すべての疲労は脳が原因 2 超実践編 (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087208610

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  • 体の疲れだけでなく、脳の疲れも疲労物質が原因であり、疲労物質を減らすためには睡眠などの休息が一番であるという。
    気分転換による運動などは脳の錯覚でリフレッシュした感じになるだけであり、疲労回復はできていないという新しい知見が得られた。
    また、紫外線も疲労の源泉になるため、男性でもサングラス(色が薄いもの)や日傘(表が白で裏が黒いもの)を活用する。
    ・ヒトの体が、疲労を起こすメカニズムは、「自律神経を酷使しているから疲れる」のです。自律神経とは、「交感神経」と「副交感神経」の一種類からなります。
    ・「飽きる」「疲れる一効率が落ちる)」「眠くなる」は、脳疲労の3大サインと言えます。
    ・最初に出てくるのは、「飽きる」という症状です。同じことをずっと続けていると、情報を処理するために同じ神経細胞の回路が繰り返し使われるようになります。するとそこで疲労が起こるため、防御的に違う神経細胞を使わせようとして発せられるのが「飽きる」というサインなのです。
    ・「飽きる」というサインが出たら、休息を取る、別の作業をするにしてください。そうすることで、作業効率の低下を抑えることができます。
    ・次に「眠くなる」という自覚症状が現れます。疲労の多くは自律神経とそのコントロールセンター(中枢である脳の視床下部と前帯状回で起こりますが、それを「疲れた」という感覚、すなわち疲労感として認識するのは、大脳の前頭葉にある眼嵩前頭野というところです。「眠くなる」というのは、「飽きる」よリダイレクトに休息を促す脳からのメッセージなのです。
    ・「飽きる」「疲れる(効率が落ちる)」「眠くなる」という3大サインを無視していると、ついには視野が狭くなります。目でみて気づく、みつけることができる範囲を「周辺注意力視野」と呼びますが、睡眠不足のときにこの周辺注意力視野の範囲が狭くなる経験をした人も多いのではないでしょうか。
    ・我々は、情報の多くを視覚からキャッチしています。その量は、全体の的%近くに及ぶと言われています。裏を返すと、視覚からの情報を減らせば脳にかかる負荷は減り、疲労のそれ以上の蓄積は避けられるということになります。ただし、日中に目を閉じて視覚情報をシャットアウトするわけにはいかないため、周辺注意力視野を狭めて視覚情報を少しでも減らそうとしているわけです。
    ・仕事中、脳は交感神経優位なのに目のレンズには副交感神経優位になる信号を送ることになるわけです。その結果、自律神経とそのコントロールセンターが混乱して疲れます。これが眼精疲労の正体なのです。眼精疲労にみられる頭痛やドライアイも実は自律神経の乱れによって起こるのです。仕事中に目の疲れを感じたらデスクワークを中断し、窓の外の景色を眺めるなどして交感神経と副交感神経のバランスをとってください。
    ・かつては、「運動をすると筋肉に乳酸が溜まる。この乳酸が肉体的な疲労を起こしている」と孝えられていましたが、これは間違いです。最新の研究で、乳酸は疲労物質ではなしことがわかっています。それどころか、乳酸はむしろ疲労を軽くしてくれることも判明しています。
    ・仕事の疲れやストレスは運動ではとれません。運動の達成感が大切な生体アラームである疲労感をマスキングするため、疲れがとれたような気になるだけなのです。自覚がないままに運動を続けるのは、疲労を増幅させる危険な行為にほかなりません。疲れをとるのに有効な方法は、睡眠です。ス本栖でも内臓でも筋肉でも、疲れの直接の引き金になっているのは、活性酸素です。さまざまな健康分野において、活性酸素は老化や病気の原因となるという情報を耳にすることり多いでしょう。-(活性一が高く、強力な「酸化作用」を持っていーカの物質の電子を奪、つことですが、電子を横取りされたほうの物質は不安定になり、正しい機能が果たせなくなります。そして、自らを安定させるために、ほかの物質から電子を奪おうとするため、まわりの細胞や組織にドミノ倒しのようにダメージが広がります。
    ・ヒトの体は、こうした酸化ストレスに長期間にわたってさらされると、老化、がん、動脈硬化、シミ、シワ、白内障などの症状が現れます。疲労も、活性酸素による酸化ストレス、ダメージによって引き起こされるのです。
    ・疲労回復因子FRは、体内で疲労因子FFが増えるとそれに呼応するように増まします。疲労回復因子FRは疲労因子FFを中和して、酸化ストレスでダメージを受けた細胞の修復を促します。その点で、疲労回復因子FRは、活性酸素で傷ついた細胞の錆び取り剤にたとえることができます。その結果、疲労因子FFが減り、疲労が回復し、疲労感もなくなるのです。
    ・疲労回復因子rZのパワーには個人差が大きいこともわかっています。同じような活動一晩眠るとケロッと回復しているタイプ、疲れが翌日まで残るタイプ、病気になるタイプもいます。
    ・疲労回復因子FRは疲労因子FFが増えて初めて発生しますが、疲労因子FFが増える活動から遠ざかっていると、使わない筋肉が衰えるように、疲労回復因子FRの反応性も下がるからです。競労回復因子raによるダメージ回復には、睡眠の影響が大きいことがわかっています。時間、質ともに充実した眠りが疲労を回復させます。
    ・2味の正体は砂糖などの糖分であり、糖分は体内ではブドウ糖に変わります。だからお茶菓子などで甘味を感じると交感神経の興奮が収まり、飢餓の懸念から解放されホッとリラックスできるのです。
    ・ファストフードは食品の加工度合いが高く、生産性を上げて風味を高めるため」多くの食品添加物が使われています。食品添加物の大半は肝臓で解毒されますが、その。ロセスで疲労の引き金となる活性酸素が発生しやすくなります。食品添加物の功罪については議論の多いところですが、少なくとも疲労を軽減したいなら、食品添加物が少ない食事を選ぶ。
    ・ー疲労回復にいちばん効果があるというエビデンス(科学的実証)が得られたのが、イミダゾールジぺプチド(以下、イミダぺプチド)という成分でした。イミダぺプチドには優れた抗酸化作用があり、活性酸素による酸化ストレスから引き起こされる疲労を軽くする効果があると確かめられたのです。べプチドとは、アミノ酸が複数連なった成分の総称です。一イミダぺプチドがそ一酸化作用を発揮して、自律神経の疲労回復につながることが明らかになっています。これは、脳の疲労をピンポイントでとるために備わった、防御システムとも言えます。脳のほかには、運動時に活性酸素が発生し、酸化ストレスを受けて疲れやすい筋肉(骨格筋)にも、ヒスチジンと,1アラニンをイミダぺプチドに再合成する酵素が備わっておリ、抗酸化作用で疲労を防止しています。ー日200mg(0.9g)のイミダぺプチドを最低2週間ほどとり続けると、脳内で持続的に酸化ストレスを減らして、抗疲労効果が現れることが明らかになりました。
    ・イミダぺプチドを豊富に含んでいる食材は、鶏胸肉です。ー日1009の鶏胸肉を摂九していれば、少なくともイミダぺプチド200曙量は体内に吸収され、効果が期待できる。
    ・鶏胸肉がパサっきやすいのは、脂肪が少ないうえに、水分が抜けやすいことが原因です。イミダぺプチドは水溶性のため、溶け出しやすいので、パサついた鶏胸肉では疲労回復効果が損なわれる恐れがあります。鶏胸肉をひと目大の大きさに切ってから、小麦粉や片栗粉などをまぶすのが有効です。
    ・胸肉以外に、鶏もも肉、豚ロース肉、豚もも肉、牛もも肉、カツオといった食材にも、イミダべプチドは含まれています。
    ・多くのイミダぺプチドのサプリメントが販売されています。その際の目印は「イミダぺプチド200mg確証マーク」です。
    ・クエン酸がとくに効くのは、残業時や長時間の運動時のように、栄養補給が追いつかない状況で頭や体を酷使したときです。クエン酸をとると、短時間でクエン酸回路が活性化されてミトコンドリアで新たなエネルギーが生み出せるようになり、細胞のエネルギー不足による疲労からの回復が図れます。
    ・ホリフェノールは、摂取後30分くらいで血中濃度のピークを迎えますが、2時間経過時には、ピーク時の20%程度しか存在していないことがわかっています。それに対し、イミダぺプチドは、消化管でアミノ酸に分解されたあと、体内の合成酵素で少しずつ再合成されるため、作用時間が長いのです。また、ポリフェノールは、全身で酸化ストレスと闘つていて、効果的に働く部位を選びません。そのため、いちばん疲れている脳に到達する前に、ほかの部位で活性酸素との闘いで消費され、脳に届くのはごく一部になります。イミダぺプチドは、疲労の元とも言うべき自律神経のコントロールセンターである脳で集中的に抗酸化作用を発揮するので、抗疲労にもっとも有効であると言えます。
    ・尿の色をチェックして、いっちょりも黄色が濃いと感じたら、「脱水しているのかも」と察してください。尿を黄色くしているのは、老廃物の一種であるビリルビンという色素です。脱水状態にあるときは、自律神経の働きで排出する水分を減らそうとするため、尿が濃縮されて色が濃くなっていると考えられます。
    ・「夜中にトイレに起きて困る」という悩みを聞きますが、その原因は実は、トイレに行きたくなったから目が覚めるのではなく、「眠りが浅くて目が覚めたからトイレに行く」わけです。寝る前に水を飲んだから夜トイレに行く回数が増えた、と思うのは間違いです。
    ・朝起きて寝床を出てからの第1歩が重たく感じる。「通勤電車で座るとすぐうたた寝する」「起きてから4時間以内に眠くなる」「会議中の眠気を我慢するのに苦労する」といった自覚症状がある場合は、眠りに問題があり、疲れがとれていない可能性が高いと考えてください。自分では「寝つきがいいほう」「いっでもどこでも眠れる」「しっかり眠れている」と思っている人に多いのですが、実は睡眠不足や脳疲労が強い可能性が高いのです。そのような症状のある人に非常に多くみられるのが、先述のようにあお向けでいびきをかいて眠ったり、低呼吸、無呼吸を起こしているケースです。
    ・あお向けで寝ているといびきをかくために疲れがとれにくく、横向きで寝るほうがいびきをかきにくくて疲れがとれる。いびき、低呼吸、無呼吸で眠ると、なぜ疲労が蓄積するのかを考えてみましょう。我々は睡眠中も呼吸を行っています。実は、その呼吸自体が疲れる作業でもあるのです。いびきをかかなくても、呼吸するだけで運動をしていることになります。
    ・真夏日以上の気温の日には、クーラーを男性は25~26度、女性は26~17度に設定して終日つけておき、薄い羽毛布団をかけて寝ること力もっとも疲れない眠り方。
    そのうえで、可能であれば窓を少し開けて、「そよ風」が入るようにしきしょう。防犯土問題があるならば、扇風機を遠くから回しておいてもいいでしよう。すると、寝室の空間に(ゆらぎ)が生まれ、微妙に温度や湿度を変化させることができます。
    ・疲労を溜めないためには最低でも6時間は眠ってください。日中の活動時間が長くなるほど、自律神経とその中枢は酷使されて、大量の活性酸素が発生して酸化ストレスが生じ、疲労をまねきます。それを短時間の眠りで回復させるのは、やはり不可能なのです。
    ・体内時計をリセットするのは、太陽の光です。紫外線を浴びると活性酸素が発生して疲れるため、直接朝日を浴びるのではなく、部屋が明るくなる程度の光を感じれば十分です。
    ・仕事などで入眠時刻が遅くなつたとしても、起床時刻はできるたけ変えないようにしてください。そのほうがリズムはくずれにくく疲労がとれやすいのです。
    ・良質な睡眠がとれたかどうかを判断する、もっとも手軽なチェック法は、朝起きて「最初の1歩を踏み出したときの感覚」です。しんどい、つらい、重たいと感じたときは、前日の疲労が残っており、眠りが足りていない恐れがある。
    ・コーヒー、紅茶、緑茶といったカフェイン飲料も、夕方以降はとらないようにしましょう。カフェインの目覚まし作用は、飲んでから4~5時間続くことがあります。
    ・金曜の夜に早く寝ていれば、目覚まし時計をセットしないで、たとえ脳が命じるままに賦つたとしても、午後遅くまで寝入ることはないでしよう。平日の起床時間ょり2~3時間くらいの寝坊ですめば、体内時計のリズムが大きく狂う社会的時差ボケの心配もありません。土曜の寝坊である程度疲労がとれたら、なるべく夜更かしをしないで早く床につくようにします。すると日曜の朝、再び目覚まし時計をセットしないで寝たいだけ寝たとしても、土曜ょり早めの時刻に目覚めるはずです。
    ・デスクワークなどで、少しでも「飽きた」と感じたら、できるだけ早めに立ち上がってください。これだけで血管とリンパ管の循環が改善されます。そして、壁や机に手をついて体を支えながら脚を前後左右に振る、背中や腕を伸ばす、肩やけんこう骨、手首、足首を回す、つま先立ちをしてふくらはぎに少々の圧を加えるなどを繰り返しきしょう。ドライブ中や映画館などで立ち上がれない場合は、座ったままでも於分おきぐらいには腰と足を伸ばし、また足を上下に動かすなどして血流を促しきしょう。
    ・困ったことに、運動は激しくなるほど、大脳の働きで、終わったあとの達成感や爽快感が強くなり、生じた疲労が疲労感として目覚しづらくなります。疲労感を運動の爽快感でマスキングするのは、「疲労感なき疲労」をもたらす危険な行為です。
    ・しかし、軽く適度な運動には疲労回復を促す作用があります。軽い運動でも活性酸素と酸化ストレスが増えて、疲労因子FFが現れますが、それに反応して疲労回復因子FRも出現します。負荷が軽くて運動時間も短ければ、疲労因子FFは最小限に抑えられて数時間以内に疲労因子FFは減ります。疲労回復因子FRは疲労囚子FFに比して長時間作用し、結果的に疲労回復因子FRが優位となり、疲労からの回復が進みます。運動には血液の循環を促す作用があり、疲労因子FFの発生の元となる、細胞が錆びついて傷ついた際に出る老廃物の排出もスムーズに行われます。
    ・皮膚への紫外線が疲労を引き起こすことはよく知られています力実は目に直接入る紫外線も疲労の大きな原因になります。。紫外線は、生物にとって、自身の細胞のQZ<を書き換えてしま、つ恐ろしい大敵です。目の角膜から「大敵が襲ってきた」という情報を得ナて、脳の自律神経のコントロールセンタ|は臨戦態勢をとり、メラノサイトを活性化させてメラニンを分泌し、敵の襲来に備えます。この臨戦態勢を整えることが自律神経を疲弊させ、大きな疲労を生みます。
    ・サングラスを選ぶ際には、「紫外線を的%以上カット」でき、また、レンズと顔のすきまから反射光や散乱光が入り込まない、スポーツタイプのように自分の顔にすきまなくフィットするタイプにしましよう。濃い色のサングラスをかけると目に入る光が減って瞳孔が大きく開いたままになるため、多くの紫外線が網膜まで達することになって危険です。
    ・日傘は生地に紫外線カットの加工がしてあり、中でも外側が白く、内側が黒いものを選ぶようにしてください。白色は光を反射、黒色は光を吸収する働きがあるからです。

  • 新ネタは、横向きで寝たほうが良いことを実験結果からもの判明したこと。もちろん半身浴10分で早寝で、6時間睡眠が良い。週末は早寝して寝坊する方が体内時計が狂わず良い。寝る前に携帯、TVの光を浴びない。

  • 昔ながらの日本人の食生活を意識してすることが、健康にはよさそうな気がしてきた。
    そして、まずは睡眠。

  •  人間、生きている限りついて回るものがある。その中でもしつこい油汚れのごとくどこまでもついてくるものの一つに疲労がある。著者は、疲れているのは身体ではなく脳だと述べている。今まで表も見なかったのでびっくりした。



     「自律神経を酷使しているから疲れる」と述べているように、神経をほぐして癒さない限り、疲れは別世界に旅立つまでストーカーのごとく付きまとってくる。



     よく乳酸が疲れをもたらすのは間違だったというのも意外だった。乳酸は、疲労を軽くする物質だとあり、研究の成果も時代によって変わるものだなと思った。クロが白になったり逆に白が黒になったり、まるでオセロゲームのようだ。



     早食いは疲労街道まっしぐらでよくないのので、一口あたり30回かむことを目指すと疲労が軽くなる。



     鶏胸肉を摂取すると疲労と肥満を避けることができる優良食品だとある。低脂肪・低カロリーで、メタボにならず、含まれているタンパク質が疲れを減らすとあり一粒で二度おいしい。余談だが、鶏肉を食べていたスポーツ選手を思い出した。あの白い粉に手を出してしまった黒番長だ。鶏肉が原因ではないが、つい連想してしまう。



     その他にも初めて知ったことがあり、驚くと同時に実践していくと「疲労さん、さようなら」とはならなくても疲労軽減ができそうだ。

  • ここに書かれている事を全て実践するとなると、それはそれで疲れそうだ。何か瞬間的に疲労を回復する手段はないものかな?

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著者プロフィール

梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)

「2022年 『医師が教える 疲れとりごはん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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