花のれん (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101104034

感想・レビュー・書評

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  • 吉本を作ったモデルの女性と言われる女興行師の波瀾万丈の生涯。
    ダメな夫、次々降りかかる試練、時代の波、その度にプライドも捨てて「ど根性」で乗り越える。
    絶妙なタイミングでの商売へのお金の投資の仕方、相手との駆け引き。
    さすがです。
    これだけのことができないと、商売を大きくすることはできないんだ、と感心。
    商売には勘とセンスが必要なんだわ。

    そして、こんなにこんなに苦労して苦労して..でも最後は..
    心が少し痛いせつない読後感。

    吉本の芸人さんたち、頑張って!

  • ブギウギで興味を持ち久しぶりに山崎豊子さん。
    今吉本も変わらないと行けない分岐点にいるタイミング。この時代には戻れないけど、今の時代のエンターテインメントを磨いていってほしい。

  • 大阪船場に嫁いだ多加は夫が急死し借財を抱えて29歳で寄席を取り仕切ることとなる。金貸の老婆に取り入り、便所で師匠を待ち伏せしたり、トッピもないアイデアで大阪の寄席をのし上がっていく物語。
    ストーリーは面白いが短いのでやや読み応えに欠けたのと、古い大阪言葉がやや読みづらかった。

  • 2023.12.30-12.31
    朝ドラ『ブギウギ』から吉本せいさんを知り、しかも大好きな山崎豊子氏の作品ということで初っ端から読み入った。

    決して夫婦の縁には恵まれたわけではなかったが、多加は天賦の商才には恵まれた。
    分をわきまえ、上下の関係をもたず、常に商売を盛り上げることに精力する姿は見ていて痛快でした。

  • 大阪の寄席道楽を営む女性の話。
    商売魂が第一。
    子どもや恋愛は、二の次。
    女としての幸せ…とはなんだろう。
    私、読書三昧で一生独身なんだろうか。
    本好きな方と出会えたらいいのに、なんて。

    落語聞きに行ってみたいな。

  • 山崎豊子さんの作品は、情緒的で素晴らしい!

  • 山崎豊子文学忌 1942.1.2〜2013.9.29 豊子忌
    直木賞受賞作
    大阪商人の気迫と根性で大阪一の興行師となった女性の一代記。
    主人公の多加は、吉本興行の創業者・吉本せい。
    愛人の上で死んだ夫の借金を背負うマイナスからのスタート。そこから、創意と工夫と根回し。そして、気配り、心付け。使うところには、惜しまず使い、興行でしっかり稼ぐ。
    次々と繰り出される興行は、安来節の芸能化、真打落語家への采配、漫才への変革と、大阪の芸能の歴史の一端を担っていた様。
    東京空襲の後、大阪から人を雇い毛布や食料を運び、落語家への見舞いに回るなど、思いたったら、行動しないと気がすまない。
    最後は戦争により、多くのものを奪われたけれど、やり切った人と読みました。
    素晴らしい女性だけれど、読んでて息苦しくなる程の仕事への情熱。ろくでなしの夫を白装束で送る意味はあったのか。ロマンスになりかけた男性に未練はなかったのか。一人息子とも気持ちは離れたまま。
    痛快で、清々しくて、少し物悲しいさが残る女傑物語。

  •  花のれん。

     古き時代の心かよわき女性が、旦那の度重なる失態に呆れながらも、三行半をしたためることはせず、旦那を健気に信じ、共に商いを営んできた。
     人との出会い、繋がり、絆。そのすべてを商売に賭け、自分の人生をも担保にした主人公は、自分が決意した幕引きを遂げた。
     幸せだっただろう。商売繁盛、一世風靡、時の大阪で大円団を築いたのだから。けれど、満たされるどころか、虚無と不乱の入り混じる感情の中で、一人ぽっちだったのではなかっただろうか。

     そよ風にたなびく、藍染を白抜きし、季節の花を散りばめた花のれんをくぐる、白い喪服を羽織った女性。
     脇目も振らず歩いていく。
     その目は、表情は、誰にも見えない。
     けれどきっと、その先で待ってくれている誰かを夢見て、少女のように爛々としていると思う。

     「花のれん」は、はっきり言えば切ない物語りだった。だけど、紆余曲折、波瀾万丈の人生も、主人公からしてみれば、百花繚乱にきらめいていたのではと、私は思った。

  • 大好きな作家さん、山崎豊子の小説を図書館で。
    この本は初期のころの本で、まだ読んだことがなかったです。

    山崎さんの本は何から何までレビューを書けている訳ではないですが、
    自分の中ではテッパン小説の一つです。
    うまく言えませんが、「艶(つや)」のある文章なんですよね。

    読みながら、吉本興業の劇場運営っぽい話だなぁ…と
    思いながら読んでいましたが、
    あとがきの解説によるとまさに吉本がモデルのようです。
    書き言葉が古いので、ちょっと読み辛いところもあるかもしれませんが、
    丁寧に取材を重ねたと思われるトピックが
    小説の中に散らばっており、とても面白いです。

    インターネットが普及した今の時代では考えられないですが、
    昔は東京と大阪も文化が異なり、
    ある意味違う世界だったんだなぁ…というのが、
    本を読みながら感慨深かったです。
    (確かに、お笑いの世界でも「東京進出」みたいな
    言い方をすることもありますしね。。)

    ※運命の人(一)~(四)
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167556065#comment
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167556073#comment
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167556081#comment
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/416755609X#comment

    ※女系家族〈上〉〈下〉
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/410110431X#comment
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4101104328#comment

    ※暖簾
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4101104018#comment

  • 浪花言葉 大阪弁が醸し出す味が
    心地良い。
    どてらい男 花登こばこを彷彿させる
    船場
    流石 山崎豊子 社会派物から人情物まで
    素晴らしい作家
    確かNHK朝ドラ わろてんか だったかな

  • 吉本興行の創業者、吉本せいをモデルにした小説。
    吉本せいの生涯については[ https://booklog.jp/item/1/4106108453 ]や[ https://booklog.jp/item/1/4480434712 ]でも読んだことがある。実際の生涯が既に起伏に富みすぎているのだが、小説にするとやはりそれはそれで面白い。
    解説によれば著者は大阪船場の商家の生まれだそうで、そのためか、大阪弁や大阪の地域・気質がリアルにふくよかに描かれている。

  • あらすじ
    第39回直木三十五賞受賞作
    船場の呉服店に嫁いだ多加(たか)は、家業に関心を持たず、芸事にうつつを抜かすばかりの頼りない夫・吉三郎に、いっそ道楽を本業にしてはどうかと勧める。二人は店を廃業して寄席を始めたが、吉三郎は妾宅で急死。幼い子どもとともに残された多加は覚悟を決め、なりふり構わず人気芸人を集め、金策に走り、寄席の屋台骨を支えるのだった――。女興行師の奮闘ぶりを描き、著者に直木賞をもたらした傑作細腕繁盛記。エンタツ・アチャコや桂春団治など、実在の芸人が花を添える! 
    感想
    これぞ吉本興業だ‼︎

  • パワフルな主人公が好感を得ました。
    かなり昔の作品ですが、読みやすかったです。

  • 2021/4/27 読了

  • 蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか

  • 「独楽みたいなもので、回っている間だけがたってるので、動きが止まった途端に倒れますねん」
    多加が伊藤さんに言った言葉だが、私も日々働いていて同じようなことを思う。少しでも気を抜くと足元から崩れ落ちてしまいそうな、そんな緊張感というか恐怖感がある。
    多加のように気丈にやっていけるだろうか。これからの世の中やっていかなければいけないのだろうな。
    そう思うと多加のようにむちゃくちゃにやり切って散りたい

  • 最近、豊子先生が読みたくて。
    同じ女としてこんだけ仕事に力入れてみたい気持ちも分からなくもないが、何か寂しさが付き纏う。
    この時代にこんだけの商いの才があるのはすごいことだけどさ。

  • 1909年、船場の呉服屋に嫁いだ多加は、家業に無関心の頼りない夫に振り回される。
    義父が亡くなった後はたがが外れたように遊び歩くようになり、苦労する。
    夫は芸事が好きで、多加はそれを仕事にしてはどうかと勧め、思いきって呉服屋を畳み、寄席を始める。
    最初はやる気になっていたが、本来のだらしなさが復活し、また働かなくなる始末。
    その後、夫は思いがけないことで死亡し、多加を最後まで苦しめる。
    しかし、一人息子を抱える多加は大阪商人として、更に人生を費やして行く。
    周りに何を言われようが、商売のためなら何でもやった。
    昔から、やはり女性は強い。
    だけど、その苦労は生半可なものでなく、時には挫けそうになる多加の気持ちを思うと泣けてくる場面も。

    2019.12.30

  • 山崎豊子氏の直木賞受賞作品。裏表紙を見たら、昭和33年発行となっていて驚いた。著者は大阪人であり、この作品は大阪出身の人にしか書けないと思う。山崎氏の他の大作とちがい、1冊で完結の読みやすい本である。
    大正時代に、呉服屋に嫁入りした多加が、商売がうまくいかず、遊び人の夫に悩まされ、一人になった後落語の寄席を開いて奮闘する話。行動力がある多加のバイタリティに感心する。歴史小説ではないが、どうやら小説のモデルとなる女性がいたようだ。大阪のお笑い、今でいうと吉本興業のような、特有の文化が発達していく過程が楽しめる。読んでいると、主人公の女性を応援したくなってくる。今も昔も、女性がビジネスで成功するには、男性以上の努力と犠牲が必要なのだなとつくづく思った。
    大阪が舞台なので、会話がすべてコテコテの大阪弁である。それも風情があってよい。

  • ◯大阪の商人の描写がやけに詳しいので、例によって緻密な取材の賜物かと思ったが、山崎先生はもともと大阪の商家の生まれで、大阪商人の話し方、商人の考え方、生き方がリアルなのも頷ける。
    ◯一気に読ませる展開の妙は流石。落ちて上がっての波乱万丈で、テンポが良い。
    ◯ただ、物語自体に滲み出る、金への業の深さが引き起こす因果が悲しく切ない。
    ◯決して金だけに囚われているわけではないが、その生き方が果たして幸せだったのかはわからないが、筋の通った強い生き様に惹かれるものがある。

    • やまさん
      yoshio70さん、おはようございます。
      「花のれん」は、むかし読んだような読んでないような。
      図書館で調べましたら大活字本が有るのが...
      yoshio70さん、おはようございます。
      「花のれん」は、むかし読んだような読んでないような。
      図書館で調べましたら大活字本が有るのが分かりました。
      手持ちの本が少なくなったら、読んでみようと思います。
      yoshio70さんの本棚を見て、思いつきました。
      有難う御座います。
      やま
      2019/11/08
    • yoshio70さん
      やまさん、コメントありがとうございます。
      私も最近NHKでやってた朝ドラを見て、なんとなく思い出したので読んでみました。
      他の人の本棚で色々...
      やまさん、コメントありがとうございます。
      私も最近NHKでやってた朝ドラを見て、なんとなく思い出したので読んでみました。
      他の人の本棚で色々な記憶が蘇ってくるのも、このアプリの良いところですね。
      2019/11/10
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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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