きりこについて (角川文庫 に 19-1)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043944811

作品紹介・あらすじ

小学校の体育館裏で、きりこが見つけた黒猫ラムセス2世はとても賢くて、大きくなるにつれ人の言葉を覚えていった。両親の愛情を浴びて育ったきりこだったけれど、5年生の時、好きな男の子に「ぶす」と言われ、強いショックを受ける。悩んで引きこもる日々。やがて、きりこはラムセス2世に励まされ、外に出る決心をする。きりこが見つけた世の中でいちばん大切なこととは?読者からの熱烈な支持を受け、ついに文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • なんか好みの作品ではなかったかな…

    でも共感持てたのが…自分は動物好きなんですが今はインコやハムスター…メダカ 。以前は2匹猫がいました(21年生きた)

    自分のペットを溺愛し、こねくり回してるが…ふと…【動物、同種同士で見たら家の子実は不細工だったりして…】と何回か考えてました。

    見た目ねぇ…もちろん人間は最初の情報は視覚になると思うので「見た目は関係ありません」とは言えないですが
    他人の容姿をとやかく言う権利は誰にもないし
    見た目、性格、価値観、信用性、ずっと一緒にいられるか…など
    トータルで合う人と一緒になれば良いだけ…どれかに片寄ったらダメだと思う

    自分は男ですが、性的な物は潔癖で、硬派なわけでなく
    だらしないのは嫌…
    【女房で我慢!女房も我慢】のWin-Winな感じで…なんか最低と最高な間な感じが…(冷静と情熱の間みたいになってんな…)

    とりあえず自分は折角人間だから
    自分の体を遺伝子の乗り物にしたくないので
    そこはしっかりしてる!!
    してるはず!!
    してるつもり!!
    あるいは…

    ※だから結局俺が何が言いたいかって言うと…
    【今朝出勤中に公園の桜の下にポツンと段ボールが…猫か?子猫か?しょうがないなぁ…認知してやるか…とハザードつけて覗きに行ったら……中身は「花より男子全巻」入ってて…なんでだよ!!ってなったよ】って事!!

  • H29.7.2 読了。

    ・「きりこはブスである。」で始まるこの作品。とても楽しく読ませてもらいました。

    ・「うちは容れ物も、中身も込みで、うち、なんやな。」「今まで、うちが経験してきたうちの人生すべてで、うち、なんやな。」は、きりこが言った名言ですね。人生を達観した人のセリフですね。

  • 自分がブスだと気づかずに育った女の子は?
    ユニークで面白い。

    きりこはぶすである、と断言されて始まる話。
    見た目もけっこう良い両親に愛情たっぷりに、「かわいい、かわいい」と言われて育ったため、自信満々。
    まわりの子供もその自信に引きずられ、何となく納得?きりこ中心で遊んでいたという。
    「子供というのは11歳ぐらいまでキョトンとしている」というのが面白い。

    ちょっと素敵な男の子こうた君に告白して見事に振られ、初めて、「ぶす」と言われたきりこ。
    どういうのがブスなのかもよくわからなかったのだが‥
    ひきこもりになってしまう。

    きりこが幼い時に拾った賢い黒猫ラムセス2世は、きりこの味方。
    しだいに人の言葉が話せるようにまでなるのでした。
    もともと猫は長く生きていて、知能指数が人間より遥かに高いという。
    猫達にとっては、きりこの外見もうっとりするほど魅力的だったりと、不思議で楽しい展開。

    クラスメートがそれぞれに成長していく中、きりこも外見の意味を少しずつ理解していく、その過程もまた、印象に残りました。
    派手な中学生だったちせちゃんがさらに経験豊富になっていったある日、事件が。
    それと察したきりこが駆け付けます。
    もとからパワフルなきりこは、ひきこもりと猫との暮らしで、勘が鋭くなっていた?
    ちせちゃんが男性に不本意な目に遭わされたことを訴えに行ったところ、相談所でも女性から思わぬ偏見を向けられてしまう。
    ‥う~ん、あるかもしれないねえ。

    若い女の子と猫達のたくましいネットワークに、元気が出ます。
    鋭い指摘もたびたびで、ニヤッとさせられたり。
    ‥偏見は、自分にもまったくないわけではないな、とちょっとドキッとしたりもしますが。
    生きが良くて、ぐいぐい読まされました。
    面白かった!

  • 個性的な出だしで始まるけれども、最後に明かされる、実は・・・もなるほど、そうきたか、という展開。
    人生、容れ物に入って始まり、その中で終えるわけだけれども、容れ物に左右されるところも多い。容れ物って何だろう、と改めて考えさせられます。綺麗って? 不公平って? 一目ぼれっていうのもあるし。
    中身が容れ物に影響を与えているところもありますよね。
    でも、そんなことをいいたい本ではなかったかな?
    よくわからなくなってきました。 

  • いやあ面白かった
    自己肯定感がしっかり育ったきりこが良い。
    ちせちゃんもかっこいい。
    昨今話題の、性的同意とかルッキズムといった概念が語られているように感じた。
    そんなに堅苦しくなくて、わーっと、読み切ってしまった。
    そのひとはそのひとのまま、自分が心地良いようにするのは自分、それで良いのに。
    なんだか生きづらい感じがあったが、そういうの要らないなあと思わせてくれた。

  • 確かに「容れ物」としてのきりこは、ぶすなのかも知れない。
    それでも、圧倒的に羨ましい。
    きりこが持っているものすべてが羨ましい。

    自分への肯定。
    「容れ物」「中身」への理解。
    「ただそこにいること」ができていること。
    パァパ、マァマからの絶対的な愛情。
    そして何より、ラムセス2世と出会えたこと。

    西加奈子さん、人間のことも深く読ませてもらえますが
    ラムセス2世という猫を通じて
    猫の世界のことも突っこんで感じることができました。

    猫って、やっぱり私の先生なんだわ!!

    自己否定がより強く出てしまった時に、
    再読しようと思う一冊です。

    人間って愚かですね。
    最後に出てくる、動物が出てくることわざ。
    あれは圧倒的に人は他の動物に負けていると
    わかっていて、あえて負け惜しみで作ったとしか
    私には思えません。

    私の相棒猫も先生として
    どこからか派遣されたのかもしれませんね。
    寝てばかりいますが、起きているときに
    これからもせっせと教えてもらうとしましょう。

    きりこが好きであったように、
    私も相棒猫のぐるぐるぐるという
    世界一好きな音に酔いしれながら…。

    • 杜のうさこさん
      こんばんは~!杜のうさこです。
      いつもはなまるありがとうございます!
      『きりこについて』なにぬねのんさんのレビューに感動して読んだのです...
      こんばんは~!杜のうさこです。
      いつもはなまるありがとうございます!
      『きりこについて』なにぬねのんさんのレビューに感動して読んだのですが、最高に良かったです。実は西加奈子さんは2作品、途中下車したことがあって相性が良くないって思い込んでいました。なにぬねのんさんのおかげでこの本を読むことができて、本当にうれしいです。ありがとうございました。
      ラムセス2世が、きりこの口のなかを見ながら目をらんらんと輝かせている表情とか、幸せの音ぐるぐるぐるとかね、たまらなく懐かしくて愛おしかったです。
      なにぬねのんさんの”猫は先生”ってよくわかります。猫ちゃんの我慢強さだけをとってみても、すぐ弱音を吐いてしまう自分を情けなく思うことしばしば。
      大切なことをたくさん教えていってくれた子達に恥ずかしくない生き方をしなくちゃ!って思ってます。
      猫ちゃんのことになるとつい理性を失ってしまう猫おばかの私ですがこれからもよろしくおねがいしますね♪
      2015/04/25
    • なにぬねのんさん
      杜のうさこさん、こんばんは。
      またまたコメント有難うございます!!
      (はなまるもありがとうございます。)

      それも、こんな拙い私のレ...
      杜のうさこさん、こんばんは。
      またまたコメント有難うございます!!
      (はなまるもありがとうございます。)

      それも、こんな拙い私のレビューで、この本を読んでくださったなんて☆
      こんなに嬉しいことはありません。有難うございます。

      『きりこについて』いい話ですよね。
      全てを受け入れ、ただそこにいること。
      死ぬまで生きるということ。
      猫たちはいともたやすくやってのけているのに、
      私は愚かで、まだまだヒントも掴めません。

      先日西さんが直木賞を受賞した『サラバ!』を読みました。
      『きりこについて』を進化させたような内容で、とってもおススメです。

      猫はあまり出てこないのですが…
      よかったら手に取ってみてください。

      西加奈子さん、前世は猫だったのかもしれませんよね。感性が猫そのものの気がします。
      2015/04/26
  • 西加奈子さんの「きりこについて」読了。

    ちょっと前に、西加奈子さんの「くもをさがす」というエッセイ闘病記を読んで面白かったので、ちゃんと作品を読んでみようと思っていたところ、知り合いから「きりこについて」が面白かったよ、という情報をいただきまして、読むことにしました。

    「きりこはぶすである」(「ぶす」は太字!)

    から始まる不思議な小説。主人公である「きりこ」が飼っている猫(ラムセス2世)が執筆したという設定の物語。「体は容れ物に過ぎない」んだから、みんな思うように生きたらいいんだよ、というのが主題? それにしても、なんだか、ちょっと現実ばなれした、不思議な魅力のある話でした。

    ってか、エッセイとおんなじ勢いで書かれている「小説」に、なんだかびっくりしました。登場人物たちはみんな関西弁で喋っていて、え?そんな設定?と最初は思うことがたくさん出てくるのに、読んでいるうちに、それが「当たり前」のことに思えてくる自信満々の流れに、主人公「きりこ」と同じ勢いを感じました。西加奈子さんという人は、「きりこ」と同じオーラを纏っているのかもしれない。

    いやー、すごい。

    がぜん、西加奈子さんという作家に興味が湧いてきました。
    他の本も読んでみよう。

  • 現代社会の課題
    自分の気持ち自分の身体に正直に生きるヒントが書かれているようなお話。
    猫が語っていく
    考えさせられる…

  • 幼い頃から両親の愛情をたっぷり受けて育ったきりこ。
    「私はかわいいお姫さまなのだ」と思っており、周囲にもそのようにふるまっていたきりこに一大事件が起こったのは5年生のとき。
    初恋の男の子の「ぶす」の一言が、きりこに大きなショックを与えたのです…。

    「ぶす」という言葉の持つ威力はすごいな…と思い知らされます。
    本文中であえて太字で強調された「ぶす」の2文字に、ぎょっとさせられることたびたびでした。
    それに加えて、きりこの外見の描写も容赦ない。
    けれど、それと対照的に浮かび上がってくる、きりこの内面の純粋さから目をそらせませんでした。

    自分とはなにか、自分を幸せにできるのは誰か。
    西さんのぱっきりとした文章が導いてくれた結末は、あたりまえゆえについ忘れてしまいがちなこと。
    読み終えたとき、自分のことを前よりも大切にしようと思える、ビタミン剤のような1冊でした。

    それから、きりこの相棒である黒猫のラムセス2世がたまらないのです…!
    賢くて、きりこに絶対の信頼をよせていて、いつでもきりこの味方でいてくれる。
    西さん流の、猫たちの世界にどっぷりと身を浸せる至福を味わいつつ読了。

  • 「きりこは、ぶすである。」

    衝撃の冒頭!
    賢い猫のラムセス2世ときりこの不思議な物語。

    「自分のしたいことを、叶えてあげるんは、自分しかおらん。」
    「うちは、容れ物も、中身も込みで、うち、なんやな。」
    「今まで、うちが経験してきたうちの人生すべてで、うち、なんやな!」

    自分をまるごと受け入れること。自分を認めてあげること。それと同じように相手のことも受け入れること。認めること。きりこが見つけた世の中で一番大切なこと。
    ラムセス2世が語る人間の価値観と猫の価値観との違い。
    ちせちゃんの主張、そしてちせちゃんの生き方を肯定するきりこの姿に涙が出そうになりました。

    きりこやちせちゃん、株式会社ラムセスのマイノリティとされる人々の前向きな生き方、清々しさ、自由さに勇気をもらえました。

    そして、きりこのマァマとパァパの底なしの愛…!自分のことを決して否定しないきりこ。きりこが大好きで可愛くて仕方ない、この2人に育てられたからこそのきりこなのです。

  • きりこは、ぶすである。ぶすだけど、それも含めてのきりこなのである。
    容れ物も中身も込みで自分。これまで経験して来た人生すべてで自分。
    はちゃめちゃなストーリーだったけど、最後にこの結論に達した時、晴れやかな気持ちになった。
    初めての西加奈子だったけど、全体的に明るい感じが好きだった。扱ってるテーマやストーリは重いはずなのに(そういう小説も好きだけど)、ユーモラスで前向き。

    登場人物は皆魅力的だが、特にちせちゃんが好きだった。一貫して自己に忠実で、他人に理解されずともブレない。清々しい。
    ちせちゃんが言う、「自分を大事にしてるから、自分の好きなようにセックスをする」という理論は思わず唸ってしまった。
    (ちせちゃんは、色んな男の人とセックスをしたいと思っている)

  • とってもおもしろかった!
    ラムセス2世と猫たちの台詞にふふふっと笑えたり、心に響く言葉たちにホロリとしたり、良い読書でした。

    西加奈子さんの著書は4冊目ですが、1番好きでした。次はサラバを読みたいな。

    「自分のしたいことを叶えてあげるんは、自分しかおらん。」

  • 不思議な感じのするお話だった。
    自意識と他者からの見た目での評価の間で揺れるきりこ。猫なのにきりこと意思疎通が出来て達観した生き方のラムセス2世。誰に何と言われようと自分の信じる道を行く強いちせちゃん。クセの強い登場人物が、読後もとても印象に残る。
    見た目から受けとった印象や周りからの評価に惑わされず、物事をしっかり自分で見極めて生きていこうと思った。

    「自分のことを鏡(周りからの評価など)で見ているのは人間だけ」
    「自分のしたいことを、叶えてあげられるんは、自分しかおらん」
    「容れ物と、中身と、経験してきたこと込みで、うち」

  • たまたま、このタイミングで読んだのだけど、途中、ちせちゃんの事件を読んでて既視感に襲われた。

    ちせちゃんのセリフを貼っておきます。
    「あたしは、自分のおっぱいと、足が綺麗やと思うから、出してんの。それをなんで、襲ってくれ言うてるなんて、思われなあかんの?」
    「あたしは、自分の好きな服を着るし、したいときにセッ、クッ、スッ、するんじゃ!」

    2023年8月、韓国人のDJ SODAが日本の音楽フェスで観客に胸を触られるという事件が発生した。 ネット上で「そんなカッコしてるから悪いんじゃ」と言う書き込みがあり、それを非難する声が上がった。いまだ進行中である。本作は2009年刊行。非難の声が上がった分だけ時代が進行したのかも知れない。

    さて、小説のほうだが、ルッキズムとか自己同一性とか思春期に陥りがちな問題を表面的にズバズバ切り分けていく。心のひだにまで立ち入ることはしない。乱暴で強引ではあるが、深入りすると更に深い闇に捕まりそうな問題の、痛快な解決策提示方法ではあるなと感じた。

  • 「きりこは、ぶすである」というインパクト大!な一文から始まる物語。

    自分のことを可愛いと信じて過ごしてきたきりこが大人になるにつれて知った、自分が“ぶす”であるという現実。
    それから引きこもりになる半生と、きりこが自分を取り戻すまでの物語。

    「自分」の欲求に従うこと、思うように生きること、
    誰かに「おかしい」といわれても、
    「誰か」は「自分」ではないのだから、気にしないこと。

    自分は容れ物も、中身も込みで、自分なんだということ、
    今まで自分が経験してきた自分の人生すべてで、自分なんだということ。

    私もネガティブだから、きりこやちせちゃんの言う言葉1つ1つがとても胸に刺さって、
    人生楽しく、自分らしく生きることの大切さを教えてもらいました。



    2019年読了、22冊目

  • きりこに感情移入しながら読み進めてました。
    テンポよくポンポンと軽快に読破できて楽しかったです。

    容姿における懊悩煩悶。それらが手に取るように分かって、かつて味わっていた当時の思い出なんかも鮮明に甦ってきて思わず顔を顰めたりもしましたが、これを読み終わる頃には何処か前向きな気持ちになれてました。私も人間よりも猫がいい。

  • きりこについて(角川文庫)
    著作者:西加奈子
    発行者: 角川グループパブリッシング
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    自分は自分です美しさは、何かを問う名作。

  • 自分のしたいことを、叶えてあげるのは自分しかいないということ。たとえぶすと言われようとも自分は自分。その気持ちいいくらい素直な感情は日頃生活しているなかで消えていた感情。いつの間にか周りの目や評価を気にしながら生きている自分に気づけた作品でした。

  • 言葉はキツイけどなんか好き。

  • 見た目を気にする中学生の頃に出会えて良かった

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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