- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041099155
感想・レビュー・書評
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美しい物語。
時代は今とはかなり違うが、思わずクスッと笑いたくなるような、どうしようもなく気にして仕方がない感情がよく語られていて好きだった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
明日はどうなったっていい、と思い込んだとき女の、いちばん女らしさが出ていると、そう思わない?
死ぬまで貧乏で、わがまま勝手な画ばかり描いて、世の中の人みんなに嘲笑せられて、けれども平気で誰にも頭を下げず、たまには好きなお酒を飲んで一生、俗世間に汚されずに過ごして行くお方だとばかり思って居りました。
ひとりくらいは、この世に、そんな美しい人がいる筈だ。
私は、お金も何も欲しくありません。
心の中で、遠い大きいプライドを持って、こっそり生きていたいと思います。
あなたは、ただのお人です。
これからも、ずんずん、うまく、出世をなさるでしょう。くだらない。
ひとを愛するなら、妻を全く忘れて、あっさり無心に愛してやって下さい。
気の持ち方を、軽くくるりと変えるのが真の革命で、それさえ出来たら、何のむずかしい問題もない筈です。 -
読者から送られた日記を元にしているとは言え、10代の少女の瑞々しさとともに不安定で危うい心情が見事に表現されている。少女が抱える不安や怒りには、太宰本人の抱えていたそれが重ねられているんだろう。
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とても読みやすい。
彼の作品くらい私たちにとって良き話し相手はいないだろう。皆懐かしい隣人である。
という巻末の言葉にとても共感した。
70年も前に書かれているのに、どこか懐かしくて、愛らしくて、読んでいて泣きそうになる。 -
女性の語り口調で書かれた短編集。
どの話の中に出てくる女性も、純粋で、強い芯があって、しっかりしている。 -
どの短編の女性たちも優しさを宿している。刺さる言葉がたくさんあった。
「あれから一年、二年経って、私は、だんだんいけない娘になってしまった。ひとりきりの秘密を、たくさんたくさん持つようになりました。」 -
読みやすくてすらすら読めてしまいました。
女性一人称ばかりを収めた短編集。
「女生徒」は読んだことあるけれど他の作品は初めてでした。
太宰治の作品はいくちか読んだことあるけれど女性一人称のものの方が読みやすかったです。 -
913-D
展示コーナー -
太宰治のイメージが180度変わりました。
この作品を読む前までは、暗い作品が多い
イメージがあったのですが、今作は、とても
ポップで、現代にも通ずるような世界観かなと
感じました。読むキッカケとしては、九段理恵の
「School girl」の文中で出ていたので、気になり
すぐ買って読みました。娘と母の関係性は、昔も
今も変わらないんだなと、実感しました。
「女生徒」と「School girl」に共通しているのが、娘が母に対する愛情がとてもキレイな所です。
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表題作他、「きりぎりす」などの有名作が多数収録された短編集。総て女性を主体にしたもの(読み終わってから気付いた)。独白体で書かれたものが多く、読みやすい。
相変わらず太宰の外界への恐怖が感じられ、読者を暗くさせる。
愛と死、忍耐と献身といった根暗な理念に尊敬すら覚えるほど。
「女生徒」では、本当にこんなネガティブなオッサンが書いたのかよというくらい、繊細かつ多感で移り気な女学生の心情を描写している。
個人的には「貨幣」と「おさん」が好み。 -
女生徒、が異様に面白い。自分の心に瑞々しい部分があることを思い出すようだ。
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自分の文学の路が開いたともいえる作品。
もう一回読んだら感想載せたい。 -
オーディオブック聴き放題。
1938(S13)女性読書から送られた日記を題材に14才女生徒の朝起床から夜就寝までの一日を描いただけの作品なのに太宰治の女生徒の心理描写が凄すぎて美少女大好き川端康成も大絶賛。 -
女性目線から語られる、うちに秘めた思い。女性が本能のまま葛藤する姿を見せられ、男性が抱く幻想の愚かさを身にしみて感じた。
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誰もわかってくれない、社会に馴染めない、変わり者、こういう思考って強すぎる自己愛からくるものなんですね。人間失格読んだ時も思った。誰も他人の気持ちなんてわからなくて当たり前だし、みんな特別だとも言えるし、誰も特別じゃないとも言える。みたいなことをみんなもうすでに気づいてて、それで社会に馴染んでたりする?だとしたらみんな凄すぎる。なんか自分らしさがどうとか言って、暗く生きるのはやめようと思った。笑(特に「恥」)
褒められると卑屈になってみたり否定したりするのに、貶されると腹が立って相手を責めたり自分で自分を正当化しなきゃいけない気持ちになったり
美しくない、一貫性のない、汚くて恥ずかしい感情たち。めちゃくちゃ面白かった
女生徒
こんなくだらない事に平然となれるように、早く強く、清く、なりたかった。 -
女性一人称で書かれた14話の短編集。
短編なのでよかったが、やっぱり昔の感じ少し読みづらかった。
人間の弱さとか自信のなさ、天邪鬼な部分とかを女性目線で描いている。
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母の本棚から。購入日のメモを見るに母が女生徒だった頃に買ったもの。
時代も、文化も、性別も、いろいろ違っても一人称の語りに気付けば自分が同化している感覚。
有名作なのに未読だったなと思ってのひさびさの太宰でしたが、やっぱ良い。 -
いつも同じような日常というものを表現されているようで、私は少し恐ろしく感じました。
主人公の思考や行動はなかなかに軽妙で面白いですが、犬のカアに対する対応や電車で乗り合わせた隣のおばさんに対する気持ちなどは、なんとなく気に食わない考えで不愉快になりました。
近々、演劇として観賞する機会があるのでどのような解釈ができるのか楽しみです。