- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062738378
感想・レビュー・書評
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連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが…。そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。
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爆弾魔のアジトに踏み込んだとき、見知らぬ男が犯人と目される緑川と争っていた。
共犯者とみなされた男はいっさいの過去を供述せず、ただ鈴木一郎だとなのった。
さまざまなテストが行われ、やがて精神科医・鷲谷真梨子は鈴木一郎が生まれながらに感情がないのでは?と疑い始める。
特別な才能を授かったがために、人間として最も大切なものを奪われてしまった・・・そんな気がしてくる。
ひとり残された一郎も、また生きていなかくてはならない。
そして、生きるには何かの支えが必要になる。
一郎にとって「正義」を守ることこそが生きる支えだったのだろうか。
法によって裁かれることのなかった人間たち。
ただひとつ救いがあるとしたら、一郎は必ず確証を得てから動いている点だけだろうか。
物語が進むにつれ、謎は深まっていく。
徐々に明らかになる一郎の過去。
それはますます「一郎とは何者なのか?」という答えのない迷路にはまり込んでいくものだった。
設定がまず面白い。
一郎の謎が明らかになっていく過程が、とても刺激的だ。
緑川との対決場面には物足りなさを感じたけれど、緑川は所詮脇役。
一郎と真梨子、茶屋のキャラクターの描き方が丁寧で、それぞれの個性が手に取るように伝わってくる。
頁数の関係だろうか。
終盤になって、まるで急ぎ足のような展開になってしまっていることが、とても残念だった。
続編ありますよ~的な文章での終わり方もちょっと・・・。
もう少し印象に残るような描写で終わってほしかった。 -
連続爆破事件の共犯とみられる男が逮捕され、アメリカ帰りの『真梨子』が精神鑑定をすることになった。三年前以前の経歴が全く不明な『鈴木一郎』と名乗る男は、全てにおいて平均的な人物のようだった。が、あることから真梨子は、その結果に作為的なものを感じる。
第46回江戸川乱歩賞受賞作。
コンピュータなみの頭脳を持ちながら生まれつき感情が欠落している為、自らは指一本動かさない男の子ども時代。が、その膨大な知識から感情を推測し、現在は普通の人のようにふるまっている。正に人間の体を持ったAIのような存在なのだろう。AIが人の心を持てるのかといった話ならばSF風だが、これは生身の人間なのでオカルト風とでも言うべきか。
脳からの命令は電気信号だとも言うし、感情とは?自我とは?など考え始めるとよく分からなくなる。
ただ、幼年期に教えられた「罪人は罰する」ということを、何があろうとも忠実に実行する姿は恐ろしさを感じる。 -
映画より原作の方が情報量が多いのと、うまくまとめられててよかった
あと、映画ならではの設定もなくて読みやすい
生まれつき脳に障害?があって、一般社会では生きられなかった少年が、成長する間に色々なことを学び、やがて犯罪者を裁く殺人者になる話 -
テンポ良く進む物語展開とか、脳男の描写とか、興味を惹かれる部分は多かった。でも孤高感はそんなに感じられなかったし、結末にしても、そこまでの悪読後感はなし。映画も観てみたい気にはさせられたけど、続編も読もう!とまではのめり込めなかったです。
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受賞歴
第46回(2000年) 江戸川乱歩賞受賞
内容紹介
連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが……。そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。2000年週刊文春ミステリーベスト10 第1位。(講談社文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが…。そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。
内容(「MARC」データベースより)
連続爆弾魔のアジトで見つかった心をもたない男。謎だらけの存在が犯人を追いつめ、街ではパニックが加速する-。第46回江戸川乱歩賞受賞作。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。 著者について 1956年、栃木県生まれ。上智大学法学部卒。会社勤務等を経て、2000年、本作で第46回江戸川乱歩賞を受賞。現在、CASA(カーサ)(現代美術振興協会)を主宰。「上野・谷中アートリンク」等のイベントを通じ、モダンアートをプロデュースしている。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
首藤瓜於 1956年栃木県生まれ。上智大学法学部卒。会社勤務を経て、2000年、『脳男』で第46回江戸川乱歩賞を受賞。現在、CASA(現代美術振興協会)を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
表紙が怖くて長いこと積んでましたがカバーかけてやっと読み始めました。映画が良かったのでそれもきっかけです。
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生田斗真さんで再生される…。
続編も気になる。 -
長男(大4)から貸してもらう。
興味深くドキドキさせられたのだけれども、
先に久坂部羊さんの「無痛」を読み且つドラマも観てしまったのが悔やまれた。引きずられたのだ。
そんなん良くある事なのだろうから仕方がないのは承知しているのだが、題材もストーリーも好みだったので、悔やまれ度合いが高くなってしまったのだろうか。
医学的描写については、「無痛」は素晴らしかったのだけれども、本作「脳男」は心の動きとその表現が良かったと感じた。
色々と書きたいけれど、ネタバレになってしまいそう。
今日は鈴木一郎くんの成長を願うよ。 -
主人公 鈴木が人間離れした肉体能力を持っていて、犯罪者をターゲットに殺人を行う。鈴木は幼少期から正義感が強い。心がないのかあるのかわからないような行動をする。
とりあえず、主人公が不気味であるがその行動を否定しきれない感じがある。
もう一度読み直したい作品ではある。