さくら (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082272

感想・レビュー・書評

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  •  兄という家族の太陽の様な存在に照らされた家族が、太陽を失い真っ暗になる変化、そしてその後の変化を書いた物語でした。
     内容は後半になるにつれ、話がつながり悲しさと感動をもたらすものでした。
     西加奈子さんの作品はあまり読んだ事がないのですが、心情や場面の様子の表現が独特で、そこが面白いと思ってます。
     喩えいっぱいで、頭の中で様々な想像が膨らみます。語彙力と表現力!その分、文字数の割に物語の展開が遅く感じられることもありますが、、

  • 映画を観てから。
    もうどうしても浮かぶビジュアルが映画のキャストになってしまうけど、兄ちゃんもミキも演じた吉沢亮と小松菜奈で、とてもしっくりきながら再会した。違ったのは、サクラがしゃべること。映画のサクラは素晴らしい演技を見せてくれたけど、こちらのサクラのしゃべり(ホントは薫の想像だろうけど)は、よりサクラを愛おしくさせる。そして映画よりも強烈な奇跡。

    あ、タイトルはひらがなのさくらや。

  • さくら、と言う犬を通して家族の生活模様を描くストーリーの壮大さに感嘆。最高の1作品です。

  • 比喩がきれい。色、音、匂いが伝わるような表現がとても素敵。各所にでてくる登場人物みんながとても不器用で、愛らしい。様々な対人感情が素敵な比喩とともに細かく描写されていました。

  • すごくよかった…とは思う。
    読むのは大変だったけれど、ストーリーは面白かった。
    始まりとは打って変わって、とても仲の良い家族の話。

    いつも勢いが良くて喧嘩が強くて自分の思った通りに生きていて見た目と中身のギャップがあり過ぎるミキとか、なんだか不器用で弱々しい雰囲気だけど男気のあるお父さんとか、帰国子女のゲンカンとか、お父さんを好きだったサキフミさんとか…愛すべき登場人物もたくさんいる。もちろんサクラもかわいい。

    でも、「そうゆう」という言葉遣いをみるたびにイライラしたし、ガチャガチャした感じや、不快な用語が無意味に出てくるところや、突然訳の分からないことをし出す人などが受け入れられなかった。
    悲観的な場面でも悲観的にならずにいられるのはこれらのおかげではあるのだけれど。

    この作家さんは長らく食わず嫌い状態だったので、それは良くないかも!と思い、読んではみた。が、読むには少し歳を重ね過ぎたのかもしれない。
    おそらくもう二度と手にすることはないと思う。

  • 中学生だったか、この本を読んだのは。
    妹がランドセル持ってきて…のシーンが強烈に印象に残っている。
    いやお前、それは…、って感じでなんとも言えない気持ちになった。西加奈子の中でイチ押しの作品。

  • 参りました。
    やられたわーー
    読んでいて場面場面が映像で浮かんでくるなんて、、、
    素敵な作品に出会えました。

  • これだけ人物を生き生きと描けるのは素晴らしいし、そういう本に巡り会えて良かった。

  • ヒーローだった兄が自殺。家族は閉塞感にあふれ
    妹は閉じ籠もり、母は何かを溜めるように太り、父は逃亡。幼少期に感じていた『何か』を上手く表現されていて、何がおもろいって言われたら難しい。サラバを読了したときと同じ感覚に陥った

  • 早く映画にして下さい。

  • 個性的な両親に育てられたこれまた個性的な3兄妹、そんな小説世界にありがちな幸せ5人家族の幸せ劇とその崩壊と再生の萌芽までを描く、西加奈子らしい小説。

    彼ら家族をつなぐ愛犬「さくら」がなんともエエ味を出していて、確かにタイトルになるよなって感じ。他の登場人物たちのアクの強さに、作中の目立ち方はさほどでもないが、読み終わってみると、なるほど彼ら一家に「さくら」がいたから再生があり得たのかもなぁと思えてしまう。この辺、西加奈子のペースに嵌められてるんだろうなと思うが、悪い気はしない。

    比喩表現が少々しつこいことや、中学生がセックスしまくることへの違和感や、妹美貴のとある行動がなんぼ小説でもちょい嫌悪感抱いたこと等、若干瑕疵と思える部分もあるし、荒削り感も否めないが、全体的にパワーを感じる小説。今に至る西加奈子の活躍の片鱗が分かる作品でもある。

    生き方、家族のありようは、もっと自由であっていいよな…と思える1冊でした。

  • 本を読んで お話の中の登場人物に本気で 本気で本気でその瞬間ムカついて 本を床に叩きつけたい衝動に襲われたのは初めてでした。
    ほんとに ほんとに今手に持ってる本をそのまま投げつけたい 怒りでいっぱいでした。
    それしか その人に怒りを表現する術がわからなくて。
    お前だよ、ミキ。

    なんてことはない 日常のお話かと思ったんですけど その日常が細かく彩られていて 兄弟のいた身としては懐かしさも感じられて ぽかぽかしつつむず痒く心地よかった。
    それが 徐々に噛み合わなくなっていくというか 不協和音がし始めて 辛かった。
    辛かった。
    辛かった。
    ほんとに辛かった。幸せな時を知ってるからこそ 取り戻せないかってなっちゃう。悔しい。

    最後 持ち直すというか綺麗に収束していく様を見て 生きているのはいいなと思った、けど、じゃあ死んだ人はどうなるんだって。
    ミキはこれから生きていけるから未来を持てるけど 死んだら何もない。
    ミキが手紙を隠さなければ 過去で何か一瞬変われば未来は変わると思うから ミキの行動が許せない。
    後悔も反省も更生も生きてたらできる。
    加害者は忘れることができる。

    でも死んだらできない被害者は傷を負って直らない。理不尽だなあ。

    私もミキと近い気持ちを持っていたからこそ
    許せない。
    愛するお兄ちゃんが幸せになることを 足引っ張ることができた そのお前の厚顔がムカつくんだよ。
    ほんとに許せないんだな。

    あまりにムカついたから その話ばっかになっちゃった。

    文庫版P306
    「僕らの影はそれはそれは賑やかで、太陽でさえ僕らを地面に映すのに苦労していたくらいだ。」
    この表現が大好き。

  • 心が満たされておなかいっぱいになるほど、良い本に出会った。
    数年後また読みたい。また違う想いがある気がする。

    今日はいつもより更に愛犬をなでまわそうとおもう。

  • すごく、すごく良かった!どれぐらい良かったかなんて、それは本当に美味しいものを食べた時に「塩加減が良い」とか「味付けが絶妙」なんて事を全て取っ払って、”美味しかった”というように、この本は本当に”面白かった”です。久しぶりに何度もあと何ページかを確認したし、それは早く終わって欲しくてではなく、いつまでも終わらないで、ずっとずっとこの家族に寄り添っていたかったからです。全てのことが幸せにいくわけではないけれど、生きてるって幸せ!そんな当たり前のことを、ドラマチックに教えてくる素晴らしい本だと思います。

  • 西さんは美しすぎて温かすぎて胸が詰まるような悲しくなるような、「幸せ」、瞬間でしかないそれを確かな形で見せてくれる。

    だから辛いだけじゃない。家族が一時は壊れかけても、大切な何かを失っても。
    そして、救いを見せてくれる。

    車内でのミキの告白。薫さんの演説シーンが印象的で良かった。

    この世界にはいろんなひとがいて'フェラーリ'の世界を生きる人がいること、自分もそうなるのかもしれないこと、そうなっていたかもしれないこと、当たり前のことなんてないこと、そんなことを想像できるひと、わかるひとでありたい。とこの作品を読み終えた今、そう強く思う。

  • 「ああ、この後、不幸がやってくるんだろうに……」と思いながら、幸せなストーリーの読むのはしんどいし、案の定、不幸がやってきてから後の展開はもっとしんどい。
    終盤は涙。けれど、泣いてもちっともスッキリしない。

    表紙のイラストからは想像できない後味の悪さ(読了してから表紙を見ると、なかなかキツイ)。申し訳ないが、精神衛生上この手の小説は遠慮したい。

  • 全く理解しがたく、終盤は飛ばし読み。
    合わないんだろう。

  • サクラは幸せの象徴

    人生は受動的なものではなく主体的なものということ。どんなことがあっても日常は日常のまま続いていくということか。

  • 西さんの本は漁村の肉子ちゃんに続いての2作目。肉子ちゃんと同じく家族が主なテーマだったが、この話も肉子ちゃんと同様(それ以上か?)個性満載に世帯員を描いていて面白いなぁと。
    かっこよくて、優しくて皆んなのヒーローのような兄、少し頼りない弟、男勝りだけどどこか儚い妹、そしていつまでも恋人のような父母。
    途中まではまるで絵に描いたようないかにもな幸せ家族が描かれていたが、兄の事故により一変する。
    兄の死によって心も身体も疲弊し、バラバラになった家族はこの後どうなるのだろうとヒヤヒヤしたが、サクラが家族間のつながりを戻してくれて、あぁペットも家族なんだなぁと改めて感じた。
    本の名前が「さくら」であることにも納得。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

西加奈子の作品

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