その扉をたたく音

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717419

感想・レビュー・書評

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  • その人に取って大切な事は、忘れてしまったとしても心や習慣の中に何か残ると思う。

  • 瀬尾まいこさんの小説は、読みやすく、スっと物語に惹き込まれる感じでとても好きです。
    「いた、天才が。いや、ここまできたらもはや神だ。どうしてこれほどの能力のあるやつが、こんなところにいるのだろう。真の神は思いもかけない場所にこそ、現れるものなのだろうか。」という文章から始まり
    「いた、天才が。どうしてこれほどの能力のあるやつが、こんなところにいるのだろう。真の神は思いもかけない場所にこそ、現れるものなのだろうか。俺の心を揺さぶる音。それは、いたる場所で奏でられている。」で終わる。
    本当に読みやすくて、全211ページ。約1時間弱ほどで読み終わりました。
    前半は、宮路さんと老人ホーム「そよかぜ荘」のおじいさんおばあさんのコントみたいなテンポのいい面白い会話や、渡部くんの少しボケたような言葉がすごく面白くて笑えました。
    後半の、水木さんから宮路さんへの手紙。
    特に、手紙の最後「ぼんくら。もうバカで単純で陽気なふりをするのはやめな。当たり前のように、年寄りに聞こえる音量と速度と距離で話せるやつがぼんくらなわけがない。毎回へそ曲がりの私の心を射るものを買ってこられるやつが何も考えていないわけがない。もう無邪気でいるのは終わりだ。
    老人ホームに入った時点で人生は終わった。そう思っていた。でも、最後の四ヶ月は最高だった。忘れたくない。そう思える日々が送れてよかった。ありがとう。」
    という言葉。
    宮路さんがあげたタオルを水木さんが一番の宝物だと、洗濯にも出さず手洗いしていたことなど。
    ボロボロ泣けるというか、ウルッとくる感じの場面がところどころにあって最高でした。
    全体的にとても良かったです。

    青春×音楽 小説
    いた、天才が。あの音はきっと、俺を今いる場所から引っ張り出してくれる。
    29歳、無職。夢はミュージシャン。
    老人ホームで出会った「神様」との、奇跡の夏が始まる……。
    [あらすじ]
    ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路。ある日、演奏に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの音を耳にする。吹いていたのは、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく……。
    人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、
    人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。

  • ミュージシャンになる夢を追いかけているといいつつ、本当にこままでいいのかと葛藤しながら毎日悶々としていた29歳の宮路。
    介護施設の慰問をきっかけに人から頼られることの喜びを知り、友達もできて、これからの自分を真剣にみつめはじめる。

  • 読み終えて、
    なんだか涙が出てきちゃいました。
    とても温かい涙。

    「その扉をたたく音」...。

    私の中の"温かな涙の扉"たたかれました。

    ユング心理学でいうところの「人生」でみると、
    主人公は「人生の午前中」にあって、
    輝かしい太陽に照らされているのに、音楽の夢を捨てきれず、自分の足で歩くこともできず、親にもたれかかって生きている青年。
    その青年が、
    「人生の日没」に差し掛かった人々と、"音楽プラスα"で交流しながら、"自分の足で歩む決意"をしていく、そんな温かさと、
    「人生の日没」を前にした方々が、青年との交流で、
    "日没は闇ではない"と、
    "この世界は、闇になれば、空いっぱいに星が輝く世界なのた"ということを私に思い起こしてくださった、そんな温かさ。

    その二つの温かさが私の心いっぱいに広がって、ウルウルきてしまいました。

    瀬尾まいこさんの小説は、いつも本当に温かい。


    ps.
    読み終わりそうな時、「あっ今日は10月8日」って
    気づいて、あまりの偶然に、ますます!涙腺ゆるみました。。。

    ps.2.
    「あっ表紙!」...今、気づきました(*゚▽゚*)

  • ミュージシャンを夢見る、29歳無職の宮路と介護士、渡部の出会いから始まる物語。渡部が奏でるサックスの音に魅せられた宮路がホームに通うようになり、入居者たちと親しくなることで少しずつ前に進んでいく。やっぱり瀬尾さんの物語はどこまでもあったかい。

  • 聴き手の事を思いながらメロディーを奏でると和んだりするんだろうなと、この本で思ったかな。
    宮路くんの年齢で扉を開けさせたくれた人々の交流からスイッチが入る。
    意外と渡部君とのコンビで施設での仕事も合うのではと思いました。

  • 前半を読む中で想像した展開とはだいぶ違ったが、ぼんくら君の背中を押す周りの人たちの想いに、最後はホッコリした。


  • 前作の「夜明けのすべて」が大好きで、新刊を購入しました。
    期待を裏切らない読後感でした!

    やりたいことを見失っている迷える主人公の宮路さんが、渡部くんはじめ、人生の大先輩たちに出会えた奇跡に乾杯したい気分。
    宮路くんは、自分のことだけではなく、ちゃんと相手のことを考えることができる人なんですね。
    そして、それを見ぬく水木さんも素敵です。
    歳をとるのも悪くないです。

    水木さんが、宮路くんの背中を押したように、私もそんな人になりたいなと、思うのはおこがましたいでしょうか?

  • 愛に勝るものはない。何も言わず待っててあげられる彼の親が素敵だな。

    主人公の彼は親がお金持ちではあるけれど、ちゃんと愛情を注いで育てられ、また本人もそれがわかってる。29歳で無職の“ぼんくら”になっても親からの愛は変わらない。だから彼は自然に人に寄り添える。そして彼の周りには人が集まる。

    家族だから言えること、家族だから言えないこと。難しいけど愛情があれば相手を考え見守れるし、背中も押せる。やっぱり愛情に勝るものはない。

  • スルスルと読めた。
    水木のばあちゃん、可愛いなぁ。
    ぼんくらもなかなか可愛いやつだ。
    渡部くんと宮路
    2人の仲はこれからも続いていくのかな。
    いいコンビだと思う!
    もう少し読みたかった。
    避けられない別れはあるけどあったかいお話。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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