- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062738378
感想・レビュー・書評
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首藤瓜於著、江戸川乱歩賞受賞作。
高校生くらいまでは乱歩賞なんて迷うことなく読んでいたが、いつの頃からか特別惹かれることはなくなっていった。
その理由を、この作品を読んで改めて思い起こされた。賞に値するクオリティではない小説が、受賞するようになっていったからだ。
本作もどこを切り取れば乱歩賞を与えることになるのか、さっぱり分からない。なんとか最後まで読み切ったが、「乱歩賞受賞作」という冠がなければ、途中でやめていたはずで、しかも最後まで読んだからといって、この作品に対する評価が上がる終盤でもなかった。
これでまた、乱歩賞から遠ざかることになるな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公が活躍し始めたところで終わってしまった感じがした。この作品はプロローグ的なもので続編があるみたいです。主人公の過去についてもまだまだわからないところが残っているし、そういう意味でやはり物足りなさが残る。いまいち山場がなかった感じがしてしまいます。
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おもしろくてついページがすすんでしまう部分もあるにはあるが、説明が長いところが多く、流れを止めてしまうので全体的に勢いのない小説となってしまっているのが残念。きっと脳男をシリーズ化するための、序章ということで説明とキャラ設定をしっかりさせたのだろう。ならば次作に期待するしかない。
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第46回江戸川乱歩賞受賞
小さな爆弾があちこちに置かれついに死者が出た。アジトをつきとめ逮捕に向かったが、倉庫の中に二人の男がいて争っていた。一人は捕まえたが主犯は逃がしてしまった。
共犯と見られたのは鈴木一郎と言う青年だった。彼は無口で協力的でなかった。精神科医の鷲谷真梨子が担当になって鈴木の精神鑑定をする。
身体検査ではかすかな傷が二箇所あるだけで、過去の手がかりがない。彼は過去の記憶をなくしていた。
真梨子は彼について調べる。
頭蓋骨の形から、鈴木一郎と入陶大威と言う人物が同一人だと分かる。
脳に障害を持って生まれた上に、両親は亡くなり、火事にあって祖父も亡くす。重度の火傷から生き延びた入陶倫行(いりすのりゆき)の孫入陶大威(いりすたけきみ)は皮膚移植の後祖父の知人に預けられて育った。
鈴木一郎が検査入院している病院に爆弾が仕掛けられる。幼児に仕掛けられた時限爆弾の解除に、彼は警察に協力しようとする。
これが完成された作品なら時間を惜しんで読んだかも知れない。
作者が作り上げた「脳男」鈴木一郎が、生まれたときには、言語も行動も自由にならない脳障害をもち、その上感情がない、それが見かけは普通人と代わりがないような鈴木一郎になった。
SFホラーという分野に近い作品に仕上げているが、読んでいて素人ながら腑に落ちないところがある。
鈴木一郎として再生する過程が、難しい感情の分野で、いかに人間離れした知能でも、人の感情の動きをゼロから学習できるものだろうか。お話なので難しいことは抜きにして、新聞社を経営したり、痛覚を制御したり出来るのだろうか。
火傷した後、皮膚移植の跡を残さない天才医師はいるのだろうか。途中で作者の意図も分かってくる。設定が面白いので最後まで読んだが、私の気持ちのどこかに抵抗感があって、なかなか進まなかった。
張り巡らされた時限爆弾装置につながる細いワイアーをすり抜け、幼児を救出するところは、トム・クルーズの「MI」や「エントラップメント」で赤外線をくぐる、キャサリン・ゼタ・ジョーンズを思い浮かべたし、犯人がヒントにした「ヨハネ黙示録」ではあの「セブン」を思い出した。
なんだか「アイ,ロボット」を裏返したような気分で読んだ。
人間に奉仕する目的で作られたロボットが、感情を持つようになる。競演のウイル・スミスは一部分を改造されたサイボーグだった。ラストシーンで丘の上に建つ開放されたロボット「サニー」は綺麗だった。
そういった映画を思い出すということは、興味深い作品ではあった。
超人「脳男」を創り出した作者なら、又今後、面白い作品でお目にかかるかもしれない。
映画になったと言うが、そちらの方は劇画風で面白かったのではないだろうか. -
あらすじ
連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。逮捕後、新たな爆弾の在処を警察に告げた、この男は共犯者なのか。男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが…。そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。 -
表紙が恐い。
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ミステリーというよりSFに近い脳男のスペック。さらっと読み進めるなら楽しく読める一冊。
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乱歩賞でこんな設定ありか? 非現実的だし、刑事の設定も無茶苦茶。選考委員、何やってんだよ。
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映画化で平積みされていて手に取りました。容疑者鈴木一郎を過去の彼を探すことで解き明かしていく過程はドキドキしたし、その後の展開も一気に読まされてしまいました。正直ものすごくうまいとは思いませんし、突っ込みたいところは山ほどあるのですがそれでもよくできていると思います。ミステリというよりSFを読んでいるような気がしてしまいました。鈴木一郎はもちろんですが、他のキャラの背景をもう少し書き込んでくれるともっと読みやすかったと思います。どうも最後が回収不足と思ったら続編があるのですね。読んでみようと思います。
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