ボクたちはみんな大人になれなかった (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101003511

感想・レビュー・書評

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  • ドンピシャ世代で、ほぼ全てのサブカル的ワードに懐かしさを感じて、これ、私の事?って何度か思いました。
    過去の恋愛で、こんなに引きずることは全然なくて、それは私が女で、作中にある、

    「男は過去の自分に用がある、女は未来の自分に忙しい」

    という事だからなのか。たしかにわかる気がする。

    逆に人生の中で出会った人で、もしもこんな風に想われていたら…。こんなにも影響与えてしまってたら…。

    切ない情景が目に浮かぶような文で、渋谷ラブホ、ラフォーレ原宿、エクレア工場、どれもノスタルジーたっぷり。自分の記憶と重なるのかな、エクレア工場で働いた事ないけど。

    犬は吠えるがキャラバンは進む/オザケン

    が聴きたくなる。シーフードヌードルに牛乳もやってみよう。

    章題の書体サイズ、でかっ。

  • 美味しいもの、美しいもの、面白いものに出会った時これを知ったら絶対喜ぶなという人が近くにいることをボクは幸せと呼びたい

  • 覚えておきたいと思うフレーズがいくつも出てくる。叙情的でこういったセンスを羨ましく思う。そしてその言葉が、過去の自分が抱いていた感情を代わりに言語化してくれたような感覚になった。

  • 読みやすい。
    主人公をはじめ登場人物全員、価値基準の一番上に「その発言・行動は詩的かどうか」が来ていて、何か行動を起こす時にはより詩的な選択肢を取る、という感じ。
    長年の綿密な交友関係ばかりがでてくるが、みんな常に自分の人生についてばかり詩的な文法で考えていて他者に全然興味がない。
    いちおう相手の人となりを把握しようとはするんだけど、どこに注目するかによって自分の感受性を確かめようとしてる。
    「サイトウ チヒロって言うんだよ」とか「あなた」とか「ずっとって、どういうこと?」の辺り、もっと相手がどう言う気持ちで言ってたのか考えなよ、自分の感覚の妙ばかりに浸ってないでさ…。
    結局他者を通して自分の詩性を再確認したいだけという不誠実な印象だった。

  • 2021年6月12日読了。華やかな業界に身を置く「僕」が、SNSでのふとした発見から若かりし頃の恋愛を思い起こし…。有名人たちが激賞した小説。文体にクセのない村上春樹というかスガシカオ的というか、様々なサブカルキーワードも相まってハマる人は確かにハマって涙が止まらなくなる要素のある小説、と感じた…。私はそこまでではなかったのは、若い頃にそういう痛みを伴う恋愛体験をあんまりしなかったからかなあ…。現実世界では、たまにドラマが起きても、すべての伏線は回収されないし、もう一度会えると思った人にそのまま会えなかったりもするが、それでもたまにスマホの画面なんかでふとした奇蹟が起こったりもする、ということかなあ。

  • こんな風に人との出会いや別れを経験して言葉として書き出せることに憧れを感じました。もっと日々なんとなくすぎていく時間や、感情や考えを忘れたくない、大切にしなければと思いました。

  • 「どんなに無様でも「大人の階段」は上にしか登れない」

    恋は、喪失という刻印だ。穴の空いたポケットから何を落とし、何を落とさない様に握りしめてきた?

    それら全てが今の自分を構成するなんて知ってても、胸を抉られずにいられない。

  • 期待値が高すぎた…!
    大人とか子どもとか、そんなものはなくて、若い頃の鮮烈な記憶はちゃんと後を引くし、ボクたちみんなそうなんだ、と分かる。分かるんだけど時系列がめちゃくちゃなのと、わりとトリッキーな主人公とその恋人なので、感情移入がしづらかった。

  • ドラマのような大袈裟なハッピーエンドでは全くないけど、ある種の希望があって、今の自分のしんどい心にただそっと寄り添ってくれるような小説だと感じた。

    かおり、スー、関口、七瀬。
    様々な人との出会いと別れ。それはいつだって唐突で、自分でコントロールは出来ない。幸せをもたらしてくれることもあれば、不条理で傷つけられることもある。

    「こうしている間にも、刻々と過去に仕上がっていく今日。先に続いているのは未来であって、過去じゃない。どんなに無様でも大人の階段は上にしか登れない。」

    「始まってしまったボクたちは、いつか終わる運命にある。必ず夜が朝になるように、必ず朝は夜になる。ただその必ずが今日なのか、明日なのか、20年先なのか、それは誰にも分からない。」

    辛い出来事だって、時が経てばそんなこともあったなと懐かしめるようになるのかもしれない。そうやって人は悲しみを乗り越えていく。過去を少しずつ消化しながら、受け入れ、前を向いていく。人生なんて不条理なこともたくさんあって当たり前で、そんなものなのかなと思わせてくれた。

  • 美味しいもの、美しいもの、面白いものに出会ったとき、これを知ったら絶対喜ぶだろうなと思える人がいることを幸せと呼びたい。

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著者プロフィール

1973年生まれ。小説家、エッセイスト。
2017年、小説家デビュー作『ボクたちはみんな大人になれなかった』がベストセラーとなり、2021年秋、Netflixで映画化、全世界に配信、劇場公開された。
小説の著書に『これはただの夏』、エッセイ集に『すべて忘れてしまうから』『夢に迷って、タクシーを呼んだ』『相談の森』『断片的回顧録』がある。最新作は『それでも日々はつづくから』(新潮社)。

「2022年 『ココロギミック 異人と同人3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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