探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940719

感想・レビュー・書評

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  • 莫大な遺産を相続した女子高生一華。その遺産を狙って、彼女の伯父叔母たちが彼女を事故に見せかけて亡き者にしようと試みます。彼女を守るために使用人橋田が雇った探偵は…。まさしく「早すぎる」。でも、依頼人のためには本来はそうでなくちゃね。それぞれの件で、しっかりとした思考過程が書かれているので探偵の気づきに感心して納得してしまいます。それで、探偵は??期待して下巻へ。

  • 莫大な遺産を相続したお嬢様を亡き者にしようと、名家の一族が殺害計画を練り、次から次へと刺客を送る。絶体絶命の状況の中、雇われたのは、事件が起きる“前”に解決する史上最速の探偵だったーー。

    まず事件が起きる前に解決するという着想が素晴らしく、体裁としては倒叙ではあるのだが、超最速倒叙とでもいうべき独特の推理撃に仕上がっている。事件が起きる前に仕掛けようとしたトリックを喝破することで、犯行が行われようとしたことを証明すると同時に、探偵がトリックを見破った瞬間に犯人に名前が付くのが非常に面白かった。エリートくん、頑張りパパさん、甘えんぼ娘、と犯人像はどれも素晴らしく、ひどい名前だが犯行計画を練っていたことがトリックの喝破により証明された瞬間、犯人は探偵によって定義されるというのはお約束めいてて素晴らしい。奇抜な探偵像にばかり目がいくかもしれないが、脇を彩るキャラクターも魅力的であり、特に大陀羅家の一族はどれも稀代の怪人揃いで、探偵のインパクトに勝るとも劣らない。

    犯行計画と使われるトリックを見破るのが本作の楽しみではあるのだが、白眉なのは第三話の「カボチャと魔女」である。本物のナイフをおもちゃのナイフだと誤認させて殺すのかと思いきや、それはフェイクで、本当は子どもの被っていたカオチャ頭に仕掛けた爆弾というのには舌を巻いた。前者のままだとやや稚拙かなあと思っていたのでいい意味で裏切られた上、犯人の異常性も際立たせた素晴らしい一手であるといえる。またその外道なやり口が探偵の逆鱗に触れ、そっくりそのまま「トリック返し」されるのも勧善懲悪めいた面白さがある。探偵は殺害計画が完璧であることにこだわり続けるため、子どもという素人を使った安っぽい犯行は文字通り美学に反するのだろう。そこには善悪を越えた論理の美しさがある。

    突飛なネタに見せかけて意外と正統派のミステリであり、怪人と権謀術数が跋扈する下巻も非常に楽しみである。

  • 2019/04/21

  • 面白いです。ドラマ化してたのて、この作者がライトなものを書いたのかと思っていたけど、とんでもない。正統派バカミスです。上巻はコンセプトに乗っとり、トリックを未然に防ぎ、意趣がえしするという、勧善懲悪的連作です。わかりやすいのでメディアミックスも確かにしやすいでしょうが、トリックが結構エグいです

  • 面白いか否かはちょっと良くわからない。メフィストだなー…と思いながら読んだ。ただ、一応、下巻も読んでみようかなという気にはなった。キャラの個性が強いので、メディアミックスしたら面白いと思う。

  • 小5の娘のおすすめで読みました。どんなトリックで、どこにバレるほつれがあったのか考えながら読むのが楽しいです。下巻にも期待!

  • 聞いたことなかったけど、何かの賞を受賞してドラマ化された話題作らしいので読みはじめる。

    内容としては遺産相続した孫の相続権利を奪おうと色々な人が殺人を企てるが、そのトリックを利用されて逆襲に合う話。
    上巻には事件が3つくらい入っていて事件は面白かったけど、本筋の遺産相続に絡んでいる話は 登場人物が多いことや、ゆっくり読む時間がなくて少しずつ区切りながら読んでたこともあり理解ができてない。
    展開が面白いようだが、このまま下巻を読んで理解できるか心配。

  • 荒唐無稽。だからこそ面白い

  •  神のものは神に、カエサルのものはカエサルに――仕掛けられたトリックはその張本人に仕返すという『トリック返し』が私の流儀だが、依頼人からは無益な殺生はするなと口酸っぱく言われていてね。不本意だが牙は丸めざるを得ない。
    (P.138)

  • 五兆円の遺産を相続したヒロインを守るために雇われた探偵とヒロインを亡き者にするための完全犯罪を目論む犯人たちのトリックは面白い。犯罪の計画者や実行者視点で進んでいく内容は探偵の聡明さや恐ろしさをうかがえるもので、読み応えがある。ヒロインの伯父や伯母、従兄弟たち、彼らが完全犯罪を依頼する相手を含めて、登場人物が多いとは感じるが、下巻の法要でどのようなトリックが組まれ、探偵によるトリック返しが行われるのかが楽しみである。

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著者プロフィール

神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。
また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
他の著書に『探偵が早すぎる』(講談社タイガ)がある。

「2018年 『恋と禁忌の述語論理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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