- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001548
感想・レビュー・書評
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田村カフカとナカタさんが物理的に近づいてきた。
四国。
上巻の後半、ずんずん面白くなってきた。
キーワードは、オイディプス王の伝説か。
ナカタさんが教わったような関係性がどう絡んでいくのか。複数の人生を交互に語り、少しずつ繋げる手法は、村上春樹さんも原田マハさんも凪良ゆうさんも心憎いほど上手だ。
上巻でお気に入りは主人公の二人と大島さんだ。
大島さんが、想像力を欠いた人間を「うつろな人間」と呼び、論破するところが面白い!「想像力を欠いた狭量さや非寛容さは寄生虫と同じだ」ときっぱり言い切る。
この本でも図書館やシューベルトのピアノ・ソナタ、プッチーニのオペラが登場する。ブレンデルのピアノでシューベルトを聴こうかな。
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村上文学のなかでは、自分探しをしながら、他人と関わって、自分を成長させていく、ノルウェイの森やねじまき鳥クロニクル系の小説。いつもながら、主人公の孤立が中央にでんと座って、さまざまなモチーフが絡み合って物語が複雑化していますね。
オィディプス王に似た父親殺しから、母親との姦通も匂わせるエディプスコンプレックスらしきものを大きな筋として、主人公カフカが自分と向き合っています。幻想世界の中には、源氏物語や雨月物語の生霊が加わり、対役のナカタさんが親近感高く描かれています。突飛だが、妙にリアリティーのあるナカタさん、好きだなー♪
物語があっちの世界に行ったり、こっちの世界に帰ってきたり、村上ワールド全開に楽しめます。 -
今更ながら、この作品を読んでいます。
著者の一番メタ的な、感性が凝縮された作品だと
私は感じています。下巻が楽しみです。 -
狭量さ、非寛容さ、全ては想像力の問題… 僕らの責任は想像力の中から始まる…
との視点、その想像力を育むために少しでも多くの小説に触れたいなと。先日読んだ奈倉有里さんの夕暮れに夜明けの歌をにもあったけど納得。
父の呪に対峙すべく15歳の僕は家を出る… -
ナカタさんがかわいい。
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正直あまり期待しないで読み始めたのだけど、思いの外面白い。村上作品特有の何かの喪失というものがテーマの一つではあるようだ。そして、とにかくナカタさんが愛おしい。彼の影が薄く、田村カフカとのつながりを示すようないくつかのエピソードは二人はニコイチなのかな?とか。佐伯さんとカフカの関係性とか。カフカの父の予言はどうなっていくのか?とか。とにかく分からないことがたくさんある。下巻が本当に楽しみ。
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15歳で家出した田村カフカの物語。昔、母に捨てられたことに傷を負い、15歳で家出することを決意。実家の東京から遠く離れた地、香川へ向かう。多少のお金と荷物を持ち、家出してきたが住む場所がなく困る。そんな少年は紆余曲折あり、香川にある小さな図書館で住むことになり、館長である佐伯さんと共に過ごすことになった。
その一方で知的な障害を持つ初老の男、ナカタの物語も進んでゆく。ナカタは昔のとある事件をきっかけに障害を持ち、都から補助金を貰いながら生活をしていた。そんな彼は猫と話すことができる能力を持っており、近所の人たちからは猫探しを頼まれながら暮らしていた。
全く別の場所で生きる2人には意外な関係があり、徐々に交錯していく不思議な物語。
中盤から終盤にかけて散らばった点同士が繋がってゆき、非常に面白かった。果して2人の結末はどうなるのだろうか。下巻も期待。 -
力をつけたい少年の描写が印象的だった。21の自分よりも15のカフカの方がずっと多くのことを考えてるし、強いんだろうなと感じる。
ストーリーの内容への感想よりも、カフカ少年の生き方やストイックさに憧れが大きかった笑 -
二人の主役のストーリーが流れます。微妙に交わりつつある二人。どんな繋がりが出てくるのか興味津々です。後編が楽しみです。
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村上春樹の本は1度短編を読んだことがありました。その時はそこまで惹かれず、、長編に手にする気が起きなかったのですが…職場でギリシャ悲劇の「オイディプス王」の舞台を観に行ったという話をしたところ、同僚がこちらの本をぜひ読んでほしいと貸してくれました。
読み切れるかな、、と一抹の不安を抱えて読み始めたのですが、第1章にしてその不安は吹き飛びあっという間に夢中に!!
図書館で暮らし始めた「僕」に今後どういう運命が待ち受けているのか…!下巻での展開が楽しみです♪ -
ナカタさんのキャラが個性的すぎる。字は読めない、計算もできない、頭が悪い(ナカタさん自身が自分でそう述べている)というが、色々考えて謙虚に、誠実に行動する姿を見て助けてくれる人がいるのを見ると、世の中捨てたもんじゃないなと感じる。ナカタさんの感想ばかりになってしまったが、下巻にも期待しよう。
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近頃ハルキストと呼ばれる人たちの気持ちがわかってきました。
内容は結構エゲツないのに、不思議と癒されてしまう。
シュールさ、文体、台詞回し、食事とお酒、音楽、文学が入り混じる生活と芸術の融合、先の読めない展開と、出来事の交錯。
今回はカフカ少年と、老人ナカタの物語が交互に展開されています。
村上春樹といえば、これとノルウェイの森が有名だと思いますが、ノルウェイの森の気取ったイメージを感じなくなったのは、私自身の精神の成長なのでしょうか。
まだ話の筋が少し見えてきたところなので、後半を楽しんで読みたいです。 -
下と合わせてレビュー。
やはりストーリーは何が起こっているのか判然としないが、1ページ1ページが面白くどんどん読み進められる。
やっぱりキャラクターが魅力的。さくらさん、大島さん、ナカタさん、星野さんが好き。
途中から話がすごく観念的になってよくわからなくなった。
決められた世界の仕組みや流れがあって、その一部として動く人間たちの話だった気がする。違う気もする。
読み返す時はナカタさんにまた会いたい時だと思う。 -
中学校の時に読んだ作品。
初村上春樹。
もう一度読みたいなぁ。 -
ぐいぐい読んじゃう。
ナカタさんとホシノくんの関係が好きで、第19章の大島さんと女性二人組のやりとりが一番好きなシーン。 -
続きが気になってどんどん読み続けたが、内容があまり理解できなかった。
ネットで考察をあさってみよう。 -
・面白い。「海辺のカフカ」の歌詞には謎がちりばめられている。ミステリー要素もある。
・中日ドラゴンズファンが”ホシノ”君ってのがまた。絶対狙ってる笑 -
下巻に投稿
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ある時ふと気づいたのだけども、村上春樹は、関わることで人が癒されるということよりも、関わりのなさ(=デタッチメント)でこそ人は癒されうるという話を書いていることが多いと思った。
谷川俊太郎も言っているが、まず人と(深く)関わるには、関わりのなさというのがとても重要になってくる。
「海辺のカフカ」もまずは、家出というデタッチメントから出発する。 -
3度目の読了。初めて読んだのはいつだったか、強烈な感動が忘れられず、息子が主人公と同じ15歳になったのを機に手に取った。
と、今までと違い、精神的にこんなに早熟な子はありえないと、つい現実の15歳と比べて余計なことが気になってしまい…。息子に勧めようと思っていたが、この良さが理解できるのはもう少し先だろうな。