旅する練習

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1834
感想 : 187
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  • Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065221631

感想・レビュー・書評

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  • 難しい言葉と馴染みのない言葉が多く、一つ一つの情景を思い浮かべるのに久々に苦労した。純文学読んでいるなぁとひしひしと感じる。そして純文学を楽しんでいると思いきや、これなんかあるなと終盤からわかってくるところに面白みがあった。でも難しかった。楽しんで読んでいたが、難しさもあって最後まで物語に入り込む感覚がなかった。でも「大切なことをみつけて、それに自分を合わせて生きる」というのは心に響いた。亜美がそれをすごく楽しいと言うところも、本当にそうなんだろうと実感した。おジャ魔女カーニバルの歌詞を自分に写して解釈するところが純粋で素直でとても素敵。私も、自分にとって大切なことってなんだろう?と考えずにはいられなかった。そんな風に生きれたら本当に楽しいのだろう。

  • 難しい言葉が散らばっており、言葉を検索しながら読み進めました。

    小説の中で、
    「今まで私、自分から逃げ出したことすらなかったんだって気付いたの。家でも学校でも、嫌なことは我慢してやり過ごすばっかりだったって。(略)」
    その言葉に私もハッとさせられた。たしかに我慢してやり過ごしてた日々があって、「逃げ」なんて考えたことがなかったと言うことに。

  • 久しぶりに辞書を引きながらの読書。

    いままで読んだ本の中で
    一番ラストの展開に驚かされた。

    "自分"を生きることを大切にしたい。

  • 中学受験を乗り切った亜美(アビ)とその伯父が鹿島まで歩いて旅をする。亜美はサッカーエリートといってもよい女の子。サッカーボールを蹴りながら鹿島へ向かう。途中でみどりという大学生と出会い、3人で旅をすることになった。みどりはジーコの著書の影響で鹿島を目指す。亜美はサッカーの合宿所でこっそり持ち出してしまった本を返却するためだ。目的が異なるので途中でみどりと亜美は別々の道を歩いていく。そして、亜美は...。楽しそうな旅路を描写しているが、なぜ切ないというか悲しみを感じる。それは最後のページで明らかなる。そういうことかとズキンと胸を穿つ。出会いと別れ。

  • サッカー(姪)と紀行文(叔父)を練習する旅なのだけれどタイトルは『旅する練習』と言い換えられているのは唐突な結末を受けたその後を想っているのだろうか。ラストシーンには賛否両論があるが、芥川賞はともかくとしてサッカー本大賞をめざすのであれば逆の方が好ましかったかな。(笑)
    閑話休題。旅をして写真を撮ったり絵を描くのではなく紀行文を書く(それは日本古来の趣味の世界なのだけれども)という発想に今更ながら目を開かされた。

  • 中学入学前の姪と小説家の叔父の二人旅。
    サッカーに夢中でサッカーボールさえ蹴っていれば機嫌のいい天真爛漫な姪の頼みで、コロナで世間が騒がれ始める2020年3月、鹿島アントラーズの本拠地を目指して「歩く、書く、蹴る」をひたすら繰り返す旅物語。
    姪がリフティングをすれば叔父は旅先の風景を描写し共に歩き…。二人の仲の良さと春の長閑さが相まって穏やかな雰囲気に包まれる。

    物語の途中で挿まれる、過去を振り返る叔父の文章がとても意味深で、読み進めるにつれソワソワしてしまった。この後の展開に不安がよぎる。

    春の二人旅を終えた後、二人で辿った道程を再び一人で歩く叔父。
    あの穏やかだった貴重な時間を思い出しながら、ひたすらに記録を続ける叔父の悲壮感はいかばかりか。
    二人でした約束が約束のまま果たせなかった後悔ばかりが後に残る。
    いつか本番を迎えるための練習のはずが、練習のままで終わってしまった無念さが悲しい。
    いるのが当たり前だと思っていた。
    逢おうと思えばいつでも逢えると思っていた。
    コロナ禍の最中、そんな当たり前が当たり前でなくなることを日々思い知らされる。
    そんな世の中になってしまった現実を突きつけられたような読後感。

  • 新聞か何かの広告で興味を持った本作。コロナで色々なことがお休みになったこの時期だからこそ経験できた旅はある意味素敵だ。旅の仲間が増えたのは無邪気に書かれてるが、女子が加わるのはもやっとした。いい旅だったのにどうしてこのラストなんだろう。

  • 思えば端々に結末を示唆する文章は挟み込まれていたのだ。ほんの僅かに引っ掛かりを感じつつも読み進め、最後で奈落に落とされた気分だった。なんてこった。亜美の人生を旅する練習は、練習のまま終わってしまった。私はただ呆然としている。文末の数字が愛おしく、寂しい。

  • 亜美ちゃんが素直でポジティブで、とっても素敵な女の子!みどりさんは自分に自信が持てなくて、自分のための決断ができない大学生。
    対照的な二人だけど、旅の途中で仲良くなって、色々なことを語り合う。
    旅の様子を叔父さん目線で描かれて進むこのお話は、途中で不吉な未来を予感させるような言葉が出てきて、まさか…と思いながら、途中からはそうであってほしくない、と祈りながら、後半は一気に読み進めた。
    予感は的中してしまい、うーん…と唸ってしまう。
    この結末を知ってから、もう一度読んだら、世界がさらに美しく見えるだろう。

  • 風景描写や鳥の描写が凄くて、
    ちょっと私には難しくて
    想像力で足りずにスマホでその鳥の画像を
    検索したりしながら読んだりした。

    登場人物は3人。
    私、亜美、みどりさん。

    みどりさんのような想いを持ってる人は
    少なくないと思った。

    物語はゆっくりすすんでいくが、
    最後に向かうにつれて勢いよく
    読みすすんだ感じ。泣きました。

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著者プロフィール

1986年北海道生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒業。2015年『十七八より』で「群像新人賞」を受賞し、デビュー。18年『本物の読書家』で「野間文芸新人賞」を受賞する。23年『それは誠』が「芥川賞」候補作となる。その他著書に、『十七八より』『本物の読書家』『最高の任務』『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』等がある。

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