ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.65
  • (103)
  • (196)
  • (287)
  • (11)
  • (1)
本棚登録 : 1805
感想 : 125
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181578

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • #2905ー200

  • 読了。
    スッラ体制の崩壊と、ポンペイウスの一時代。しかしそれは続くカエサルへの準備であった。

  • 全巻から引き続き、まだまだ混乱の極みにあるローマにおいて、混乱を収めるために「ローマ人によるローマの武力制圧」を初めて行なったのが、この巻の主役の一人であるスッラ。

    結果的に対抗勢力の多くを虐殺することになり、元老院主導による共和制ローマの体制を目指すことになるのだが、その思惑は皮肉にも親スッラ派によって徐々に破綻し、崩壊していく。この巻だけでも、スッラが理想として目指した体制がどんどん壊れていくのが分かる。

    元老院体制というシステムそのものが、当時の歴史と、ローマに求められる機能とに合致していなかったと言えばそこまでだが、多くの同胞を犠牲にしてまで成し遂げようとした体制が、こうも脆くも崩れていくのかと思うと、2000年以上前の出来事とはいえ儚さを感じざるを得ない。
    しかし、この時点で反スッラ派であったユリウス・カエサルがもし殺されていたら、歴史はどうなっていたか。ローマはこれほどまでに長く、魅力的な国家として世界史上の立場を得ることはなかったのではないだろうか。

    この巻で、この先も活躍する人材の一人であるポンペイウスが初登場。生粋の武人という感じで、戦いによって成立し、自らを拡張していった時代には必ず登場することになるタイプの一人。この先、どのように活躍するのかが楽しみ。

  • 他のローマ関係の本で、スッラとマリウスの関係についてはサラッとしか書かれてなかったので
    ここを知れたのは嬉しかった。
    特にここは色んな人物が出てきて混乱するのだけど、まとめつつこの次の世代を大きく影響するものだから理解しといて損はなし。
    世界史で、ローマといえばカエサル、ポンペイウス、クラッススの三頭政治。
    ポンペイウスに関しては世界史でやった程度じゃ知れなかったこともじっくり扱ってて面白い。
    そして最後の一文、
    次回への繋げ方が素晴らしい。

  • 内乱の時代は正直あまり面白くなかった。英雄の登場が待ち遠しい。

  • 政治闘争の続くローマ。
    勝者が敗者を完膚なきまでに排除するから、敗者が復活した時の復讐戦は苛烈を究めることになる。
    徹底的に復讐の鬼と化した小マリウスも醜悪ならば、そのマリウス派を追い落としたスッラも容赦がない。
    文章で読んでもうんざりするような応酬に、当時同時代を生きていた人たちはどんな感慨を抱いたのか。

    そして、勝者スッラもまた「スッラ派」の筆頭であったポンペイウスに、彼の理想とする制度をふみにじられることになる。

    先頭に立って理想を追求する人は清廉であっても、あとを継ぐ人たちは思想より、その特権を自分のものにしようとする。
    理想を実現するための特例であったそれは、いつの間にかトップに立つ者の特権と化してしまう。
    理想はいつか、卑俗に塗れてしまうのだ。

    それは、明治維新の時の、吉田松陰と山県有朋の差を見るまでもないだろう。
    だから少数の意識高い人の行う独裁よりも、愚民政治の方がまだましであるというヤン・ウェンリー(非実在人物)の言に、否やを言えないんだよなあ。

    そんな実力を持った俗物のポンペイウスですら、後世で「偉大なる個人」と見なされることはなかった。
    なぜなら、圧倒的な存在感をもった人物がこの後すぐ出てくるから。
    ってことは、歴史上の人物ですら、相対評価から逃れられないということなのね。

  • 飽きてきたなぁ、、、
    本質ではないような気もするし、意外に本質のような気もする、この素朴な感想。
    ローマ好きには堪らんのでしょうが、そんなに興味ない者からすると、この延々、いやもとい、滔々たる賛歌に付いていけないということなんでしょう。
    いやいや、まだ粘ります。

  • イタリア内での同盟者戦役に続き、小アジアでもミトリダテス戦役が勃発。しかし肝心のローマは内紛状態。従来の元老院体制は事態を打開できず、スッラにしろポンペイウスしろ、優秀な個人に権力が集中する。個人的にはスッラのキャラが濃いな~と思った。そしてユリウス・カエサルも登場。まだ若くてたいしたことはしていないけど、次巻が楽しみだ。

  • この下巻は、スッラ体制の崩壊やポンペイウスへと。

  • 第2章 マリウスとスッラの時代(承前)(紀元前一二〇年~前七八年)
    第3章 ポンペイウスの時代(紀元前七八年~前六三年)

全125件中 11 - 20件を表示

塩野七生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×