夜市

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 2629
感想 : 565
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  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048736510

感想・レビュー・書評

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  • 「自分が大切だと思っていたものが、さほど大切ではない、それどころかゴミのようなものだって気がついた」という、セリフが印象に残った。
    ホラー要素と制約の中、どのように目的を達成して異世界から脱出するかというミステリー要素がうまく合わさっていた。

  • 異形のものが集まる夜市。主人公は、こどものころに夜市を訪れ、弟を人買いに売ってしまう。深く後悔し、今度は自分を売ってでも弟を助けに行く、というな話。

    弟は、異世界で苦労しながらも強くなり、最後は兄を助ける。

    雰囲気もよいし、ストーリーも泣かせる。ただ、なんだろう。夜市には3回までしか行けないとか、いくつか設定があるのだけど、なんだか都合よく使われている設定もあって、ちょっと興ざめ。

  • 2020.10.03

    ファンタジー要素強め。ホラーとはちょっと違うかな?と思ったけどこういうのダークファンタジーって言うんですね。
    淡々と綴られているけれど、夜市の情景が浮かぶ。
    普通の人間は夜市に入れないらしいけれど、最初に兄弟が入れてしまったのは偶然?

    不思議なお話だけれどお話はうまく綺麗にまとまっていて、読んだことのないジャンルだったけれどスイスイ読めました。
    ちょっと気になる作者さんなので他の作品も読んでみたいと思いました。

  • ある少年は、異形のものたちが集う夜市で、弟を売り引き換えに野球の才能を手にいれた。しかし、それは才能と呼ぶには半端で、結局は弟を売ったという罪悪感を苛まれるばかりだった。長き間苦悶した彼は、弟を取り戻すために再び夜市へと足を運ぶ。著者のデビュー作を今更であるが読了。少し暗い雰囲気が漂う和風のホラー。読んでいて一番最初に頭に浮かんだのは「千と千尋の神隠し」の序盤に出てくる薄暗い中に提灯がぼんやりと浮かんだあの街の様子。もちろんこんな不可思議なこと体験した事がない(それでも、私は忘れているだけかもしれない、こんな景色を見た事があるかもしれないという謎の既視感を感じる)相変わらずどこか懐かしい気分にさせる。怖いし、不気味だがやはり最後に脳裏に浮かぶのは昔子供の頃に体験した夏と秋との間の景色。同時に収録されている、人間が入ってはいけない道の話「風の古道」の方が私は好き。この人の話は文章をゆっくり読んで、目をつぶって、次に目を開けると私はこの作中に出る不可思議な場所ににいるのではないかという妄想をついしてしまう。

  • 日本ホラー大賞受賞作の標題作「夜市」と「風の古道」の2編。ホラーという言葉で連想するものとはちょっと違う。幻想的で妖しげで、哀しみを湛えた静かな物語。
    和風ファンタジーの風情が郷愁を誘う。あやかしや禁忌、こちらとあちらの境界といったものを無駄のない美しい文章で綴る物語は、映像美すら感じさせる。

    先を予測できないストーリーはよくできていて最後まで楽しめ、読後はしんとした気持ちになる。特に「風の古道」のしっとりと胸に迫る世界観に耽溺した。

  • 日常と非日常の狭間の話。
    日本ホラー小説大賞受賞作という文句に惹かれ購入。

    表題作よりも、『風の古道』の方が作品的には好きだなぁ。なんだか千と千尋の神隠しみたいな印象で、タイトルといい作品に流れる雰囲気といいホラーというよりも謎・不思議といった感じ。
    夏と秋の間のこの季節に読む物語としては最適だったなぁと思った。
    -------------------------
    妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものがなんでも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻す為、裕司は再び夜市を訪れた――。奇跡的な美しさに充ちた感動のエンディング!魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。
    (紹介文参照)

  • 読んでいると頭の中に不思議な世界の情景が浮かび、実際に映像化されたものも見てみたいなと思った。
    「風の古道」は表題作に比べて期待せずに読み始めたがこちらも伏線が張られた内容で面白く読めた。

  • ミステリー小説カテゴリだったけど、怖さはなく、幻想的なジャパニーズファンタジー。
    中編小説が二作で、私は他収録の「風の古道」の方が印象に残った。
    どちらも居ない人を諦められない人の話。
    展開はある程度予想できたけど、それを上回る世界観と幕引きでした。

  • その世界に引き込まれて行くような、ムードをもった話。表紙も素敵。

  • 夜市。
    ありとあらゆるものが取引される世界。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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