お台場アイランドベイビー

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.21
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741125

感想・レビュー・書評

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  • 20110913開始
    読了後、「横溝正史ミステリ大賞って、新人文学賞じゃなかったっけ?」と調べなおしてしまった。
    めっちゃくちゃ面白かった。
    東京を襲った大震災後という設定、謎の子供集団、個性的なキャラクター、ほんとどれをとってもよかった。
    巽の関西弁がなんともいえない優しさを纏っていて、目頭が熱くなるシーンもあった。
    ほんとうに面白かった。

  • 読みはじめたら一気に読んでしまった。
    勢いはあるし、巽とかみどりとかはすごい熱いのに、いまいち危機感を感じられなかったのは、選評にも書いてあったけど善人が多すぎるせいかな?
    でも面白かった。最後がちょっとあっけなさすぎて切ないかな…。

  • 東北震災の後に読むと、事実は小説よりも奇なりとはよく言ったもんだと痛感。
    ストーリーはなかなかどうして、これはこれで面白くまとめていると思う。
    主人公の周りにいい人しかいないのは確かにリアリティーとしては甘いのだろうが、勘繰りが不要で読み易くなっているという意味では、間口は広いんじゃないかなぁ。

  • 最初は面白く引き込まれたものの途中からトーンダウン。
    なにがよくなかったのかなぁ。ラストの主人公もあれじゃ浮かばれないなぁ(苦笑)

  • しまったー!読んだ時期が悪かった。超こわいよ。地震なんてこの世からなくなればいいのに。
    感想はみなさんが書いているレビューに賛成だな。刑事の女性が同性愛者である、という伏線、結局なんだったの・・?とかいろいろありますが、全体的にスピード感があって読ませる力があると思いました。今後の作品にも注目したいですね。

  •  新人が書いた作品ということなら合格点だろうけど、横溝正史の名を掲げている文学賞としてみるともうちょっと完成されたものを期待してしまう。とくに登場人物の設定が?なことが多かった。

     物語の展開も遅く、前置きが長すぎて『大賞』という冠がなければ途中で投げ出していたかもしれない。
     
     でも筆力はありそうなので、今回はともかく、そのうち傑作を書くかもしれないという期待感がある。

  • とにかく文章が読みやすくて、冒頭からひきつけられました。
    巽の関西弁が個人的にはツボでしたね。
    みどりが同性愛者であるということが、どう物語に関係するのかが曖昧だったのは残念でしたけど、そのおかげでで巽との特別な関係が成立しているのだと思います。
    「子どもの頭の匂い」親はこれに弱いんですよね。
    大杉栄の「自己決定権」を持ってきたところが面白いと思いました。

  • やっぱり次の家は武蔵野方面にしよう

  • ■首都東京に直下型の地震。液状化が酷くてお台場は早々の放棄され立ち入り禁止区域になっている....って、なんだかこの設定もこのタイミングで読むのはさすがにアレ(今回...というか最近は...そんな本が重なってしまうのはナゼ?)なんだけど、読み始めたらこれも一気。

    ■独特の世界観。平時であれば「なーんだ」って思ったかも知れないけれど、今のこのタイミングに読むとなんだか余計にリアル。大円団への展開は細かい部分のモチーフがちょっと強引すぎてアニメっぽい部分は否めないけど、読み終わった後の爽快な感じはドロドロしたストーリーと真逆で面白かった。

  • 東京を壊滅寸前まで追いやった大震災から4年後、息子を喪った刑事くずれのヤクザ巽丑寅は、不思議な魅力を持った少年、丈太と出会う。彼の背後に浮かび上がるいくつもの謎―消えていく子供たち、埋蔵金伝説、姿なきアナーキスト、不気味に姿を変えつつあるこの街―すべての鍵は封鎖された「島」、お台場に―!?震えるほどリアルな「明日」の世界に、守るべきもののため全力で挑む人々の姿を描いた、フルスケールの感動ミステリ!第30回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

  • ヒルの章まで読んだけど、気持ちが乗ってこないので終了。

    参考までにアマゾンのレビューを見たらけっこう酷評されてるやん。こりゃ最期まで読まなくて正解かも。

  • 父親からもらったから読んだ。話が壮大で、アクションも派手でとても面白かった。国家権力、カリスマ思想家、謎を暴いて行く警官といった話の構図が攻殻機動隊に似ているような気がする。巽が言ってることの方が正論過ぎて、個人的にあまりオオスギを好きになれない。

  • 2月7日~20日

    東京を壊滅寸前まで追いやった大震災から4年後、息子を喪った刑事くずれのヤクザ巽丑寅は、不思議な魅力を持った少年、丈太と出会う。彼の背後に浮かび上がるいくつもの謎―消えていく子供たち、埋蔵金伝説、姿なきアナーキスト、不気味に姿を変えつつあるこの街―すべての鍵は封鎖された「島」、お台場に―!?震えるほどリアルな「明日」の世界に、守るべきもののため全力で挑む人々の姿を描いた、フルスケールの感動ミステリ!第30回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

  • 読み応えのある一冊でした。この作家さんは東大で博士までとった賢い理系さんらしいのですが、文章は平易で読みやすかったです。主人公の独特な関西弁と作家さんがどうもイメージがあわなかったけど、そんなこと気にしなければ、すんなりした文章。

    事件は、2010年ころかな?詳しくは書いてあったような気がするけど、ちょっと覚えてない。その4年前に関東大震災があったという設定で、東京はもうボロボロになっているところから、始まる。

    お台場は液状化現象がおきて、崩れに崩れて、封鎖されているし、地下鉄は4年間安全が保証されずに運転停止、国民健康保険の制度が民間にゆだねられている設定になってた。

    はじめにその異常な情景が描かれてはいるけれど、震災の話がでてくるのが10ページも読んでからって感じで(はっきり何ページかわからないけど、そんな気がした)、なんだかモヤモヤした。状況が整ってからは、話の展開が良くて、ひきこまれます。

    阪神の震災と違って、治安が極端に悪くなってる設定だけど、やっぱ東京が震災にあうと、そうなるのかなぁ〜?と思ったり。それって、東京の人を信じてないってことかなぁ?って思ったり。それだと、やっぱ、普段の生活に安心が感じられにくいなぁって思ったり。

    主犯がオオスギって名前なんだけど、その辺はロマンがあって好きです。

    そういう社会派なとこが好き。

  • 悪くはない。決して悪くはないんだけど、あまりにもいろんな含みをたくさん詰め込みすぎてきちんと回収できていない点、お台場封鎖に至った動機がいかにもありがちすぎな点、何より、俺が一番嫌いな終わらせ方をした点がどうにも納得できなくて残念。

  • 第30回横溝正史ミステリ大賞受賞作。どうやらこの方
    過去にも乱歩賞の最終候補にも残っていたそうです。
    というだけあって、かなり読ませる文章と作品の骨子
    をしっかり築ける力のある作家さんだと思います。
    序盤から中盤そして後半と、読んでいて興味を持つ
    ポイントを上手く移行させながら、ラストまで
    一気に読ませてくれます。
    東京を襲った大震災によって引き起った日本経済の破綻と
    国籍を持たない震災ストリートチルドレン、封鎖されたお台場...
    とそれぞれが接点を持ち、アナーキズムや談合、国籍という
    主題を軸に絡まって展開されるストーリーは抜群。

    かなり面白くは読んだんですが、所々、何かが
    引っかかる...。言葉に出来なかったんですが巻末の
    選考者達の選評を読んで納得。細かい部分の書き込みの
    不足と、「悪」をイメージさせるもののパワー不足
    だったんですね。善い人だけで、このストーリーを
    展開させるのは確かに勿体ない。
    そして、主人公「巽」が向かえるラスト...これは
    450Pを一緒に過ごしてきた読者からしたら、余りにも
    あっけなく、もっと想い入れたかったなーと。

    でも、個人的にはこの賞受賞者では初野晴氏以降、
    今後の作品の期待度が高い作家さんです。次作も楽しみ!

  • 近未来の話。スピード感はあるし主人公に共感も出来るのだが、なかなか進まなかった。後半ネタバレになってきてからのディティールが曖昧。

  • 横溝正史ミステリ大賞受賞作。でもあまりミステリ……ではないかも。ややハードボイルドな近未来サスペンス、かな。登場人物は個性的で、読み心地は軽快です。大変なことになっている「お台場」の情景も、なんだか魅力的。
    さほど意外な結末というのはないけど。ストーリーには引っ張られて読みました。ラストのコアジサシは凄い! まさかマングースが伏線だったとは(笑)。

  • 泣いてしまった

  • すっごい『素材』量。
    もうてんこ盛り。大したもんだというくらい並んでる並んでる。

    んが、肝心の小説そのものがどうにも退屈。
    中だるみ酷くないですか。
    これだけいい素材がばら撒かれているのに、「どうなる?どうなる?」と、ページをめくる気にまるっきりならなかったのは何故なのか。

    無国籍チルドレン……近未来の壊れかかってる日本とお台場……
    都知事やらヤクザやらも絡む絡む。
    アレー。こんなに面白くなりそうなのに、なんでこんな退屈なの???

    特にみどりさん、あのような性向にする必要があったのですか?
    本のキャッチに「母になるために女は」的なことが書いてありましたけど、そんな掘り下げた内容ですかね、コレ。
    編集さん(だったかな)が、読み終わって原稿抱えて泣いたってどこかで読みましたヨ^^;
    そ、そこまでグッとくる……?

    あ、でもラストのお台場のシーンはカタルシスがあった。
    「おおお」と迫力があった。
    今までの伏線がバッチシ効いてるもんね。

    いや、舞台設定は「大したもんだ、よくぞここまで」というくらい作り込まれているのですよ。
    もっと面白くなるんじゃね、もったいない!というのが一番の感想なわけです。
    ですが、きっとこれから面白い小説をたくさん書かれる方のような予感がします^^
    今後に期待☆

  • 大変面白く読みました。
    孤立したお台場は「ぼくらの未満都市」(懐かしい…)、ADSは「怪奇大作戦セカンドファイナル」からヒントを得てるンではないかしら。たまたまか。
    甘粕事件を調べたくなった!
    知的好奇心を刺激してくれる作品は好きです。
    しかしミステリ色は弱い気がしたので、★少なめで。
    次回作も是非読みたいです。

  • 今年の横溝正史ミステリ大賞受賞作。
    「大賞史上、最も泣けるミステリ」と銘打ってあったので期待してたのですが、正直あまり作品世界に入り込めませんでした。

    近未来の東京を舞台にした社会派サスペンス。
    急激な大不況、そして大震災に見舞われ、治安が非常に悪化した街の様子がすごくリアルでした。
    作者は理系の方らしく、崩壊した街の描写は論理的で説得力があります。

    そういう舞台背景には魅力を感じたものの、登場人物やストーリーは少し退屈でした。
    文章も読みやすいし、別にどこが悪いってわけじゃないんですけどね。
    「消えたストリートチルドレン」という謎にあまり惹かれなかったというか…。

  • 東京を壊滅寸前まで追いやった大震災から4年後、息子を喪った刑事くずれのヤクザ巽丑寅は、不思議な魅力を持った少年、丈太と出会う。彼の背後に浮かび上がるいくつもの謎―消えていく子供たち、埋蔵金伝説、姿なきアナーキスト、不気味に姿を変えつつあるこの街―すべての鍵は封鎖された「島」、お台場に―!?震えるほどリアルな「明日」の世界に、守るべきもののため全力で挑む人々の姿を描いた、フルスケールの感動ミステリ!第30回横溝正史ミステリ大賞受賞作(「BOOK」データベースより)

    感動ミステリ、ってほどではないけれど、なかなか骨太な社会派サスペンス小説でした。
    マサイ族の血を引く少年がキーとなる設定は面白かったな。
    巽と上司のみどりの二人の視点で交互に語られていくのだけれど、途中からみどりさんの出番、あんまりなかったよね。なーぜー。
    みどりさんの性志向云々も、別になんの意味もなかったような・・・。
    いらない(と思われる)部分がちょっと気になったかも。
    でも作家さん自身が物理学者さんだそうで、地震にまつわる設定の説明はなるほど大変お上手です。
    読んでてものすごくリアリティがあります。
    ストーリーの構成もよかった。
    キャラクターはもうちょっと書きこんだ方が感情移入できたかなぁ。
    格言好きなネムリさんやダーウェイなんかがお気に入りだったのだけれど、この二人は特にもっと活躍できたような気がします。
    (ん?それは単なる依怙贔屓か?)
    おしいな~ってところはちらほらあれど、全体的にみると、やはり読み応えのある一冊でした。
    選考委員が全員一致で大賞に推しただけはあるのではないかと。

  • 期待以上に面白い

  • 最後のあたりが凄くスピードがあって読みやすかった。
    ハッピーエンドだったらいいのに。
    (基本ハッピーエンドがいいので)

  • 人物描写が薄い気がしました。巽をもっと魅力的に奥深く描き、最後は死なせることなく、これからの丈太との関わりを書いて欲しかったです。

  • まあまあ面白かったんだけど、あれだけ引っ張って、最後があっけなさすぎ。丈太の特殊能力で切り抜けるんだと思っていたのに・・。設定なんかも面白かったから、惜しいな~って感じ。でもまあ、全体的には読み応えがあって読書家向きかな?と思いました。

  • 今後に更に期待。

  • 横溝正史ミステリ大賞(2010/30回)

  •  第30回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

     なんだけど……どうなんだろう。
     勝手な予想なんだけど、大賞受賞時は、もう少し荒削りでイキオイのある作品だったのではないか? 指摘を受け、なおして出版したらこうなってしまったんではなかろうかと。

     決して「つまらない」と捨てられる作品ではないけれど。
     物語としての筋がなく「あんな事件がおきた!」「こんな事件がおきた!」と登場人物が右往左往するうちに明かされる衝撃の真実(作者視点で)が! ……という感想。

     描写力があるのに、物語の求心力が弱いから、設定の甘さが目立ってしまうのがとても残念。(おそらく、ぐいぐいと読ませる求心力があれば、設定の細かいところは気にならなかったと思う)

     正義側の主人公に重点を置くにしては、ライバルの悪役が弱くて物語としてのバランスが悪い。脇役で出番の少ない中国マフィアが魅力的だし、アウトローも生き生きと書かれている。作者は正義側より悪役を書くほうが楽しそう。もしやこれ、視点を敵側において、子供を奪おうとしているピカレスクロマンの方が面白かったんじゃないかな。別視点で出ないかな。続編でもいいけども。


     以下ネタバレかつ批判度合いが増えるので、読了後の方がお楽しみください。

     まず登場人物。
     関西弁を操る元刑事のヤクザ崩れ。過去に子供が居たとは思えない扱いの悪さである。どんだけ自分の子供が嫌いだったんだろうか……いやほんとに彼が子供に対して取る動きを読むと、恐らく作者が彼に与えたかったであろう属性「子供を亡くした主人公が、寄る辺ない孤児と出会い、守る」って言うことに説得力がなくなることこの上ない。「設定有りきだったのかな」と思ってしまう。
     あと、主人公の行動からして、なんで彼に人望があるのかさっぱりわからないのが残念。関西弁がうさんくさいからそう感じるのかも。

     続いて主人公の元上司の女刑事。えええと、あなた通常業務しないで何してるんですか? この時代刑事って、警察手帳持って好きな仕事してていい仕事なんですか? と突っ込みたくなる。 この作品での治安というか刑事の位置づけが全く見えない。
     記号刑事という印象なので、彼女は、女探偵(刑事からの情報については情報屋)でいいんじゃないかなぁ?と感じた。それなら治安悪くて刑事が役に立たない世界って印象ももてるしね!
     彼女の性癖が、物語にとってあんまり意味がないと感じたんだけど、本当のところどうだったんだろう。(女刑事の相手役がステレオタイプで、私が魅力を感じないのも問題あるんろうだけど)。
     何よりも、主人公に強姦されかけてその情けなさを見て、自分からカミングアウトするってどんだけ善人なんだこの女刑事。主人公と過去にどんな信頼関係が有るのか、全く想像のつかなかった。(信頼関係はあるって設定ではある)
     ちなみに彼女が捜査をし続ける意思が続くかも不思議(部下の敵討ちって話だけど……ぜんぜん部下のことを思い出さないのが彼女である)。
     女刑事には事情のある娘が居て、これを孤児と触れ合わせるための設定なんだろうけど……素直に女やもめでいいじゃない、性別男性でもいいじゃないと私は思うけど、彩りで女性にしたのかなぁという気がする。事情についても、恐らく「母性本能アピール」から「彼女が孤児に意識を向けることを自然に見せるため」なんだろうけど、女刑事があまり女らしくなく、孤児に対しての行動が大雑把すぎて「設定ありきなんだろうなぁ」と感じてしまった。

     孤児君。ほんとに君なにしてるの……!? 動物に対する知識の造詣の深さが、最後の1章のための伏線なのは分かるけど、それに対する対価を支払っていない感(弱点もあるけど利点のみをアピールされている)。だがエンディングの扱いの悪さで帳尻が合っているのかも。一番かわいそうな子だと思う。

     上にも書いたけど、物語の求心力が薄すぎる。そして主要登場人物だけでこれだけの突っ込みどころがある。
     まず筋がない。魅力的な謎も提示されずに事件が連続しておきても「ハァ」であるし、捜査するっていっても、上記の通りである。

     謎の孤児を見つけるところが最初のポイントなんだけど、「孤児がいました……で?」という感じだし、続く「孤児の母親探し」も、結果から見れば「どうして探してたの? え? 君たち仲悪いの?」と心配になる。

     序盤で殺される女刑事の部下も「敵討ち」という仕掛けを作るための起動装置にしか見えない。女刑事が責任を感じ、捜査を続けるには、部下が女刑事にとって大切な存在であったり、部下の家族にとって大切な存在であったり(簡単に言えば家族が女刑事をなじるとかね)、そういう描写があってもいいんじゃないかなぁ。
     殺された理由が分っても「え?」だし、最後には女刑事もどう見ても敵討ち忘れてるし……いいのかそれで。殺され損ぽくてすごくかわいそう

     中盤に出てくる脇役たちも、個性豊かで楽しそうなんだけど、いかにも「盛り上げるために出てきました!」という感じで……こう、一場限りの役であり、後に続く扱いではない。(一部のキャラクターはすごく生き生きしてたんだけど、残念ながら、出番はあまりない)

     謎を握る記者が失踪し、彼の遺したファイルサーバからデータを抜き出すのはいいとしても、最近彼がそこにアクセスしたら「保護しなきゃ」とか「話聞こうぜ」ってなるのが普通じゃないのかな……? あれ? 「わーいヒント出た! バンザイ!」って探しもせずに、記者を放置するところに驚いた。(ページの都合上そうなったんだろうけど)

     何よりも、悪役が弱い。都知事の影が薄すぎて、残念な感じになる。主人公の一人称ではないんだから、エピソード入れてあげればいいのに、あまりにも影が薄く、登場シーンすらない。なんてかわいそうなんだ。ラスボスも……なんだかなぁ……であるし。

     でも上に書いたとおり、描写力はあり、読ませる作者さんなんだと思う。それゆえに設定の荒さによる齟齬が目立ってしまう。なんか勿体無いなぁと感じました。

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著者プロフィール

1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞を受賞。20年刊の『八月の銀の雪』が第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補となり、2021年本屋大賞で6位に入賞する。近著に『オオルリ流星群』がある。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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