- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061494206
感想・レビュー・書評
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無限と哲学の話。
タジマ先生が簡潔に無限とは、を教えてくれます。
でも、後半は少々ついていけませんでした…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
笑える文章で楽しく読めますが、理解が難しかったので2回読みました。
実無限派と可能無限派のせめぎ合い。結局勝ち負けはつかないのだけど、
無限の捉えどころのなさというのを実感できました。
√2やπ(パイ)は数字ではなく、その数を導き出すための法則である。
すべての偶数を足したものは偶数ではない、自然数でもない。
カントール的な考えでは人間が概念を作るのではなく、すでに存在している概念を発見することになってしまう。とか面白い。 -
無限に対する考察から始まり、ゲーデルの不完全性定理を俯瞰できる場所まで連れていってくれる。結構ハードな内容なのに、雰囲気が最後までライトなのは、この本が「ラノベ」としてもイイ線いってるからなんじゃないかな。特に、タカムラさんの「キャラ」とか...。【再々読了】
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無限という考え方に二通りの考え方があるということをこの本を読んで初めて知りました。「実数という無限集合は存在しない」という主張は正直いってカルチャーショックですらありました。今まで、なんとなく無条件に信じていたものが揺らぐ感覚というのを久しぶりに感じた本でした。
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凄く面白いのだけれど、よく理解できなかった部分も多い。要再読。
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冒頭部が面白く、思わず購入。
結局、何を言っていたのかよくわからなかったが、それでもなんとなく最後まで楽しめた。 -
再読。今回は「そろそろウィトゲンシュタイン勉強しよう」と思いました。
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高校の時担任の薦めで買って、挫折した本を改めて読んでみました。
積み上げてぶっこわす感じがなぜか心地よく思われます。久々に頭の中掻き回された気がして楽しい。 -
なんつーか、所々に現れる人名が面白かった。まず、大森荘蔵が野矢の大先生であり、そして野矢のほぼ同期にあたるのかな?が田島正樹なのだろう。個人的に中島義道の名前を期待したのだけれども、それはさすがに出てこなかったようだ。まあ、哲学者はどいつもこいつも偏屈なやろうばかりなのだけれども、野矢さんはまともな人なのだろうなと思った。比較的にだけれど。この人は、なんつーのかなそれだけ客観視できているからね、本著的に言えばメタ的にね。ほんものはメタ的な視点をもてないだろうね、ニーチェに然り。いや、持っているんだけれども、おそらくそれがどっかでよくわからなくなる。けれどそれでよくわからなくなってしまうような人には哲学をわかりやすく噛み砕くことはできはしないだろう、だからメタ的に捉えられることは野矢さんの才能だろうし、しかもそれでいながらしっかりと哲学できているのは、竹田や西とは違うのだろうなと思う。別に竹田は西を馬鹿にしているわけではないのだけれども、彼らは矛先みたいなのが哲学とは別の道へと進んでいる気がする。
本著の内容からはそれてしまっていることばかり書き連ねてきたが、本著はタイトルのとおり無限論について述べている、まあ、しかし、「可能性としての無限論はあるけれども、それはあくまで可能性でしかなく、ないのと一緒だ」という直観主義が披瀝されており、本著のタジマ先生はその考え方に則っているから、無限論を否定しているといってもいいような著書である。まあ、可能性としては認めているというのが基本スタンスだから、無限論そのものを否定しているというと語弊があるのだけれども。本著の流れとしては、まずは実無限という無限論が実在しているという考え方=カントールの流れをとり、それがラッセルによってしかし矛盾するという問題へと持ち込み、それを直観主義によって乗り超えることになる。だが、その直観主義へと反論が食らわせる(その理由は、直観主義を貫ければ排中律{A or notA}が成立しなくなるからである)。ヒルベルトである。そしてそのヒルベルトをゲーデルが不完全性定理によって打破する。だが、不完全性定理によってゲーデルが意図したのは、ヒルベルトのように直観主義にへりくだる必要がないということを示すことであって、直観主義の立場からヒルベルトプログラムを否定してたわけではないということである。そして最終的にはいまだに決着がついていないと言える。あとがきにもあったが、やはり頭をよぎるのはヴィトゲンシュタインである。とはいえヴィトゲンシュタインは背景みたいなものなのだけれども、直観主義によってそんなの意味がないという、あのラディカルな破壊性なんかにはそれとなくヴィトゲンシュタインが感じられるし、まあ、なんなのだろう、本著の締め方はよかったよね、後は読者にゆだねる、と。あなたはあなたの哲学を持ちなさい、とそういわれているようで少し安堵する。本著の内容は全てが抽象的で意味がないといわれてしまうかもしれないし、実際に自分もそう感じそうになったが、それは一つのわななのかもしれない。なぜなら本著の戦いは、具象と抽象との戦いだからである。可能無限は具象に近しいだろう。実無限は抽象に近しいだろう。具象は直観であり、抽象は形式とも言える。本著での最終的な争いは、直観主義と形式主義となっているがそれは換言すれば、具象と抽象との争いなのである。哲学者は誰も彼もが抽象的な戦いをしているのではなくて、むしろ抽象と戦うこともあるのである。とりわけ数学は抽象的な学問であるから(実はこのことはあまり実感されていないように思われるけれど)、だからこそ戦いは熾烈になる。どこまで言っても二つの相反する対立から逃れられないからこそそれを壊そうとするヴィトゲンシュタイン。メタ、超越、しかしそれが更に否定され再び二つの相反する対立へと引き戻される。ルサンチマンがそこここに感じられる。
※追記。タカムラさんかわいい。