藤木稟「母からの手紙」

    色んな種類の怖さが詰まっておりますが、ラストの「ドリンカーの20分」の後味が悪すぎる。首の骨が折れる音とか想像してしまうのと、なんだろうか格差的な馬鹿にされ方をしていて、なんかモヤモヤする。「生まれて生きて、死んで呪って」も、語りをしてる弟の職業とかたぶんやってしまったこととかを考えると怖さよりも、道徳面とかから怖い。「銀の船」は結構好みでラストも好きだけれど、人は年取らなくて、働く義務もなくて、そんな状況に置かれたら心が死んでくんだろうなかとか、銀の船が来ることはあり得ないことながら考えてしまった。(年的にももう無理やしな。)この船の制作者が一番人が悪くて怖いのだけど、見た目は人だけどヒトではない設定だったけど考えると怖いです。クロスオーバー「母からの手紙」は、バチカン本編読んでないとこの手紙の感動が理解できなくて、怖い予言の手紙が来て、なぜ息子が改心して国に帰るかがわからないと思われます。逆にバチカン続きで読むとニンマリします。
    短編なのでライトなホラーで、作家のそれぞれのファンには物足りないかもしれないです。

  • アンソロジーなのでひとまずそれぞれの感想。

    「逡巡の二十秒と悔恨の二十年(小林泰三)」
    この作家の物語はいくつか読んでいたのでパターンが読めた。思った通りのオチ。「思った通りのオチと思わせておいてもう一捻りある」話を書く作家だと思っていたけれどこれに限っては本当に想像できる通り。相手じゃなく自分でした、という。しかし常にもやもやドキドキさせる独特の空気がある。個人的には苦手なのだけどホラーとしては正しいしすごいことだと思う。

    銀の船(恒川光太郎)
    この作家も大まかなあらすじはほとんどの作品で同じ。異世界に行って帰ってくる話。稀に帰ってこない。異世界と言っても完全にファンタジーではなくて、日常と地続きにある異世界。パターンが豊富で面白い。割と読みやすく懐かしい空気の文章の割に妙なリアリティのあるグロテスクな表現が特徴かなと思っている。が、今回はグロ無し。読むたびに「自分がこの異世界に行ったらどうするだろうか」と想像してみるけれど、今作は資格が無かったので少し寂しい。未成年限定の空飛ぶ街。

    母からの手紙(藤木稟)
    これが読みたくて借りてきた。バチカン奇跡調査官のスピンオフ。シリーズを読んでいない人が読んで面白いかどうかはわからない。私はシリーズのファンなのでとても楽しめた。

    生まれて生きて、死んで呪って(朱川湊人)
    勿体ぶった言い回しが若干読みにくかった。この作家の文章は他にも読んでいるような気がするけれど覚えていないので、作家の特徴なのか語り手のキャラクターなのか判断できない。主人公やその他の人物がイニシャルや伏字になっているのに1人だけフルネーム出てくるキャラクターがいるので、もしかしたらこれも何か別の作品のスピンオフなのかもしれない。収録作品の中で一番わかりやすくホラーだった。自殺した姉の霊。

    暑い国で彼女が語りたかった悪い夢(岩井志麻子)
    おそらくこの作家の作品ははじめて読んだ。夢オチ?正気なのは誰か。文章は読みにくくはないが話としては特に面白くなかった。作者の紹介ページに恋愛小説の文字があった気がするので興味が持てない。

    ドリンカーの20分(平山夢明)
    一言で胸糞悪い。多数を助けるために少数を犠牲にすること。を、子供同士にやらせる。終始救いがないし尽く気分悪い展開。「と思わせておいて実は助かるのでは!?」という読者の期待をあっさり粉砕するのですごい。無慈悲。読後感の悪い作品もものによっては大好きだけれど今作は二度と読みたくないしこの作家の作品は金輪際手に取らないと思う。

    全体の感想。二十周年記念アンソロジーで「二十」をキーワードにした短編集ということだけど「別に二十じゃなくてもよくないか」という作品がほとんどで萎える。別にそこ縛らなくてもよかったのでは。アンソロジーの意義って「好きな作家が参加しているから読んでみようという気になる→他の作品も読んでこれまで知らなかった作家を新規開拓する」ということじゃないかと思うのだけれど、後半に全く役に立たない1冊で残念だった。意味があるのか無いのかわからないようなテーマを設定して面白さに欠ける書き下ろしを集めるくらいなら既刊からの抜粋でもいいから作家の特徴が出ていてキャッチーなのを載せた方がよほどいい。

  • ホラー小説界の一流プレイヤー達の寄せ集めなので入門にはオススメですが、割と一通り読んだ方々にはなんだか物足りない一冊になってしまっているようなきがします。大好きな平山先生でさえ控えめですし・・・ショボン。

  • 20年前のある20秒の記憶に苦しむ男、潜水艇に閉じ込められた20分…。角川ホラー文庫の創刊20周年を祝し、「20」をキーワードにホラーの名手たちが世にも恐ろしい物語を紡ぐ。全6編を収めたアンソロジー。。

    恒川光太郎と朱川湊人の未読の短篇が収められているので借りてみた。二人の作品は期待を裏切らなかったが、それ以外のこれまで読んだことない作家の短編も悪くなかった。恒川作品の中に文庫本「粘膜蜥蜴」という表現があり、思わずニヤリ。もしや恒川光太郎は飴村行のファン?
    (B)

  • 平山さんの読後感最悪・・・。
    他のはあんまり覚えてない。。
    ううう。読まなきゃ良かった・・・。

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著者プロフィール

岩井志麻子 (いわい・しまこ)

岡山県生まれ。1999年、短編「ぼっけえ、きょうてえ」で第6回日本ホラー小説大賞を受賞。同作を収録した短篇集『ぼっけえ、きょうてえ』で第13回山本周五郎賞を受賞。怪談実話集としての著書に「現代百物語」シリーズ、『忌まわ昔』など。共著に『凶鳴怪談』『凶鳴怪談 呪憶』『女之怪談 実話系ホラーアンソロジー』『怪談五色 死相』など。

「2023年 『実話怪談 恐の家族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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