風が強く吹いている (新潮文庫)

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  • 新潮社
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本棚登録 : 20229
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  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167589

感想・レビュー・書評

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  • 走るために生まれてきたような走(かける)と 、走りたくても走れない苦しみを知るハイジ。ふたりは運命的な出会いをする。
    ハイジに巻き込まれ竹青荘の住人はほとんど素人でありながら10人で箱根駅伝を目指すことに。途方もなく無謀な挑戦が今始まる…。

    10人はそれぞれ魅力的で誰ひとり欠く事のできない存在。彼らの個性をそれぞれ走りの中でうまく表現し、どの区間も間延びする事なく読者を楽しませる。選手の走りと一緒にページをめくる速度も私の胸のドキドキも変化する。

    駅伝選手は孤独だけどひとりじゃない。襷を渡す時の一瞬の繋がり、選手に唯一触れていいその瞬間が私は好きだ。特に走とハイジの言葉の必要もない襷渡しには胸がきゅんとした。2人の友情、師弟関係は最高だった。

    ハイジかっこよすぎる。しばらくはハイジで頭がいっぱいだろうなぁ…

    「俺は知りたいんだ 。走るってどういうことなのか 」その答えはたぶん一生出ない気がする。だからこそ、みんな走る事に魅了されるのだと私は思う。

    10月17日、箱根駅伝予選会の日に読了。
    みんな頑張っていた。ひとり1秒の差…本当に厳しい世界。この本を読んで新しい世界に出会えた。

    • azu-azumyさん
      けいたんさん、こんにちは♪

      私もこの本、大好きです!!
      どんどん引き込まれて一気読みでした。
      けいたんさん、こんにちは♪

      私もこの本、大好きです!!
      どんどん引き込まれて一気読みでした。
      2015/10/27
  • 誰が推し?って誰かに聞きたくなるほど個性に溢れた登場人物。スポーツの下剋上ストーリーは良くあるのですが、そんなことはもう三浦さんも承知の上、読者も承知の上で、前を向ける言葉が各所に散りばめられてキラキラ輝いている。これと対極の世界のような作品の「光」も気になるけど、このキラキラを暫く取っておきたいので、いつか機会があれば読もうかな。最後になりましたが、私の推しはハイジ!!

  • 長距離を走り抜くためには『強い人間』にならなくてはならない。この強さを得るには、真面目にメニューをこなすだけではなく、チームで楽しみながら苦労し、それを乗り越えていくことである。さらに、自分の置かれた環境を冷静に判断することは、精神論的な側面が大きい。竹青荘に集められた10人は清瀬を中心に意見を収斂する。内に向かれた矜持と自我のぶん殴り合い、この著者の描写は高度に心を打った。スポーツは結果を求めるものだが、それだけではない感覚を感じ取った。10人に向って神風が吹き荒れた。それ故に、俺の目頭も熱くなった。

  • 強くなりたい!
    強くならなければならない。
    いや、強くなる!

    読後の自分の中に芽ばえた思いだった。
    本書は人生において箱根駅伝を走ることになるなんて思いもしなかった10人(正確には1人は企んでいたが)の青年達の頂点を見るまでの軌跡が描かれている。

    頂点と言っても普通に想像して思いつく頂点ではない。

    そこは遠く寂しくただ高みを目指して強く美しく駆け抜けた者でしか見る事の無い景色なのだ。

    読者は本書を読みながら登場人物に伴走し、「自分以外のだれかをたのむ尊さ」を気づき実感できる。

    本書を読んで本当によかったです!
    感動して何度も泣いたいてしまいました

  • 高校時代、将来有望な陸上選手でありながら問題を起こして陸上部にいられなくなった走(かける)は、大学入学後、灰二(はいじ)との偶然の出会いから「竹青荘」に下宿することになる。
    そのハイジの策略(?)で、個性豊かな竹青荘の住人たちと共に箱根駅伝出場を目指すこととなり…。

    日本のお正月の風物詩のひとつ、箱根駅伝。
    個人的には夏の甲子園以上に好きなスポーツイベントかもしれない。
    通常のマラソンではとても走らないようなアップダウンの激しい山道を独りで走りぬかなければいけないという究極の個人競技でありながら、仲間たちの期待と大学名を背負わなければならず、自分が走り切って襷を繋がなければ仲間にも棄権を強いるという究極のチームプレイ。
    毎年テレビの前にかじりついて、颯爽と走る選手に感嘆しつつ、脱水症状で倒れそうな選手の足が一歩でも前に出るように祈り、時間切れで襷が途切れることが無いように必死に応援してしまう。

    本作は、そんな「箱根駅伝」にたった10人(しかもほぼ寄せ集め)の弱小陸上部員が挑む話。
    現実には箱根駅伝は各大学がプライド(とお金)をかけて挑むものであり、ありえないけれど、でも、箱根駅伝が本質的に持っているロマンを思えばこの筋書きにケチをつけるのは野暮だと思う。
    実際、作者は箱根駅伝について詳細にリサーチした上で緻密な物語構成を行ったと思われ、それほど無茶なストーリー運びには感じさせない。

    個性豊かで、それぞれ欠点も持っている登場人物(敢えて言うと、ハイジのキャラ造形が「そこまでできた大学生がいるだろうか?」と少しご都合主義を感じなくもないけど…)たちが、切磋琢磨し走者として、そして人間として成長していく姿が心地いい。
    クライマックスで箱根駅伝を走る彼らの独白は胸にせまってきて、それほどお涙頂戴な内容ではないはずなのに涙が止まらなかった。

    物語の締め方も潔くて良かった。

    蛇足ながら、あさのあつこの「バッテリー」を思い出すなぁと思いながら読了したところ、映画版での走役はやっぱりというかなんというか林遣人だったそうで納得。ジョータとジョージが斉藤兄弟ということも納得(笑)。

  • 寛政大学の格安学生寮の住人学生10人、ほとんど駅伝素人さん達が、1年をかけて箱根駅伝に挑戦する青春小説。
    以前、三浦さんがこの作品を創作過程を語っていて、登場人物の綿密な性格設定や学生寮の部屋割り、試合時の格大学・選手のタイム設定等、大変苦心されていたとのこと。箱根駅伝舞台にも興味あり、季節も近くなりましたので。
    本当の試合を見ている様に読みました。選手となる学生さんの生活や心情も楽しく、監督兼主将兼寮母兼選手のハイジさんが、最後は自分の為に走り、未来を描けて良かったです。

    • moboyokohamaさん
      三浦さん、走っている選手の感覚が知りたくて、走る車の窓から顔を出して、風の圧力を感じたとどこかで読んだことがあります。
      三浦さん、走っている選手の感覚が知りたくて、走る車の窓から顔を出して、風の圧力を感じたとどこかで読んだことがあります。
      2022/02/15
  • 控えの選手どころか、監督も名ばかりでメンバーは本当に10人だけ。
    無謀にも箱根駅伝を目指す彼らの努力と友情に胸が熱くなる。
    それぞれが違う想いで走り出しながら、皆のために一人で走る。
    走るということがどれ程過酷で綺麗なのか…
    走る彼らを読むと胸に迫る。

    10人がそれぞれ個性が違っていて、でも混乱せず読めた。
    魅力的なキャラクターにサラッと読める文章で、最高に面白かった!

  • 三浦さんの著書としては長編だったのでなかなか読む意欲がわかずにいた本です。

    でも読み始めたら、止まらない!。
    余談だが3秒だか30秒で感動を呼ぶという映画音楽が流れる日曜日だというのに空いているカフェで5時間弱、一気に読み終えてしまいました。

    たまたま集ったボロ下宿アパート竹青荘、通称アオタケでは住人が実に大学生らしい生活を送っていた。この10部屋が満員となり、まさかの箱根駅伝を目指すメンバーとなります。

    箱根の山は天下の剣!という有名な文句があるように、日本のお正月の風物詩でもある大会。そこには毎年涙なしでは見られない様なドラマが待ち受けています。私の祖父もここで戦った選手でした。それだけに箱根駅伝は身近なところに当たり前のようにある競技。でも選ばれた精鋭達でさえも苦戦を強いられる場でもあります。

    ボロアパートの暮らしから始まるところは面白かったのですが、プロローグがえらい長く読むのがちょっぴり億劫だと感じましたが、ここはどうしても必要な場面でもありました。

    住人(選手)の1人1人の個性が深く語られていなかったならば、いざ箱根駅伝の各区間を熱く感じることができなかったと思うからです。あまりに過酷なレースを知る余り、転倒!棄権!といった事件の予感もありました。が、そこまでの展開はないものの、その場を間近で目にしているようなドキドキがあり呼吸が苦しくなりながら読了。それでも読み終えてからは清々しい気分になりました。

    ページの多さも手伝ってか、読み終えた満足感は半端なかったです。年末あたりに読んだら、また箱根駅伝が何倍も楽しめること間違いなしです。何かに打ち込むことっていいな。

  • 年末から読み始めたこの作品。この時期に読めて、よかった。年明け、箱根駅伝を見ながら、それぞれの区間を走っていたメンバーを思い出す。
    箱根駅伝、10区10名。寛政大学長距離部員、メンバー10名。補欠の選手なし。誰一人欠けることも許されず。それも希望して入部したわけではなく、なぜか気がつくと清瀬にまきこまれた9名の面々。清瀬にみんなには底力がある、と言われても、本格的に陸上をやっていたわけではないメンバーが多い中で、力を合わせ、めきめきと力をつけていく。どんどんチーム力が上がっていく。
    お正月に、沿道で、テレビで、実際に応援しているかのように物語がすすんでいく。
    読んでいて、とても楽しく、おもしろかった!!
    キャラクター設定もとても良い。登場人物みんな魅力的で、メンバー10名だけでなく、大家さんもはなちゃんも六道大、藤岡さんも商店街の人々も、みんな大好きになる。

    • hibuさん
      りぃさんこんにちは!

      この作品私も大好きです♪
      みんなのキャラがとてもいいですよね!
      この作品以降、箱根駅伝を観る楽しみが増えました^_^
      りぃさんこんにちは!

      この作品私も大好きです♪
      みんなのキャラがとてもいいですよね!
      この作品以降、箱根駅伝を観る楽しみが増えました^_^
      2023/01/08
    • りぃさん
      hibuさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
      ホントに、この作品、とても面白かったです!!
      箱根駅伝を見ながらも、この作品の...
      hibuさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
      ホントに、この作品、とても面白かったです!!
      箱根駅伝を見ながらも、この作品のキャラクターたちが頭をよぎります(^^♪
      またこんなおもしろい作品に出会えるといいな~と思っています。
      2023/01/08
  • 三浦しをんさんの作品にはまったキッカケ本

    駅伝メンバーに選ばれた10人 それぞれの個性が
    とても良い!

    箱根駅伝 今まで興味がなかったけれど
    こんな熱い思いを知ったら どのチームも応援したくなる

    最後は自分も沿道でドキドキしながらゴールを待つ観衆の1人になった気分で、走りきったメンバーに「感動をありがとー」と言いたくなった

    ユキ、いいね!

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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