わたしが棄てた女 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061311411

感想・レビュー・書評

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  • 一度交わった、同じ時間を過ごした人間の存在は自分の中に永遠に刻みつけられる、ってこと自体はニュートラルな事実だと思うし、良くも悪くも忘れたくない事実だと思うけど、みっちゃんの不遇な半生が交錯して、その負の側面が強調された形になってるのがちょっとさみしい。
    その事実をどのようにとらえるかで、人生が変わってくると思ってるから。

    男として自戒しろ、と言われてるような部分は痛いほど感じました。
    ただ、文庫版の130、133、147にあるような「男とはこのようなものだ」的な遠藤先生の定義には激しく反論したいなあ。こういうのがあると説得力に欠けると思う。

  • 2度目のデイトで渋谷の連れ込み旅館で体を奪われた森田ミツ。その後二度とその青年吉岡から誘われることはなかった。人の不幸せ、つらそうな姿を見ていられずに自らが犠牲になっても助けようとする。死を待つしかない癩(らい)病の隔離所でミツは働き始めるが事故で死んでしまう。

    哀しい話。ひどい男だと思うけど、人間なら誰しも状況は違ってもこういうことをしてしまう事はあるかもしれない。もしかしたら森田ミツみたいな人もいるのかもしれない。

    遠藤順子さんが『夫の宿題』で「遠藤周作の理想の女性は森田ミツ」って書いてあったけどこの子のことなのかな?

  • 大好きな遠藤周作だったのに…?

    内容が現代とかけ離れていて入り込めなかった

    残念?

  • かわいそうな人を見るとどうしても助けてしまうミツが、最後まで人のために死んでいく。吉岡さんを思って会うこともせず、それなのに最後まで吉岡さんを想っていた。ここまで人を想えることって、ないと思った。

  • 悲しかったがこれが人間だと思った。名作。

  • 不細工で愚鈍でついていなくても実直だと、マリア様に近付くらしい。 

  • 吉岡さんの考え方や態度を読んでいると、男の人ってみんなこんな感じなのかなと思った。
    ミツの他者を思いやる気持ち、隣人愛だなぁと思った。
    共感できる部分もたくさんあった。

  • 遠藤周作を久しぶりに読んだ。
    これは大衆小説の部類なのだが、非常に評価が高いことを目にすることが多かったので期待していた。
    確かに大衆小説なのだが、このテーマはまさに文学。
    出だしから重かった。
    いわゆる非モテの人間関係。
    リア充へ脱皮しようとする喪男(軽い障害あり)と、お人よしな典型的喪女(軽く白痴)。
    舞台は戦後だが、これは現代に全然通じる。
    というか現代こそ読んでほしい。
    イケてない奴ら全員。
    それからブスをヤリ捨てした男も、しょうもない男にヤリ捨てられた女も読むべき。
    このタイトル通り男が女を棄てるのだが、棄てられてからのミツを笑えない女性は多いと思う。
    ダメだよね、モテないと一人の異性を愚直なまでに思い続けるから。
    確かにミツは聖女には違いなかった。
    ただしブスだった。
    笑えないわ。
    最後も救いがあるんだが、ないんだが。
    同じくキリスト的な人間を描いたドストエフスキー「白痴」よりも断然こっちを支持したい。
    現実味が圧倒的。
    非モテ小説多々あれど、これはその最高峰かもしれない。

  • 100422(c 100502)

  • 実は中学生の頃一度読んだ事があったのだが.....
    当時は主人公の男が凄く素敵な彼女がいるのに、何故にこんな
    器量容量が悪いミツ事を時々思い出して手紙まで書いてしまうのか
    不思議で不思議でたまらなかった。
    不幸そうなところに同情している訳でもなく、かといって
    分かち合う訳でもない、この男性の心情は今でも100%分からない。でも中学生の時よりは少し遠藤周作の描きたかった本質に触れられるようになったかも。

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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