逝ってしまった君へ

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093888172

作品紹介・あらすじ

SNS上で大反響のエッセイ、待望の書籍化

「note」での掲載が大反響を呼んだ壮絶なノンフィクション、待望の書籍化。

2019年1月。私は、古い友人のひとりを失った。
友人は突然、自らの意思で死を選んだのだ。
彼は私の大切な友人でもあり、私のはじめての恋人でもあった__


声優・浅野真澄が体験した、大切な人の「自死」。
大切な人を失って初めてわかる、大きな悲しみと日々の「気づき」。

遺書にあった自らに向けたメッセージ、告別式、初めての「遺品整理ハイ」…そして「君」を失った悲しみの中で見つけた一つの光。


『誤解を恐れずに言ってしまうけど、君を失って、私はひとつ、大きなものを得ました。それは、自分を自分のままでいいと思える強さです』

『たった一つのものさしで自分を測ることに、意味なんてない』

『君がそこにいてくれることが、すべてでした。君の存在そのもので、私はどこまでも満ち足りた気持ちになったのです』


あまりにも突然で悲しい出来事を経た「遺された人々」のその想いを、逝ってしまった「君」への手紙の形で綴ります。

日々悲しみの中にいるあなたにこそ読んでほしい、大切な人へ向けた祈りに満ちたノンフィクション随想録。

感想・レビュー・書評

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  • 大切な人を突然悲しいなくしかたをした時の、心の動きが素直に綴られているように思う。
    私には今のところ、幸いにも経験がないけれど、そのなくした人と自分だけが共有していた思い出が、なくなってしまうような気がして、こわいのだろうか。
    私も、いざそうなったら、文章にせずにはいられないような気がする。

  • 読んでいて胸が苦しくなり、読了するのが辛かった。この気持ちは、著者の友人が自死したことや著者が感じた苦しみに対してではなく、私自身の経験がフラッシュバックしてしまったことから。近しい人の自死やうつ病のことは、当事者にしか分からない部分が多いと思うので。

  • 人間の価値、ただそこにいるだけで価値がある。なにかあったら話せることのありがたさ。亡くなって初めて気づくこと。死を乗り越えても人は生きていく。大切な人の死はどこまでいっても悲しいものだけど、いつか時間が風化させ、同じ気持ちではいられなくなる。訃報に際してどれだけ悲しんで、悲しみから生きていく糧を得られるか、糧を得られる死との出会いは人生を豊かにするかも知れない。
    非常に読みやすく共感するストーリー。淡々と終わってしまった印象なので総括しての何かやもう少し読後感が欲しかった。

  • 友人は突然、自らの意思で死を選んだ-。大きな喪失感と日々の「気づき」、初めての「遺品整理ハイ」…。声優・あさのますみが、大切な人の自死と遺された人々のこれからを綴る。SNSで発表された随想録を書籍化。

    心がつらくなった。

  • 手紙形式で進んでいくストーリー。徐々に「君」の輪郭が見え始める。器用で繊細。生活感のある室内で発見された君。「器用だから自殺もうまくいっちゃったのかもね…」。残された人たちで故人の思い出が美化されてしまうというのはすごく納得かも。記憶も薄れるし歪んでいきます。身近な人をなくしたときわたしが一番最初に忘れたのは声でした。高かったかも思い出せない。そうやってさらさらと砂のように消えていくのでしょう。故人を覚えていることがなによりの供養だというのを実感しました。

    (「君」が独身でまだよかったのかなと思います。奥さんがいたら浅野さんのエピソードは世に出しづらかったと思うので…)

  • 「とんでもない本に出会ってしまった」と思った。
    衝撃が大きすぎて、感想を綴るのに読了からしばらく時間がかかってしまったくらい。

    遺された人の悲しみ、後悔、願い。
    「君」の優しさ、思い出、そして「自ら逝く」ことを選択するまでの葛藤。
    どちらも痛いほど伝わり、胸に響き、共鳴した。
    本書は「君」への手紙として綴られた作者の思いが形になったもの。
    現実の世界に起こったことだからこそ、言葉のひとつひとつが鮮明で、香りたってくるようだった。

  • わたしも大事な大事な友人に手紙を
    書きたくなった。

    あさのさんが綴った言葉も
    もしかしたら
    吐き出したに近いかもしれない言葉も
    その1つ1つが
    ずしんと重く重く響いていく。
    でもそれは、決して苦しいものじゃなくて
    わたしの中でぐるぐる回る
    沢山の感情と思いが
    いいんだよ、それで
    そう肯定されているような感覚だった。


    「死んじゃだめだった」
    そう言えなかったし言いたくなかった。
    いなくなってしまったことは
    悲しいしさみしいけれど
    その事実を、その選択をした彼を
    わたしは受け入れたかったから。


    届けるすべは持っていなくても
    わたしも手紙を書きたくなった。
    ううん、きっと届けられる。
    届いているよね、きっと。

  • 大切な友人を失くしてしまった作者が、ていねいに、ていねいに、その時々の状況と悲しみを記した物。亡くなった友人は、すごく魅力的な人だった事が文章の隅々から感じられ、深い悲しみに私自身も押しつぶされる様だった。 うつ病を発症する人は、周りにもいて、その苦しみを初めて気づかされた本だった。

  • 自死で友人を失った人の心の動きが克明に描かれていて、いつかそのことすら失われてしまう前に記録しておきたいという気持ちもその意義もわかるし、その友人がとても立派で魅力的な人柄だったことも伝わってくる。しかし、だからこそ、彼のスマホに残されていたメモや日記的なものまで全て自分のスマホに転送するという行為の無神経さにギョッとなった。(現にその場にいた人でそんなことをした友人は他にいない)

  • 大切な人を失ったとき、自分の足元がもろく崩れ去っていくように感じる。
    寄る辺なさのような、心細さのような、痛みのような悲しみを。
    あるいは失ったことが納得できず、「なぜ」を繰り返したり、後悔にさいなまれたり。
    たとえば天寿を全うした最期や、病気ゆえの覚悟のあとであったとしてもそれは誰もが感じるものだろう。

    だけど、もし、その死が「自死」によるものであったら…
    考えただけでもその悲しみと苦しみの大きさに震える。

    悩んでも悔やんでも消えることのない後悔。突然襲ってくる空虚。
    答えてもらえない問い、もう二度と会えない現実と、どうやって折り合いをつければいいのか。

    声優あさのますみが大切な人の死を受け入れるために必要とした喪の作業。
    そのひとつひとつを自分の言葉でつづったこの手紙がいつか自分にも必要になる時があるかもしれない。
    いや、多分誰のそばにもきっと、その日はあるのだろう。でもその人が生きた、その事実は消えない。
    その人との思い出は消えても、その人と過ごした時間は消えない。そのことをこの長い長い手紙は私に教えてくれた。

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著者プロフィール

秋田県生まれ。『ちいさなボタン、プッチ』で、第13回おひさま大賞童話部門最優秀賞、『まめざらちゃん』で、第7回MOE創作絵本グランプリを受賞。絵本に「アニマルバス」シリーズ、『トイレこちゃん』(ポプラ社)、『はるってどんなもの?』(小学館)などがある。また、浅野真澄名義で声優としても活躍、多数の出演作を持つ。

「2022年 『おおきなおさら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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