慈雨 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 5307
感想 : 457
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458589

感想・レビュー・書評

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  • 自分が親になった時を想像して感情移入し読み込めた。

    重大な過ちがあった時、それを正そうとする正義感が必要である一方で、その代償として被る全体への負の影響を考えると人間は選択を苦悩する。

    今回は小説であるため正す方向に展開されたが、人間は脆く自分が可愛いものだ。
    現実では、周囲の圧力に屈して正されないことの方が多いことをどこかで理解しているからこそ虚しくもなる。

  • 刑事時代の幼女誘拐殺人事件を引き摺り、四国にお遍路に来た老齢の元刑事。ニュースで発生を知った幼女誘拐殺人が過去の事件と重なる。人生を回顧しつつ、娘の恋人でもある現役刑事を介して現在起こっている事件にも向き合う。自分を刑事足らしめている信念と、それ故に苦しめられている心に封印している自分の罪、それに向き合うことで失うかもしれないもの。刑事として生きてきた男性の人生と葛藤、そこにずっと寄り添ってきた妻の存在。お遍路に見事に重なります。面白かった。

  • 人間ドラマ。警察官を引退し、夫婦でお遍路に出た主人公。過去と現在がリンクする少女殺害事件、刑事や出会う人、出会った人それぞれの過去。
    子供が絡む話はなんか悲しくなってしまい、気のりしないので、評価が辛めになってしまう。ラストも刑事の生き様と言えば格好いいのかもしれないが、妻や娘のことを考えてそういう判断なのか?と思ってしまう。警察小説にありがちな展開なのだが、あまり現実感もカタルシスも感じなく、ただただ辛い小説だと感じた。
    お遍路の進行と物語がリンクしていくのは、小説としては、とても上手いと思う。

  • ずっしりと重い刑事物。
    刑事物であり人情物でもある感じ。
    お遍路の道中と、過去の罪、現在の犯罪捜査の推移がリンクして話が進行しめ、結末には清々しいカタルシス。
    まさに旱天の慈雨のごとし。

  • 警察を定年退職してお遍路の旅に出た神場。
    旅の途中で目にした少女誘拐事件のニュース。
    それは16年前に捜査した事件を思い起こさせた。
    すぐに後輩に電話をして、状況を確認する。
    過去の事件にはある真実が隠されていた。

    もう自らの手で捜査出来ないもどかしかと、お遍路の旅での出会いと葛藤がなかなか面白い。

    2010.10.6

  • 副読本として「殺人犯はそこにいる」を読むべし

    ついでに水曜どうでしょうのお遍路編も見るべし笑

  • コロナ禍だったので1日で読んでしまった。
    お遍路という過去の贖罪とリアタイで進む事件が徐々にシンクロしていく様が心地よい。
    ホントなぜか幼女系の事件は北関東なんだよね。
    しかし、なんか幼女系の犯罪者の再犯が当たり前という一般の意識を助長してそうだなとも思った。

  • 泣きました。こんな警察官が本当にいるとは思えないけど、読み進める毎にどんどん引き込まれました。正義感に溢れ、責任感が強く、自己を犠牲とするのに躊躇いのない素晴らしい人が3人描かれています。読んで良かった。

  • 日本のスチームパンク文化を想った

  • 定年退職後に妻と四国巡礼に出た元刑事の話。過去に捜査にあたった幼女殺人事件に冤罪の可能性があり、贖罪の気持ちで巡礼していたら同様の事件が起きた。家族への想いや信念を持つことを巡礼からヒントを得ながらいろんな問題を決着させる。面白く一気読み。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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