変身 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042083061

感想・レビュー・書評

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  • この虫は一体何なのだろうと感じた。「老い」「病気」「障害」の象徴なのだろうか。

    最初は気を使ったり、気を使われていた家族の心がだんだんと離れていくのが現実的。

  • ある日突然虫になったグレゴール・ザムザ。とても冷静に周囲も自らも観察し淡々と物語が進む。不慮の事故や病気で誰かに助けてもらわなければならなくなった状況を考えると身近に感じる。家族のために働いてきたグレゴールだが、虫になった事で家族から敬遠されてしまう。それまでの関係性が浮き彫りになる瞬間なのだろう。これは誰にでも起きる可能性のある不条理なのかなと思いながら読んだ。

  • 久々に有名どころの古典を。
    起きたら虫になっていたという設定が飛びすぎて驚きますが、当時の著者の心境を表していたのでしょうか。言いたいことも伝えることが出来なくなってしまうし、これまで家族のために働いてきたのに、そんな家族からは邪魔者扱いされてしまう。もしかしたら当時の自分と重ね合わせていたのかもしれません。特に妹の演奏の場面や、食事を食べなくなる場面、絵画を守ろうとする場面なんかは、
    主人公の伝えられないもどかしさと、それが逆効果になっていることに、意思疎通とは姿かたちによるものなのかと考えさせられてしまいます。最後には衰弱した主人公の暗い結末とは裏腹に、何だか清々しい感じで旅に出る家族の描写が、人間の繋がりの儚さを物語っているように感じました。

  • リアルっていうから、主人公である芋虫の描写がリアルなのかと思って、ドキドキしながら読んだけれども。
    このリアルは人間関係の描写がリアルってお話だったのです。
    ぁんまりにも人間らしすぎて目をそむけて鼻で笑ってしまいそうになりました。
    だけど、現代でも学者がカフカを長年にわたり議論し合う理由がここにありました。
    カフカ思想、父親へのぎゃくしゅう説の根本か、引き寄せられるようにどんどんと読んでしまいました。

    一度は読むことをお勧めする、カフカ作品です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「人間関係の描写がリアル」
      介護に疲れるように、息子を受け入れなくなってしまう。本当にリアルです。
      「鼻で笑ってしまいそうになりました」
      笑...
      「人間関係の描写がリアル」
      介護に疲れるように、息子を受け入れなくなってしまう。本当にリアルです。
      「鼻で笑ってしまいそうになりました」
      笑ったら、カフカも照れ臭そうに笑うでしょうね。皆悲観的過ぎるよって、、、
      2012/09/03
  • 虫が好きなわけではないので、虫のリアルな描写に最初は読む気が失せたが、友人から介護の話だと解釈したと聞いてからそうとしか思えず一気に読むことができた。
    病気や老いによって姿形が変わり、意思疎通も図ることができなくなった者を、介護することで経済的にも心身的にも困窮する家庭のように思えた。

    「感動と愛情とを持って家の人たちのことを思いかえす。自分が消えてなくならなければならないということにたいする彼自身の意見は、妹の似たような意見よりもひょっとするともっともっと強いものだったのだ」最後のグレーゴルのセリフが切なかった。彼は最後まで家族を愛し、責めることは一切しなかった。それがせめてもの救いだと思う。

  • 面白いと感じることはなかったが、作品が短いことに加え、先の読めない展開が気になったこともあって一気に読み終わった。

    父親の「こいつにわたしたちのことがわかってくれたら」というセリフに象徴される、家族や周りの人の、グレゴールに対する決めつけや話し合いの拒否が、この作品のテーマではないかと思う。「見た目で判断される気にもなれ」ということか。正直難しすぎてよくわからなかった。

  • 主人公ザムザは巨大な虫に変身してしまっているにも関わらず、これからどうやって仕事に行こうかなどと真剣に考えたりしている。ツッコミどころ満載だが、こういったズレのような違和感がこの物語全体の不気味な世界観を形作っているように感じる。
    虫が何かの象徴やメタファーになっているというような読み方はいくらでもできる気がするが、そう読んでしまうのは逆につまらないようにも思う。意味を追い求めることはひとまずとして、不条理さや物語の奇妙さ、虫のリアルな描写などをありのままに楽しめた。

  • 変身(角川文庫)
    著作者:フランツ・カフカ
    ノンフィクションを読んでいるような感じがして虫がすきじゃないので作品自体は好きではありませんが一生心に残っている良い作品。
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • ある朝、目覚めるとグレゴールは巨大な毒虫へと姿を変えていた…

    ある一つの事件をきっかけに、家族に広がる重苦しい雰囲気
    その原因は紛れもなく自分なのに、どうにもできないという閉塞感は、読んでいて苦しかった。
    ラストで解放された家族の姿が、また悲しい。


    もうひとつの「ある戦いの描写」は…
    ごめんなさい。ギブアップでした
    マジで意味がわからない

  • 誰もが知る有名な問題作。あまり文学に造詣が深いわけでもないので、単に一読したという感じ。読了して、やはりなんとも心地悪い、不快を催す作品だと感じた。突然朝起きたら虫になっていたという設定は非常に奇抜に思えたが、主人公に対する家族の態度を見ていて、現実にも似たような状況はたくさんあるなと思えてきた。しかしここまで読んでいて不快な心地にさせる文章に感服せざるおえない。

  • ある朝起きたら巨大な毒虫になっていた主人公とその家族の物語。
    虫になってしまった以降は特に何かの事件が起きる訳ではないのですが、最後まで暗い展開。

    グレゴールが死んでしまった後の家族の再出発だけがこの本の中で唯一希望に満ちた描写だったのがより辛い。

  • 虫になった瞬間に家族から見られたくない生き物として見られ、妹を守ろうとしてもその気持ちは理解されず痛い目にあわされる。気持ちは変わっていなくても見た目が醜ければ酷い扱いにすぐに変わってしまう恐ろしさを感じた。

  • 平凡なセールスマンのグレゴール・ザムザは、気がかりな夢からさめたある朝、一匹の巨大な褐色の毒虫へと変わった自分を発見する。理由もなければ原因もない。その日から家族との奇妙な生活が始まった。

    なんとも言えないエンディング。
    家族を養うため、妹の夢を叶えるため必死に仕事をしてきたグレゴールだが、虫になった後は「早く消えて欲しい」と思われるようになる。さらに、家族にとってグレゴールが死んだことがハッピーエンドになっているところもモヤモヤする。今まで必死に支えてくれた男に対して「死んでくれてありがとう」なのか…

    ネットで見たが「変身したのはグレゴールなのか、家族なのか」というのは面白い考察だなと思った。

    『ある戦いの描写』は未読。

  • 有名なお話なので、あらすじはある程度知っていたが想像以上に、主人公のグレゴールが早い段階で現実を受け入れていて、落ち着きはらっている。朝起きて毒虫になっていたら、もっとパニックになったり、元の姿へ戻る方法を必死で模索したりしてもいいところを、読者以上に冷静な姿勢を貫く。挙げ句の果てに「あんまり早く起きてると、人間はばかになる」なんて言って二度寝までして、呑気なものだ。こんな主人公だから、愛着がわいた。

    それに対し、家族はとにかく酷い。主人公の視点を通して語られると、都合よく良い方向に解釈してあるが、客観的にみるとグレゴールは家族とは思えない扱い方をされている。もっとも、グレゴールが人間だったときも彼一人に家計を背負わせていたぐらいだから、最初から彼を人間扱いしていたかは怪しいが。
    献身的に家族を支えてきたのに、虫になった瞬間、気持ち悪がられ、孤立する。実の父親に投げつけられたりんごが背中にめり込んで取れないシーンは本当に痛々しく胸が痛んだ。
    主人公が健気でいい子すぎて、不憫。

    追記
    大学の心理学の授業で、心身二元論という考え方の例としてこの作品が挙げられていた。たしかに虫になったら脳みそも縮んで、とても人間のときのような思考はできないだろうが、このお話のなかでは人間のときと精神は変わっていないようだ。唯一的一元論が唱えられた『驚くべき仮説』が出版された1994年であり、カフカの『変身』が出版されたのは1915年にはまだデカルト的な心と身体が別々という考え方が主流であったことが伺える。こうした視点から作品を理解するのも面白いと思った。

  • About four years ago at a bookstore, I was so attracted by the title "DIE VERWANDLUNG" that I didn't have any choices but to buy it. I really remember the moment when I saw its title because a book written by Higashino Keigo with the same title "Henshin" as Kafca's book came to my mind. The story was different at all, but both of them made me bothered by raising lots of questions. ...What am I gonna do if I find myself metamorphosing into a strange creature one day? What am I gonna say to my precious people if I make them suffered terribly because of me?

  • 苦手な海外作家、なんとか読めた。ありえない設定の割には現実感もあり、色々な人が解釈しているのを見るのも面白かった。現実感があったのは、細かい描写があったからだろう。そして、作者が求めているように、ここで出てくる虫は絶対絵とか映像化とかしてはいけないものだと思った。文字ならではの、それぞれの想像で完結させた方が良いかと。と、色々書いてはいるものの、やはりとっつきづらく読むのには時間がかかってしまった。哲学書みたいな雰囲気もあり。

  • 難しい。
    とってもとっても
    難しい。(575)

  • 難しい本だった。自己との葛藤もあるけれど、自分がいないところで周りがどう反応しているかの葛藤もある。ちょっとkindleで読むとうまく把握ができてない部分もあるので、もう一度ゆっくりと読む必要あり。

  • カフカは名前だけは知っていたのですが初めて手に取りました。
    表題作「変身」はあまりにも有名な作品ですが、ある日虫に変身してしまった主人公の結末までの中で
    今迄ある意味では保険をかけて生きてきた家族が
    この変身を機に、家族の在り方や生活など苦悩していき
    最後には己の力で生きる覚悟を身に付けたように思えました。
    そういった意味で、結末は後味が悪いと評価されがちですが
    作中でも主人公が妹の進学や家族の財産を心配し「自分が居なくては」と必死でもがく中で、彼のいない世界で立ち上がる姿を見せた家族には希望が残された結末であると個人的には感じました。
    「ある戦いの描写」についても難解とされていますが、
    私個人の解釈としては、他人や世間に映る分身の自分と本来の自分の心の奥底での苦悩や葛藤が感じ取られ、
    自分自身で自分を認めなければ透明な存在にだってなり得る人間の心の危うさと儚さを描いていると思いました。

  • 最初は設定のあまりの不気味さ、描写の気持ち悪さになかなか進まず・・・という感じでしたが、半分読んだぐらいからは急速に物語に引き込まれ最後まで一気に読みました。
    物語の最後、グレゴールの死に触れた家族の反応を白状と思うか、それまでグレゴールがいるために受けた苦しみを思えば仕方ないことだと思うか・・・とても難しい問題だなと感じました。
    自分の家族が毒虫に変身することはありえないですが、認知症などで性格が変わり意志疎通も難しくなることはあるわけで、その時どのように接するのがベストなのか。
    色々と考えさせられる話であったことは確かです。

  • 両親や妹を養うためにセールスマンとして日々働いていた主人公、グレゴール・ザ厶ザがある朝目覚めると、足のたくさんある毒虫に変身してしまうお話。

    グレゴールは家族の話を理解することができるが、彼の家族はもう彼の言葉を理解することができない。醜い姿を目にした家族は、恐怖し、忌み嫌う。
    一方、家族を怖がらせないように自分の部屋に閉じこもったグレゴールは、妹が少しずつもってきてくれる食事を食べて生き延びながら人間の心を失わずに、家族の動向に耳を澄ませている。
    自分が働かなくては家族が食べていけぬ、との焦りから、虫となった自分を受け入れ、諦め、そしてついには死んでいく。
    グレゴールが人間だった時には彼を愛していた家族は、その死を知って、重荷がとれ、うきうきと郊外に出かけていくのだ。

    安部公房が書く悪夢にも似たストーリーだが、とても重苦しく、後味の悪いエンディングが印象的だ。

  • 「変身」はまだいいとしても「ある戦いの描写」がまったく意味が分からなくて途中からなんも考えずに適当に読んだ。

  • 読むきっかけになったのは絶望先生だったりします。

    いろいろと深読みできますが、単純に考えて、朝起きたら虫になってるってすごく恐ろしいことですよね。

  • 読んでいると、どんどんなんとも言えない重い気持ちになってゆきました。
    人間の弱い部分がつきつけられてるようで、地味な不気味な怖さがあって、うまく表現できないけど、途中で読むの辞めたりはしないけど、読むときは気合いが必要でした。二回目また読むってことは出来ないだろな。
    でも、一度は読んでみてと言いたくなる珍しい感想。

  • 「変身」:ある日,毒虫となってしまった平凡な男とその家族との奇妙な生活 なぜ変身したのか,という疑問はある しかし,それ以上に目を引くのは毒虫になった後も献身的に兄を支える妹の心の変化 毒虫になっても相手を気遣える心の余裕を誇りにしていた兄の荒廃 毒虫が死んだあとの家族の新たな明るい未来が後味の悪さを醸し出す

    「ある戦いの描写」:正直,何のことかさっぱりわからんかった

  • 高校生の時授業でこの図書の話をしていたのを思い出して読んでみました!

    結末もなんだか不気味で、こわかったです。具体的にどんな虫かは書かれていませんが私はGのような虫を想像して読みました。孤独になった主人公の気持ちを考えるだけでとても恐ろしさを感じました。

  • 「変身」の方はとにかく気持ち悪い。
    毒虫をグレゴールだと扱う家族も、やたら冷静なグレゴールも。
    かと思えば、毒虫になったグレゴールに次第に愛想をつかせていく家族も、やから明るい文章で終わるエンディングも、読んでいて自分が歪んでいるように感じた。
    面白いという言葉は少し違う気がするけれど、読むのをやめようとはおもわない不思議な感覚。

    「ある戦いの描写」は全く理解できなかった。難しい…。

  • 汚らわしい怪物と化した主人公は死を受け止め、息絶えるシーンからは高潔ささえ感じた。煩わしい生活から逃れられるのなら、自分を捨てるのも良いかもしれない。もし、捨てられるのなら。

  • とりあえず表題の「変身」は読み終わった。
    買って何度か挑戦して、なぜか冒頭で止まっていた割には
    すらすら読めたと思う。

    変身したグレゴールが抱えてる感情はなんとなく想像できるし
    家庭内の問題っていう点では
    グレゴールはIPのような役割のような感じがするし。
    でも最後死んじゃうのがな・・・と思ったり。

    グレゴールとグレーテを一対で見たりもできるのかなぁと思ったり。

    グレゴールが死んで、グレーテが明るくなって、
    父母が安心しているっていうのがまた何かしら意味がありそう。

    謎なのは
    グレゴールは本当に死んだのかってことと
    なぜグレゴールは死なないといけなかったのか
    の二つかな。

    あんまり読んで明るくなる感じはないな・・・

  • がんばって働いていても毒虫になってしまえば邪険に扱われるのね。
    俺はまだ毒虫にならずにすんでいるだろうか・・・。

著者プロフィール

1883年プラハ生まれのユダヤ人。カフカとはチェコ語でカラスの意味。生涯を一役人としてすごし、一部を除きその作品は死後発表された。1924年没。

「2022年 『変身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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