左岸 下 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467963

作品紹介・あらすじ

愛する夫を事故で失った茉莉。傷ついた心を抱え、幼い娘と福岡からパリ、東京へと移り住む。
娘を育てながらバーで働き、男たちと交際しつつも、幼馴染みの九と、いつもどこかでつながっていた。
やがて福岡に戻った茉莉を、不思議な運命が待ち受けていて―。
男と女はわかりあえるのか?
半世紀にわたる男女の魂の交歓を描いた一大長編。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻読んで読むのやめようかと思ったけど、きづいたらまりちゃんがどうなっていくのか気になってる自分がいて読了

  • 人生を川の流れに例えたような作品だと感じた。幼いころに自ら命を絶った兄は岸の上から茉莉を見守っている。「もっと遠くへ」と訴えながら。初め、「遠く」というのは地元の福岡からより遠くの地へ、日本も飛び出していきなさいという意味だと思っていたけれど違ったようだ。本当は、少しでも下流へ流れていきなさい。立ち止まらず、前へ、未来へ進んでいきなさい。そういうメッセージだったように思う。
    茉莉は慕っていた兄を失っても、母が失踪してしまっても、最愛の夫を亡くしても、なんとか前を向いて自らの人生を歩んできた。何人もの男性の間を流浪して。
    私には真似のできない人生だけれど、川底に沈むことなく、海へ向かって流れていける生き方をしたい。

  • 自分の気持ちに正直で、情熱的な主人公をみていると、こんな風に素直に生きられたらと思いつつもきっと自分にはできないだろうなあと思う。

    何よりも、大切な人を何度失っても、健やかに生きている彼女がとても健気で愛おしくて、せつなくなってしまう。
    つらいけど、生きるしかないんだもんなあ。

  • 女性にとっての恋愛と、
    男性にとっての恋愛と、

    女性にとっての結婚と、
    男性にとっての結婚の
    意味の違い。

    結婚ほど性別によってその後が大きく分かれていくライフイベントはちょっとないなあと、しみじみと思いました。

    人生って、せつないなぁ。。

  • やー、読み切った。
    下巻の始まりは、なんだなんだ、ってなって
    読み進める手が鈍りました。鈍いのにさらに。

    人間みんな勝手だ。
    そしてそれが愛しいし、
    同じ出来事を
    共感していることって
    案外少ないのかもしれない。
    もっと通じ合えれば違ったかもしれない。
    そう思うことが多々。
    フィルターが違うだけで、こうも違うのか。

    それにしても、
    茉莉を取り巻く男性たちは
    もーどうしようもない!男ばっかりぢゃないかー。

    どっか行っちゃう九ちゃんも
    死んだ惣一郎も
    駆け落ちした男も
    ひきこもった男も
    タイミングが出会う時期が悪くて結婚できない男も
    せっかく生涯を誓い合ったのにあっけなく逝っちゃう男も
    欠けたが故に壊れていった父親も。

    茉莉が意識として言葉にしなくなった、チョウゼン。
    それが茉莉の中にあるからこそ
    愛しく体温と呼吸を持って描かれていますが。

    ほんとに、どいつもこいつも勝手だなあ。
    それなのに、あいつもそいつも愛しい。
    ひとつひとつが哀しくて切なくて、それでいて大切で。

    失って失って、欠けたものを埋めることはできないのに、
    新しいものが舞い込んでくる。
    突き動かされる。

    誰もとどまってはいられないから。

    綺麗ではいられないから、
    汚れも見たくないものも見なくちゃいけないから、
    そして上手に流れて行かなくちゃいけないから。

    だから超然としてなくちゃ。

    「右岸」の方が、迫ってくるものは多かったけど
    個人的には茉莉の方が好きだ。
    悩んで迷って、そして健全だから。

    交わることのできない対岸。
    どこまでいっても何処まで行っても。

  • 茉莉の半生の続き。
    「なんでそんな人がいるのに」といわれ、読者もそう思うけど、それでも幸せをつかみにいけない茉莉。
    何が彼女を怖がらせているのだろうと何度も思った。

    終わり方はちょっとあやふやな感じもしたけど、それも含めて「生きている」ことを表そうとしていたともとれる。
    右岸と照らし合わせながらもう一度読みたくなる。

  • ひとりの女の子の一生をみた
    なにも変わってないようで、時間分しっかり変わっているようでもある不思議な感覚

    左岸は九サイドか〜読まなくてもいいかな…

  • 方言てなんて素敵なんだろう、とこれを読むたびに思う。博多に旅行する旅のお供にこの本を選んだのは大正解。帰ってから残りを一気読み。

    ポストデサンスの命名のところと、新の心筋梗塞の箇所(一週間経ってから智幸に話すところ)で泣きたくなった

    あー大好きだやっぱり江國さん

  • こんな簡単に好きになったり何も感じなくなったりできるものかな

  • 2019年に読んだシリーズ。4冊も続いてたから登場人物への感情移入がものすごかった記憶。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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