戦争調査会 幻の政府文書を読み解く (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884532

感想・レビュー・書評

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  • 戦争調査会という存在を全く知らなかった 幣原・吉田両氏の努力の賜 さすが外交官
    失敗の本質は幾つかあるが
    改選のタイミング
    満州事変
    日華事変
    近衛首相 蒋介石国民党を相手にせず
    三国同盟
    南仏印侵攻

    そして終戦のタイミング 最期の一年の犠牲の多さ
    決断できず サイパン島玉砕 大空襲
    ソ連へ和平仲介期待

    日本は戦略決断ができない
    戦争のような大きな事案も、ミクロを積み重ねて合成の誤謬

    GHQに本調査会を止められた後、誰もフォローしていなかったのは?

    著者は一橋大学細谷ゼミ 親近感を感じる
    もう少しスッキリを期待

  • 淡々と読み解かれてゆく。
    それは過不足なく、とても頭に入ってゆきやすい。

    敗戦後、日本政府が独自にあの戦争のことを調査しようとしていた、
    そのことにまず驚かざるをえない。

  • 【書評】『戦争調査会 幻の政府文書を読み解く』井上寿一著(講談社現代新書、2017年) | 政治外交検証 | 東京財団政策研究所
    https://www.tkfd.or.jp/research/political-review/uhxfgz?&utm_source=mailmaga_20180809&utm_medium=email

    講談社のPR
    敗戦直後、戦争への道を自らの手で検証しようとした国家プロジェクトの全貌。

    1945年11月、幣原喜重郎内閣が立ち上げた戦争調査会。
    幣原自らが総裁に就き、長官には庶民金庫理事長の青木得三、各部会の部長には斎藤隆夫、飯村穣、山室宗文、馬場恒吾、八木秀次を任命し、委員・職員は100名ほどという、文字通りの国家プロジェクトだった。

    多数の戦犯逮捕、公文書焼却など困難をきわめるなかおこなわれた40回超の会議、インタビュー、そして資料収集。

    なぜ戦争は始まったのか?
    分岐点はいつだったのか?
    なぜ戦争に敗れたのか?

    日本人自らの手で開戦、敗戦の原因を明らかにしようとしたものの、GHQによって1年弱で廃止された未完のプロジェクトが明かす「昭和の戦争」の実像。
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210939

  • この本で知ったことが多々あり、面白く読めた。

  •  前半は戦争調査会が未完のまま廃止されるまでの経緯、後半は残された資料を元に筆者が自ら分析する、という構成。
     リベラルで知られた幣原が総裁を務め、「戦争を調査するのに軍人が必要」との彼の主張にも関わらず、旧軍人の参加を特に英ソに問題視され早々に廃止に追い込まれる。それから10年も経たないうちに旧軍人高級幹部クラスが公職追放解除されているのに、現代から振り返ると皮肉だ。
     後半では、筆者は戦争の起源を、政争により統帥権干犯問題が生まれたロンドン海軍軍縮条約時に置いている。しかしその後も、満州事変不拡大の可能性や日中関係修復の兆し等があり、対米開戦にしても近衛内閣下での日米交渉までチャンスが残されていたことを筆者は指摘している。軍だけでなく政治の側、また独ソ戦という国際情勢、それぞれの要素が絡んでいる。

  • 戦後直後の日本、敗北の原因を探ろうとした人々とその挫折を丁寧に追っていった本。

    戦争開始に至る原因を探る当時の人々の考察を追う。
    結論としては大日本帝国憲法の運用に齟齬が生じたのが原因だと結論づけている。
    そこだけは気に入らない。
    大日本帝国憲法の手本となったプロイセン憲法と帷幄上奏権の関係を無視している。プロイセンにおいては帷幄上奏権は軍事関係について皇帝に上奏することができると限定されていた。しかしながら大日本帝国憲法は帷幄上奏権は軍が政治全般に介入する余地を作った、いわば劣化コピーであることは言及されていない。
    第二次世界大戦に日本が突入し、敗北する原因はやはり明治維新まで遡るべきだというのがレビュアーの意見である。

  • 戦後すぐの時点で日本がなぜ無謀な戦争に突入してしまったのか,その原因究明のために組織された「戦争調査会」。本書第一部はその戦争調査会成立の経緯と解散させられるまでを描く。第二部は実際に戦争調査会が収集した資料(2015年にゆまに書房から全15巻で復刻刊行されている)をもとに日本がどこで道を誤ったと考えられていたのかを分析していく。まさに著者によるこの未完の国家プロジェクトの再構成となっている。

    非常に興味深い論点が多々提示されており,勉強になった。

  • 終戦後、日本にもこういう試みがあったのに残念

  • 東2法経図・開架 B1/2/2453/K

  • 210.75||In

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著者プロフィール

井上寿一
1956年(昭和31)東京都生まれ。86年一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得。法学博士。同助手を経て、89年より学習院大学法学部助教授。93年より学習院大学法学部政治学科教授。2014~20年学習院大学学長。専攻・日本政治外交史、歴史政策論。
著書に『危機のなかの協調外交』(山川出版社、1994年。第25回吉田茂賞受賞)、『戦前日本の「グローバリズム」』(新潮選書、2011年)、『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ、2012年)、『政友会と民政党』(中公新書、2012年)、『戦争調査会』(講談社現代新書、2017年)、『機密費外交』(講談社現代新書、2018年)、『日中戦争』(『日中戦争下の日本』改訂版、講談社学術文庫、2018年)、『広田弘毅』(ミネルヴァ書房、2021年)他多数

「2022年 『矢部貞治 知識人と政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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