僕が僕をやめる日 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049128604

作品紹介・あらすじ

「死ぬくらいなら、僕にならない?」――生きることに絶望した立井潤貴は、自殺寸前で彼に救われ、それ以来〈高木健介〉として生きるように。それは誰も知らない、二人だけの秘密だった。2年後、ある殺人事件が起きるまでは……。
 高木として殺人容疑をかけられ窮地に追い込まれた立井は、失踪した高木の行方と真相を追う。自分に名前をくれた人は、殺人鬼かもしれない――。葛藤のなか立井はやがて、封印された悲劇、少年時代の壮絶な過去、そして現在の高木の驚愕の計画に辿り着く。

 かつてない衝撃と感動が迫りくる――緊急大重版中『15歳のテロリスト』に続く、衝撃の慟哭ミステリー最新作!

感想・レビュー・書評

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  • 松村さんらしい、閉塞感のある物語でした。決してハッピーエンドではないのになぜか面白い、なぜか引き込まれる。松村さんは友だちのすすめで読み始めたのですが、出会えてよかったと思います。

  • 重さが増す一冊。

    手にした時の軽さから一転確実に読了後は重さが増す。

    絶望から救ってくれた人は殺人鬼なのか…ざわつく心は先を知りたがる。

    世界は僕たちに興味ないから。

    この言葉の意味を知れば知るほど心に杭を打ち込まれるような思い。

    たしかにここに存在するのに魂があるのに…それはまるで名前のない、つけられない「哀しみ」。

    その哀しみを抱えている人が必ず存在することが重く突きつけられる。

    終盤の二人の間に流れる時間、“救う”が二人の魂を行き交うような時間は息をのむ時間。

    二人の選んだ道、心に刻まずにはいられない。

  • どん底だった立井は,高木健介の身代わりとしてまともな大学生活を送れるようになったが,殺人容疑をかけられる。自分を助けてくれた人は殺人犯。学校へ行けず医療も受けられない無戸籍児の問題が闇すぎ

  • '23年4月20日、Amazon audibleで、聴き終えました。松村涼哉さんの小説、初体験です。

    とても、良かったです。ズッシリと重いストーリーも、サスペンスフルな展開で、一気に聴いてしまいました。

    で、感想としては…僕には、「友情」の話に思えました。他人の痛みを思い、なんとか救いの手を差し伸べたい、主人公。引き込まれてしまいました。

    他の村松作品も、読んでみたいです。

  • 題名から内容に想像がついた。主人公は立井潤貴、不運から自殺企図するが、直前に高木健介から引き止められ、身代わりを提案される。

    立井の性格は真面目で正義感のあるタイプだと思う。しかし、高木には過去があった。
    それは産みの両親に対する反目なのか?世間に対する憤りなのか?立井は、2年間で友人となった高木の失踪を追いかけていく。自分をあるいは高木の周りを取り巻く人々との人間関係から、立井は葛藤する。

    そこから自分の生き方や考え方が変化していく様は、私には美しさを感じさせてくれた。
    そして、立井自身の持ち合わせた正義が顕在化されていく描写は感動させられた。高木の真実がわかり、人の痛みに気づき、高木を救いたいと、行動する。

    良文で読みやすく、奥の深い作品であった。

  • 自殺寸前で違う人間として生きる事になった立井。
    そして代わりとなった高井。
    殺人事件を機に明かされるそれぞれの過去と繋がり。
    物語はスピーディーに進んでいくけど結末は最後まで予測出来ず。
    惹きこまれて一気読みしました。
    2人の想いと志。結末でひとつのかたちと未来が見えたかな。

  • 自殺寸前の立井を止めた男・高木。「死ぬくらいなら、僕にならない?」との奇妙な提案によって、立井は高木として生きるように。二人は平穏な共同生活を送るも、高木が失踪。立井は高木として殺人容疑をかけられる。

    高木は人殺しなのか。そもそも彼の正体は何者で、なぜ入れ替わりを提案したのか。殺人容疑をかけられる中、立井は手がかりをたどりながら高木の過去を追体験する。真相への道は高木の魂へと触れる道だった。謎へ迫る展開はスリリングで、読むほどに人間ドラマが深まっていく。

    法では救われない人の存在、感染し連鎖していく悪意と貧困。容赦なく繰り返される悲劇へ出した答え。それは間違ったものではあったけれど、救われなかった人たちが最後の最後で魂を救い合ったのはよかった。読後にタイトルを見直すと、また違った味わいを感じられるのも粋。

    かなり重いテーマ、複雑な人間関係を描きながらも、立井と高木の二人にフォーカスしながらテンポよく進んでいく物語は見事だった。作中作の小説が魂の叫びを届けているように、この一冊もまた同じ魂を伝えているのかもしれない。

  • スピード感がありとても読みやすかった。
    全てが最後に収束し、
    読み終わってスッキリする本。
    短い時間でサラサラ読めるので
    初心者におすすめ。

  • 死ぬくらいなら僕にならない?
    自殺寸前で高木に救われた立井は、高木として生活しながら共同生活を始める。
    高木はほとんど自室から出てこないし、自分のことは話したがらない謎多き男だったけれど、
    2年間過ごすうちに仲良くなれて…と思っていたのに、高木は急に立井の前から姿を消し、代わりに現れたのは警察官だった。立井は高木と思われたまま、殺人容疑を掛けられる。
    高木は殺人鬼なのか?名前をくれた彼を信じたい気持ち、自分が犯人にされたくない気持ちもあり、立井は高木の過去を置い始める…
    というあらすじ。

    かなり重く、気分が悪くなるほど悲惨な話のはずなのに、立井と一緒に私も高木という人物の過去をどんどんしりたくなり、真相を求めてページをめくる手がとまらなくなってしまった。色んな場所で見つける過去の断片がパズルのピースのように組み合わさって、完成が近づくにつれて嘘でしょ…??こんなことって…と言葉を失うような衝撃。
    2人の友情の美しさと、物語の悲惨さが両側から押し寄せてきて言葉にできないなんとも言えない感情になったけどほんとに凄い小説だと思った!

  • 【購入本】前作『15歳のテロリスト』を読んだときも思ったが、この作家さんは出来事の一瞬一瞬を繋げるのが上手い。何気なく見つけた小さな事実が、最後には大きな結末となって繋がっていく。読んでいてすごく心に響いた。話の流れ上、高木の生い立ちの方に目が行ってしまうけど、立井のいる環境もやはり劣悪なのだと思わされる。一方の面だけに目を向けているだけでは足りない。

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著者プロフィール

第22回電撃小説大賞で《大賞》を受賞した『ただ、それだけでよかったんです』(電撃文庫)でデビュー。『15歳のテロリスト』(メディアワークス文庫)が発売から反響が続き20万部を超える代表作に。以降、『僕が僕をやめる日』『監獄に生きる君たちへ』『犯人は僕だけが知っている』も発売即重版のヒット作となっている。

「2022年 『暗闇の非行少年たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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