娼年 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087476941

感想・レビュー・書評

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  • 色気がすごい、そしてみんなの抱える思いが切ない
    私もリョウくんに会いたい

  • どこか冷めた人生観を持つ大学生が、ひょんなことから男娼として才能を開花させていく話。主人公の容姿についての説明があまりないので、恐らくそのあたりはそれぞれ読む人の好みのイメージになるようにしているのかな。ただ、性質は特徴的で、本人は「普通」と考えているが、年上の女性たちに対する偏見のなさ、抵抗感のなさ、ありのままの性癖を受け入れる度量は常人離れしている。こんな人本当にいるのかな〜と思いつつ、そういう人って素敵だろうな、と思った。

  • ☆3.5くらいです。
    あらすじが気になって読みました。

    確かにリョウの言いたいことが分かる部分もあるし、女性の不思議だとか魅力だとか、もしくは理解出来ないところだとか、そんなものが描かれていてただの官能小説では無かったとは思います。
    ドロドロよりはサラサラ。

    かと言って読み終わった時にカタルシスが得られるかと言えばそうでもなく。
    このお話は「逝年」に続くそうなので、そちらも読んでからあらためて感想を書きたいです。

  • ジャケ買いでしたが意外に楽しめました。女性に多様な楽しみ方があるように、男性にもいろんな人がいると思うのだが・・。今の時代に女性・男性なんて分け方も古いのだけれど。

  • 生きることに楽しさを見いだせない主人公リョウがひょんなことから 体を売ることに。男だから 娼年。
    20代から70代までの女性が顧客。女は死ぬまで女だとゆう言葉はよく聞くけど 私は何歳までセックスしたいのだろう。怖くなりました。男は だって立たなくなるから自然にできなくなるわけで.....でも女はねぇ...できるじゃない(笑)
    笑うストーリーではないけど 70歳のばぁちゃんが主人公と手をつないでるだけで2回イッちゃって、 エレベーター乗ってる間にもう1回いって さらにセックス2発....
    手つないだだけで イケちゃうとか ..... 達人すぎだろ!

    体を売るお話だけど全然 生々しくなくて 体を売る主人公が とても輝いて見えました。
    男からのセックス心理は勉強になります。

  • いち女子大生として、セックスとか性とかそういうものをテーマにしたもの、それを匂わせるタイトルのものを買うのには勇気がいる。(とかいいつつ衣良さんの「sex」を買っているからあれなんだけど。)でも、恥ずかしいとかそんな理由でこの本を読まないというのはもったいなさすぎる。他の作品にも通ずるところだけれど、衣良さんの性描写にはいやらしさがない。作品を通じて、どこまでも透明なのである。

    売春や買春が孕むイケナイ匂い。社会的にはそれはどこまでもイケナイことだ、と教えられてきたわたしは今まで疑うことなしに体を売り買いすることの悪を信じていた。けれどこの作品を読んでいる間、セックスを商品とすることがイケナイことではなく、寧ろ素敵なことのようにさえ思えた。本を閉じてしまえばやっぱり売春は悪なのだけれど。官能的ではなく、どこまでも透明な作品に仕上がったのはやっぱり衣良さんの成せる技なのではないだろうか。

  • 私の記憶が正しければ、石田衣良の作品で一番最初に手にとったもの。

    最初は、タイトル買いと言ってもおかしくなかったけど、最後は、こんなにも人間という生き物を繊細に描ける能力に圧倒されたのを覚えている。

    内容も、艶っぽいけどどこかさみしく、どこか切ない。
    氷の彫刻のような作品。

    • さむさん
      >氷の彫刻のような作品。
      素敵な表現だなと思いました。
      この本を読んで、寂しげで、でも美しいと私は思いました。
      >氷の彫刻のような作品。
      素敵な表現だなと思いました。
      この本を読んで、寂しげで、でも美しいと私は思いました。
      2013/02/22
  • 「記憶のようにむこう側が歪んで見える氷のブロック」という表現が好きです。なるほど、と納得しました。

  • 性的な事は精神面にも繋がっているよね。

  • 「風俗」や「売春」と聞いて目くじらを立てる人には
    一生理解できないであろう物語。
    ていうか石田さん、何者??

    複数での性行為、排泄によるエクスタシー、
    同性愛、骨を折るほどのマゾヒズム…

    人間の、女性の欲望と寂寥感をこれでもかと描き出し、
    綺麗な文章でまとめていくテクニック。脱帽です。


    ----------------------------

    「『ふたりですれば素敵なことを、あなたはいつもひとりでしている。退屈になるのも無理ないな。(中略)まず女性やセックスを退屈だなんて思うのをやめなさい。人間は探しているものしか見つけない』」

    「『綺麗な顔や上手なセックスだけが、女を惹きつけるとでも思ってるの?あなたのいつも難しそうな顔をして悩んでいるところも、ほかの人から見ると魅力的だったりする。自分で意識してる魅力なんて底の浅いものよ』」

    「年の差はたぶん十五歳プラスマイナス2。こどものころから大人の女性が好きだったぼくには、障害にならない数字だ。なぜ彼女たちは年上であることを罪のように感じるのだろうか。そちらのほうが長いあいだぼくの不思議だ」

    「ものを手にいれるより女性を満たす手助けをするほうが、ぼくにはずっとおもしろかった。どんなに効果なプライスタグがついていても、ブランド品など問題にならない。あれは結局、ほんとうは自分には勝ちがないのだと思っている人がほしがる勲章だ」

    「『ほんとうは自分の問題ではないことで悩み、自分の考えでも価値観でもないことで人を裁く人間が、この世界にはたくさんいる。ぼくはそういうの嫌になるくらい見てきたんだ』」

    「ぼくたちは自分が設計したわけでもない肉体の、ごくわずかな部分に振りまわされて一生をすごす。過剰な欲望をもつ人は生涯を檻のなかで送ることもあるだろう。それほど極端でなくても、平均的な欲望のもち主でさえ長くはない人生の何万時間かをセックスについて空想し、無駄に潰してしまう。(中略)この世界の途方もないフクザツさと同じだけの深さが、ただのセックスにあるのだという事実が、その夜ぼくを圧倒していた。」


    ----------------------------


    純愛や倫理を口で語るのは簡単でも、
    それだけでは決して満たされることのない
    スキマが人には存在するのもまた事実。

    男女の仲に正しさなんてないけど、
    最後のシーンで示唆されている石田の哲学は興味深いです。
    (ネタバレなので書きませんが)

    オススメ図書。夏にね。なんとなく。

  • 石田衣良の文章ってすごいなぁ、と思った本でした。
    なぜかものすごく印象深かったのが、はじめの方でリョウが氷をペティナイフで削っているシーンの描写。
    室温のバターという表現がなんだかすごく好きでした。
    やさしくて繊細で、意識しなくても光景が脳裏に滑り込んでくるような文章で、こんな文が書ける人ってほんとに少ないとおもいます。
    大学生のリョウが、娼夫として働くうち、女性の欲望の深さや多様さ、魅力を知り、成長して行く話。
    でも、安易に綺麗な話としてまとめるんじゃないところが好きでした。
    そうはいっても身体を売る仕事は、こんなふうにお話にできるほど綺麗なものではないんだろうけど、フィクションとしてこれはこれでありだな、と。
    とにかく文章の心地良さに浸れた一冊でした。

  • 官能的でありつつもどこか切ない感を見事に描く、石田衣良は凄い。ストーリーもオチも美しい。

  • こんな世界も石田衣良さんにかかると、神聖さすら感じる。
    普段、自分の価値観だけで推し測ってる事に反省したり…それが狙いの作品ではないはずやけど

  • いろんなセックス描写があり、ほほう、とおもしろ半分で読み進めていったけど、読み終わったあとなんとなく清々しい気分になった。自分に素直に生きるっていいなと思う。

  • 娼婦業に足を踏み入れた少年のお話。

    まぁ確かに官能的なシーンは多いんですが、
    それよりも内面や人間の本能・本質が描かれていておもしろい。

    ノーマルな人間なんてこれっぽっちしかいないんだ。

  • こんなに美しい小説を読んだことがない。というくらい、美しい。

    エッチな表現もあるけど、どろっとしていなくて綺麗。

    23歳のとき読んだら、「なんだかエッチな話」という印象しかなかった(ごめん;)のに、30歳になって読んだら、えらく感動した。
    友達にもおすすめした。

    色んな欲望があって、それを解消できるなら、その手段を使っていいと思う。

  • 主人校が年齢とか嗜癖とかの変数に囚われずに、ひとりひとりの女性たちと向き合っていくさまが、素敵だなって思った。

  • すごくぶっ飛んだ世界のように思えましたが、読んでみると、身近なのかもしれないという錯覚が起きるほどでした。

    性的なつながりだけではない何かを見つけていく主人公の日々が、とても綺麗にさえ思えます。

  • とても惹かれた。どんな女性に対しても、受容し、魅力を見い出す。本来なら汚らわしい事でも、そうは感じさせない。読み終わった時には、何とも言えない感情になった。とても魅力的な作品。石田衣良さんの作品は今回が初めてですが、他の作品を読むのがとても楽しみになりました。

  • 男性の娼夫のお話。
    すごく刺激的な内容なのに読みやすく、
    読後感がこんなに清々しいのは
    石田さんの全ての女性に対する優しい目線からくるのかもしれない。

    それにしても人間の欲望の多様さには驚かされた。

  • 本好きの友人が押しなべてお勧めしてくれてた本

    石田さんって男性だよねと思うくらい
    細かく繊細に書かれていた
    文字が画像になって上がってくる感覚を味わえる本だ

    そして
    愛の形は無限大

  • これは高校のときに初めて読んで、
    ただ凄いなあー描写も凄いなあー
    ってくらいにしか思わんかったけど
    また最近読んで見たら
    凄いわかると言うか…
    同じ大学生として単調な毎日はつまんないし、
    色々飽きちゃったりして。
    こういう仕事したいとは思わんけど、
    世間どうこうやなくて
    自分にとってこれは、
    というものを見つけたいな
    って凄い思ったなー…

    石田衣良さんらしく
    ほんと読みやすい。
    夏に読むと妙にすっきりする。
    次回読むとき自分が何を思うのかが楽しみな一冊。

  • これを読んだのは中学生のとき。
    石田衣良好きの友達に借りて。

    だいぶ前に読んだのにはっきりと内容を覚えているくらい、
    印象深い一冊。

    官能小説とは、一言で言いまとめられない世界観。

  • 初めての石田衣良作品。
    なんだろう、率直に、この人本当に男?と思いました。
    セックスの描写がとても綺麗です。
    女の人よりも女っぽい文章を書くなぁと。
    女性について、性について
    こんなに考えられる20そこそこの男性がいたらすごいですね。

  • 五点つけるのも躊躇われるけれど。笑
    大学生の夏に読んで、衝撃を受けました。色んな意味で印象的。そして石田衣良さんの小説の中ではいちばん綺麗で正直で好きです。

  • 鼻につく嫌味のないすごくストレートな表現と文体。
    わかりやすすぎてピッタリくるんじゃなくて、半音ずらしたまま保ってるくらいのちょうど良さ。
    この半音ずれた感じがきっとこの人の作風で、正しい音とのこの「半音」っていう距離が高く評価されてるから人気なんだと思う。
    特に心を鷲掴みにされるわけでもなくて、ものすごく惹きつけられるような才能と自信に満ち満ちた文体ってわけでもなくて、
    すごく綺麗なわけでも別に汚いわけでもなくて、
    だからといって普通とは少し違うというか、どこが違うかは明確には言い表せないけれど、
    ずっと平らな平面を同じ強さと同じ速度で一定の方向にずっと撫で上げてる感じだ。
    加速もしないし減速もしない、その加減が普通じゃきっと難しい。
    表現の主体は確かにその体内にあるはずなのに、脳だけ離れてるみたいな気分になる。
    目線と同じ地点から、興奮もなにもない捉えるだけの視点で、
    はやくも遅くもならない時間の流れを知ってるみたいに同じ速度で見続けてる感じ。メトロノームに近い。きっと最後のページの最後の言葉で、ネジがとまって、音もなく振り子がやんわり止まる。
    体温の無いリアル…
    音の無いリアル…
    共鳴共感の無いリアル…
    だからここに欲情することも惹きつけられることもないけど、
    この無味無臭な感じがこの人の「あじ」なんだなって思ってしまうほど巧くてクセになる。

  • 20代前半に読んだときの評価。
    その頃、この作品を読んでとても視野が広がった!現実でもきっとこんな世界があるんだろうな、と。

    今読むとまた感じ方が違うのかもしれない。
    今度また読んでみよう☺︎

  • 最近やたらと読む石田作品。

    官能小説だがいやらしさは感じない。それは文章の読み易さか表現の美しさか。

    女性が売り手だと生々しいが男性が売り手だと感じ方も少し違ってくる。

    何方が何方でもお金で性を買う行為はこの世からは無くならないのではないか。

    お金が無ければそんな事出来るはずもなく、お金で願いが叶う究極の行為のような気がする。

    そう考えると金持ちの道楽なんだが。

    良い悪いは別として。

    続編も続けて読もう。

  • なんだかあっという間に読了。お金で割り切った関係って、自分をよく見せようとする必要がないから1番自分らしくいられるのかななんて思った。リョウは興味がないからさらっと対応できるんじゃなくて、その瞬間はちゃんとその人の欲望に、生きずらさに向き合ってるから人気なのかな。
    娼夫になる前よりも、リョウは本当の意味で女性を大切にできているような、そして彼自身が人間らしくなれてる気がした。
    それと恵にムカついた。笑

  • 男性作家であるにも関わらず、やはり女性の感情表現や欲望でさえも精巧に、甘美に表現していて物語にスッと引き込まれていきました。苦しみも欲望も誰も簡単に乗り越えたりはできないことを思い知らされる作品でした。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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