その扉をたたく音

著者 :
  • 集英社
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感想 : 478
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717419

感想・レビュー・書評

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  • 話の展開がかなり強引だし、渡部君の性格の所以もどこかで出てくるかと思いきや。。
    だけど、話は面白い。ギターとサックスという組み合わせで曲を奏で、老人にもわかる曲を届ける陽気さは、生死と向き合う介護施設にはつらいのかもしれない、と少し思った。
    ぼんくらと水木ばあさんのやりとり、本庄さんのウクレレ、すべての思い出は泡のようでいつか目を覚まさなきゃいけない。
    楽しいお話だけど、どこかしゅんとした気持ちになった。
    246冊目読了。

  • とても読みやすく、一気に読めた。
    老人施設の様子は、父が行っていたこともあってイメージはよくわかった。そこで働く人々のキビキビした様子も想像がついた。

    ぼんくらさんの心を動かす老人たち。
    人の心を動かすサックスの音、聴いてみたい。

  • 相変わらず愛情と優しさとユーモアたっぷりの瀬尾さんらしい、心温まる1冊。
    29歳、無職で親からの仕送りで生活しつつミュージシャンを目指す宮路。本当「ぼんくら」の名がふさわしい。世間知らずで人生舐めすぎ、夢見すぎ!って突っ込みたくなるんだけど、涙もろく、人懐っこい性格がどこか憎めない。宮路への突っ込みは「あと少し、もう少し」でも登場していた渡部くんが淡々と突っ込みを入れてくれるのが良い。
    渡部くん、前作ではだいぶ色々こじらせすぎててザ・中学生って感じだったのに、大人になったなー。となんだかしみじみしてしまった。笑 相変わらず嘘のない、真っすぐな物言いが何とも読んでいて爽快だった。

  • 若く無邪気でいられた頃が終わるのは寂しい。
    歳を取り、大切な記憶を少しずつ失っていくのは寂しい。

    だけど、誰かと一緒なら。
    「自分以外の人を愛」し、「自分以外の人と時間を共に」p180 することで、世界は変わる。

    音楽を愛する29歳無職の宮路だけでなく、
    安全な日常の中に自分を嵌め込んでいた介護職の渡部君も、
    憎まれ口をたたく水木のばあさんも、
    「いつでも何かに手を伸ばせるように準備をしていた」p180 本庄さんも、
    それぞれが、お互いを思う気持ちの中に、世界が変わる「その音」p184 を聴いた。


    「寂しさの向こうにちゃんと光がともっている」p54
    「どんな状況の中にいても、明日やその先にすてきなことが待っていることをぼくたちは知っている」p170

    そう思えるのは、
    大切な人たちと過ごした日々を知っているからだ。

    扉をたたく音は、私たちのまわりにあふれている。

  • 29歳、無職、お金持ちの親の脛をかじりまくっている主人公とサックスがすごく上手で、老人ホームで働く渡部くん。とその老人ホームで出会う人たちを描いた作品。中盤すこーーし中だるみをしてしまいましたが、最後はグッと引き込まれてウルウル。主人公の未来が楽しみだな。

  • 可笑しくて可笑しくて。だけどそこに生の痕跡はあって。わずかな社会とのつながりが一気に広がり、深まり、生の真髄に触れ、人は立ち上がる。最後は泣けて仕方なかった。

  • 水木さんに感情移入というか、親しみ…というか、まあ、わたし自身がもうおばあちゃんなので、どうしても親目線で主人公に喝を入れたくなるのです。
    人生は、それぞれにいろんな背負うものがあって、一人ずつがそれこそいろいろな問題を抱えて生きています。

    宮路くんへ。
    ぎりぎり20代で、人生を変えてもらえたことに感謝しなさいね。
    だけど、ぼんくらって呼ばれながらも、頼まれごとをきちんとこなして行くあなただから、これから先の長い人生、きっと幸せになれると思うよ。

  • 読む前からきっと優しいものがたりだと思ったけどやっぱりそうだった笑

  • そっとちょっと背中を押してくれる本。

    無職、お金には不自由しない、中途半端に音楽を求める29歳の若者が、いわゆる老人ホームでひと時を過ごして脱皮していくお話。
    スルスル読めて、主人公の甘さとピュアさ、渡部くんの実直さが心地よい

    2023.3.6
    32

  • 老人ホーム「そよかぜ荘」
    宮路はギターの弾き語りにやってくる
    そこで聴いたサックスの音色に心奪われた
    演奏者は施設のスタッフ渡部君だった
    水木のおばあさんにお金を渡され
    利用者からの買い物を頼まれて
    買い物を運び、ギターを演奏するようになる

    夏は終わる
    無邪気なままではいられない
    9月の終わりに起こして欲しい
    グリーンデイ「ウェイク·ミー·アップ·ホウェン·セプテンバー·エンズ」

    これは人の温かさにふれて
    生きる現実を知って1歩前に歩きだす話

    なんて優しい風がふくのだろう

    久しぶりに大好きな瀬尾まいこさんの作品を読んで心が浄化された

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

瀬尾まいこの作品

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