ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046044990

感想・レビュー・書評

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  • 医療者である自分自身、認知症に偏見や思い込みがあったのだと衝撃を受ける。
    認知能、感情脳、そして自分らしさだけの脳が残っていく。
    「時間を差し上げる」がやはり重要なのだと学ぶと同時に、急性期病院では叶わないことへのジレンマに打ちのめされる。
    それから認知症患者に目の前で、「認知機能はだいぶ低いから」と言った医者のことが許せない。

  • 気圧低くて仕事捗らないから読み始めたけどさらっと読了。長谷川先生のあたたかい気持ちからくる、誠意のあるあたたかい言葉選びだなあと感じる。

  • 患者だからと言って相手を騙さない

  • 背ラベル:493.758-ハ

  • 長谷川式簡易スケールは、臨床の場でよく使われる、医療従事者にとってはおなじみの検査。
    認知症の専門医である長谷川さんですら、当事者になったことで初めてわかったことがあるという。

    認知症だからといって差別をしてはいけませんとか、尊厳を持った1人の人間として接しましょうとか、そういった認識は医療従事者であれば持っていて当然で、むしろ当たり前すぎて「何を今更」と感じたのが正直なところ。

    しかし、読み進めていくうちに長谷川先生の認知症への探究心、認知症になってもなお、それに悲観せず認知症を深く知ろうとする姿勢に心を打たれた。
    同時に、自分がやってきた(やっている)看護やケアは実際のところどうなのか、振り返る機会があまりなかったことにハッとした。

    今まで臨床の現場にいて、認知症の患者さんと接することはかなり多かった。
    新卒で勤めた消化器外科病棟でも、その後転職した整形外科クリニックでも、高齢者が多く、認知症の方とのコミュニケーションは日常的だった。

    記憶に新しい整形外科クリニックでの経験を思い起こしてみる。

    クリニックでは、まず初診の患者さんは受付から「問診票」を渡される。
    どの部位が・いつから・どんな症状があるのかなど、簡単な質問用紙を記入してもらう。
    私たち看護師は、その問診票を元に直接本人へ詳しい状況を聴取しに行く。
    (診察が混んでる時にそれをやっとくと色々とスムーズだからだ)
    さて、私はその問診票から、その初診患者には転倒による外傷があり、また施設に入居していて、既往に認知症があるという情報を得た。
    待ち合いに出ると、車椅子に乗っている高齢者と、その隣にポロシャツ姿の方がいるのを見つける。この方かな?と予想ができる。
    (施設入居者は、たいていその施設のスタッフまたは家族の付き添いがある。そしてほとんど問診票も付き添いの人が記入する)
    「〇〇さん」と呼ぶと、スタッフの人がいち早く反応し、そちらに向かう。
    「こんにちは。今日は転倒されて〜を打って〜な症状があるんですね」
    みたいな感じで聴取していく。
    もちろん腰は落として、目線を合わせることは基本中の基本。
    だけどここで私がしでかしていたことに、今になって気づく。
    私はその患者さんではなく、施設スタッフへ聴取を開始しているのだ…
    「〇〇さん」という最初の呼びかけで、患者さんの反応が乏しかったこと、(実際に反応したのは隣のスタッフ)、既往の欄に書かれた「認知症」という文字。
    たったこれだけの情報で、患者よりもスタッフに聞いた方が迅速で正確に聴取できると判断したからだろう。
    一応、患者本人に転倒した時のことを覚えているか聞きはするけど、「どうせ覚えてないだろうし、覚えていたとしてもちゃんと説明できないだろうな」という固定観念はなかったか?と問われると、小さな声で「アリマス…」と言わざるを得ない。

    転倒を発見して、受診が必要だと判断したのが施設スタッフだとしても、治療を必要としているのは患者である。
    まず患者本人に意識を向けずして、患者中心の医療とは言えないはずだ。

    この一例は小さなことかもしれないけど、実際のところ、こういう小さなことの積み重ねで医療や介護の質って決まるのかもしれない。

    (ただ実際、全部が全部時間をかけてやってしまうと、他の患者を長時間待たせることになるから、いい塩梅でやるのは大事)

    私みたいに医療・介護の臨床に携わる者にとって求められるのは、実践力だ。
    理論をどれだけ理解したところで、それが社会に還元されなきゃ意味がない。
    自分がやっている看護は、患者の目線に立てているだろうか、という視点は、当事者の訴えを見たり聞いたりすることでよりクリティカルなものになっていく。

    たまにこうやって自己を振り返ることで実践力を高め、ゆくゆくは超高齢社会を支える一員になれるよう精進していきたい。

  • 医療関係者は誰でも知っている認知症のスクリーニング検査『長谷川式簡易知能評価スケール』。これを開発した長谷川和夫医師本人が認知症となり、他人事ではなく自分事として捉え書かれた貴重な本。認知症についての歴史、検査を開発した経緯、認知症ケアの理想「パーソン・センタード・ケア」、認知症になってわかった事柄などが書かれている。
    これからの社会により必要になってくる内容である。

  • 自伝的に認知症テストの開発の流れが描かれている。当事者としての不安感も伝わる。

  • 認知症を数値化したり、地域包括ケアの先駆者としての功績はわかるが、他は特に目新しい情報は得られなかった。発症して、それまでの診断や考えが覆るくらいの葛藤や、感情の揺れ…そんな記述はなく、ひたすら穏やかで環境に恵まれた余生。何がわかったの?なんの参考にもならない。編集が悪いのか?

  • 長谷川スケールの長谷川先生が自ら認知症になったことを公表された著書。

    午前中は調子よく、午後は疲れてしまいわからなくなると言う。

    初期の段階で診てもらう方がいいのだろうが、やはり病院で検査を受けさせるのは本人が嫌がったりして連れて行きにくい

    将来的に認知症にならない薬ができるのだろうか

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著者プロフィール

1929年愛知県生まれ。53年、東京慈恵会医科大学卒業。74年、「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表(改訂版は91年公表)。89年、日本で初の国際老年精神医学会を開催。2004年、「痴呆」から「認知症」に用語を変更した厚生労働省の検討会の委員。「パーソン・センタード・ケア」を普及し、ケアの第一人者としても知られる。現在、認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医大名誉教授。認知症を描いた絵本『だいじょうぶだよ――ぼくのおばあちゃん――』(ぱーそん書房)の作者でもある。

「2019年 『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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