ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046044990

感想・レビュー・書評

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  • 長谷川先生の言葉は、重みがありました。考えるヒントをたくさんもらいました!

  • 長谷川式スケールの問いが
    それぞれ何を検査しているのか分かってよかった

    もの忘れ外来で
    検査結果を伝えるときに
    家族には説明して欲しかった
    と思いました 





  • 障害者に対する歴史の変遷、考え方、接し方と通ずる所が多いと感じた。
    色眼鏡で見ない。相手を聞く姿勢、それが相手を尊重することにもつながるのでは。
    環境(人、社会、サービス)によって暮らしやすさも、障害の程度も変わる。5人に一人が認知症になる流れの中で、自分も将来なるかも。誰もがなりうることなのだから、みんなが自分らしく生きられる方法を模索したいよな。

  • [墨田区図書館]

    "認知症"関連で知った本書。認知症関連二冊目の読了。
    まだ認知症への理解が浅く、「長谷川式簡易知能評価スケール(長谷川式スケール)」の存在自体知らないが、認知機能検査のベースとして日本で広く使われているこの検査方法を開発した精神科医である筆者が、88歳となった2017年に認知症であると自覚&公表してからの経験を経て発表した本書らしい。表紙、並びに前書きでそのことを知って俄然読む気が増した。

    実際に読んでみて、「これだ!」と思うような目新しい、具体的な打開策はもちろんなく、半分はご自身の経験や日本における認知症の歴史に関したエッセイのような内容となっていてさらりと読めるものだった
    。ただ、認知症の種類や症状、病気進行の抑制に効果があるとされる薬の紹介などは先に読んだ「認知症 ありのままを認め、そのこころを知る─虎の門病院 認知症科の考え方」よりも解り易くまとまっているように感じたし、細かい指示があったわけではないが、トム・キットウッドに関わる話など、「痴呆症とその患者」に対する考え方や対応の仕方について、根本的なことがすんなりと頭に入ったように思う。

    ■認知症とは、「暮らしの障害」(p.43)

    ■主な認知症の種類(P. 45~)
    ・アルツハイマー型認知症(約67.6%)
     脳の神経細胞の外側にアミロイドβというたんぱく質が沈着した老人斑というシミのような異常構造が多くみられ、「神経原線維変化」と呼ばれる病理変化が見られ、神経細胞が死に、脳に萎縮が起こる。昔のことは覚えているが、最近のことは忘れ、記憶障害や見当識障害が起こる。
    ・脳血管性認知症(約19.5%)
     以前は日本で一番多かった脳血管性の認知症だが、「生活習慣病」予防で減った。記憶障害のほか、歩行障害、感情失禁など障害部位によって症状が異なる。男性の方が多く発症している。
    ・レビー小体型認知症(約4.3%)
     神経細胞にレビー小体という特殊なたんぱく質ができることで、脳の大脳皮質や脳幹を圧迫して神経細胞を壊してしまう。一番の特徴は「幻視」。パーキンソン病も原理は同じため、手足が震えたり筋肉がこわばったりなどの類似症状が見られ、転倒しやすくなる。
    ・前頭側頭型認知症(約1.0%)
     脳の前頭葉(思考や感情の表現)や側頭葉(言葉の理解、聴覚、味覚や記憶や感情)で神経細胞が減少して脳が萎縮し、感情の抑制が利かなくなったり社会のルールを守れなくなる。65歳未満に比較的多い。
     
    ■日本で使用可能な治療薬(保険に収載されているもの)(p.168~)
    ・ドネペジル塩酸塩(アリセプト:ジェネリック有)
     脳内にあるアセチルコリンをつくる細胞が減っていくため、アセチルコリン分解(減少)を抑えようというもの。副作用は胃腸障害。
    ・ガランタミン(レミニール)
     ドネペジル塩酸塩同様の働き。副作用は胃腸障害。
    ・リパスチグミン(イクセロンパッチやパスタッチパッチ)
     ドネペジル塩酸塩同様の働き。貼り薬のため、副作用は胃腸障害に加えて塗布した部位の皮膚のケアも。
    ・メマンチン塩酸塩(メマリー)
     神経細胞が興奮し続けると神経細胞が死んでしまうため、興奮を促すグルタミン酸の働きを抑制することで進行を遅らせようというもの。副作用はめまい。

    ■パーソン・センタード・ケア(p. 76~)
    トム・キットウッドによって提唱された「その人らしさを尊重し、その人の立場に立ったケアを行う」というもの。("DEMENTIA RECONSIDERED(邦題::認知症のパーソンセンタードケア)")

    ■オールドカルチャー、ニューカルチャー(p. 171~)
    トム・キットウッドが医学モデルに基づく従来の捉え方を見直すべきだと訴えた際に称した、二つの呼称。
    ・オールドカルチャー:
    認知症は脳の恐ろしい病気だという疾患中心の見方
    ・ニュ―カルチャー:
    全人格を総合的に捉えた暮らしにかかわるもので、認知症はケアの質により大きく変わるとする見方
    ・キットウッドの指摘
    質の高いケア(認知症の人をよく観察し、よい状態をもたらす)の重要性と、よくない状態を促進し、本人の尊厳を損なう行為(子供扱いする、騙す、できることをさせない、、無視する、急がせる、など)がある。

  • 本そのものの面白さはないかも
    しれないが、

    認知症専門医の長谷川和夫氏が自らも認知症になり思ったことを綴られていることと、

    彼のこれまでの人生や認知症との向き合い方や考え方で付加価値がしっかりついていると思えた。

  • 長谷川式簡易知能評価スケールを書いた人。
    本人が認知症になって、本人が書いた本。

  • 読み終わったあとに表紙を見たら、何故か泣きそうになった。


    祖母のことを思い出しながら読んだ。
    自分のことを認識してくれなくて泣いたことがあった。同じことを話し続けて苛立った事もあった。
    認知症になってしまったら、どんどん悪くなっていくのだと思い、絶望感が襲ってきたこともあった。
    あんなにしっかりしていた人なのに。


    認知症にも種類がある。症状は固定したものではなく、揺れ動く。聴くということは待つということ。待つということは、その人に時間を差し上げること。


    知っていたら、少しは変われていただろうか。
    でも、認知症で全てのことが分からなくなる訳ではないということだけでも、理解していたら良かったと思う。

    祖母も、何も言わずに耐えていたのかな。

  • 加齢とともに訪れる可能性が高い、認知症がどういう状態なのか、全く知らないままマイナスのイメージを持っていたが、人によって症状は異なるもので、どういう風にその人に接するべきなのか、知ることができて本当に良かったと思う
    高齢化が進んでいく中で、認知症に家族だけで対応するのは負荷が大きすぎる、社会全体で支える地域ケアの整備や仕組みづくりが必要とのお話、もったもだと思う
    みんなが知らんぷりをして、当事者だけが悩むようなことではいけないのだと思った

    印象的だったのは、クリスティーンブライデンさんの「私は最も私らしい私に戻る旅に出るのだ」という引用
    脳の奥に行くにつれて、認知機能→感情→その人らしさ が詰まっていて、表面的な部分から徐々に失われ、自分らしさの脳になっていくことを指している
    その人らしさを尊重する、支えるという考え方を重ねて伝えてくださっていたが、このことはずっと覚えていたいと思う

  • 今まで認知症に関してネガティブなイメージを持っていた。この本を読んでネガティブであったり、恐れ過ぎることはないと感じた。何より、認知症になった人自身が綴っているので説得力が違う。将来もしくは今向き合わなければならない認知症の知人と関わっていく上で考えるべきものの手掛かりが見つかりました。

  • TVで見て気になってたやつ!
    認知症専門医として第一人者の先生が、自分も認知症にかかって書いた本。「痴呆」を「認知症」に変えた1人。生き方がすごい

    • wakichanさん
      めっちゃ気になる!
      めっちゃ気になる!
      2021/02/21
    • さくさん
      とてもよかった!ほんとにこの先生にしかできない経験だし、それを垣間見れただけでも感動
      とてもよかった!ほんとにこの先生にしかできない経験だし、それを垣間見れただけでも感動
      2021/02/22
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著者プロフィール

1929年愛知県生まれ。53年、東京慈恵会医科大学卒業。74年、「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表(改訂版は91年公表)。89年、日本で初の国際老年精神医学会を開催。2004年、「痴呆」から「認知症」に用語を変更した厚生労働省の検討会の委員。「パーソン・センタード・ケア」を普及し、ケアの第一人者としても知られる。現在、認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医大名誉教授。認知症を描いた絵本『だいじょうぶだよ――ぼくのおばあちゃん――』(ぱーそん書房)の作者でもある。

「2019年 『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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