この世にたやすい仕事はない (新潮文庫)

著者 : 津村記久子

• 新潮社 (2018年11月28日発売)

感想・レビュー・書評

[くっきーさんの感想 · 2021年2月3日]

どの仕事にも楽しみを見つけている主人公に好感を抱いた作品だった。過去につらい体験をして退職していることから、新たな職場で人間関係を構築するのに先入観を持って構えている様子がリアルだった。個人の考えだが「職場は素の自分を隠して社会に適応する人柄を演じている人が大半」だと思っているため、少ない情報で相手の性格を推定したり、これまで出会ってきたあの人に近しいタイプかな？と勝手に当てはめることがある。新たな環境に溶け込む努力として、先入観を持つことは必ずしも悪いことではないような気がする。

全体を通して「仕事を頑張りすぎないようにね。」とメッセージをもらえている感じがあった。

[ごちゃさんの感想 · 2024年3月3日]

面白かった！
新しい仕事に就く時の、既にできてるグループに加わる感を追体験できます。
主人公、何度仕事を変えても、その都度職場の人と会話して打ち解けてて、尊敬する。
おかきが食べたくなる。

[やまーこさんの感想 · 2024年1月6日]

おもしろかった！著者が関西出身の方というのもあるからか、主人公から見た周りの人間や社会に対しての洞察が、リアルな中にユーモアがあって、所々で笑ってしまう。(特に最後の章『大きな森の小屋での簡単な仕事』での箱田さんが小屋での不審者発見に、一目散にカートで向かってくる場面は、爆笑しました)

どの章でも、その職場で一緒に働くことになる人物は、みな人の良さそうな人ばかりで、人間関係も良好に築けており、またそれぞれの仕事の面白さも体験と共に見つけていったはずなのに、ふとしたことをきっかけに理不尽につまずき、結局仕事を辞めてしまい、転々と仕事を変えていく主人公。まさに、タイトルの通り、どんな仕事にもたやすい仕事はないのだということを痛感しました。

[いのさんさんの感想 · 2023年2月15日]

　とにかく家に帰ります

でハマって今回の

この世にたやすい仕事はない。

津村作品はなんかハマちゃいます。

好きです。

[mimosaさんの感想 · 2021年9月4日]

主人公の淡々とした観察眼の中に、人間味とちょっとしたユーモアを感じて面白い。よくこんな仕事を思いつくなと感心した。どこにでもありそうなありふれたことと、あり得ないファンタジーなことが共存した、不思議でなかなか面白い本でした。

[アルファさんの感想 · 2020年9月8日]

ニッチな仕事内容はどこまで嘘かホントか分からないけれど、そこに居る人たちの細かなディテールが絶妙なバランスで描かれていて「あ、こういうちょっと変な職場ありそうー」という気持ちで気づくとついつい読み進めている。

[ふーさんさんの感想 · 2024年3月7日]

啓蒙本かと最初は思っていたが、小説なんですね。
でもいろんな仕事があるものですね。それを小説の題材にするなんて奥が深いですね。最初は読みずらかったですが気がついたら結構引き込まれてました。不思議ですね。
でも何の仕事でも真剣に取組、対処することが大切なんですね。いろんな出会いがあるんですね。

[うゆたさんの感想 · 2024年2月23日]

ちょっと不思議な仕事を転々としていくお話。
主人公の仕事への向き合い方を見ていると、根本が真面目な人なんだなぁと感じる。

主人公がなぜ前職を辞めたのか、詳しい経緯は作中で述べられてはいない。前職が何だったのか書かれているのも終盤。そんな中で「私たちがやっていた仕事だけではなく、どの人にも、信じた仕事から逃げ出したくなって、道からずり落ちてしまうこともあるのかもしれない、と今は思う。」の一文が印象的。自分が選んだ大切な仕事でも、続けるのが難しくなることはある。主人公の経緯がぼかされている分、こちらの心に沁みてくる。
「ただ祈り、全力を尽くすだけ」という結論はすごくシンプルだと思うけど、そのシンプルさで「あ、そうだよな、よし前を向くか」と軽やかな気持ちにさせてくれる、さっぱりとした読み心地の小説だった。

[蒸れタマちゃんさんの感想 · 2024年2月12日]

さすが本屋さんオススメの一冊。クスッと笑ってしまう所がたくさんあり、仕事に対するスタンスを少し軽くしてくれる素敵な一冊でしたー

[きっしーさんの感想 · 2024年1月23日]

読み味すっきり、ほのぼの系でした。
5つの不思議な仕事はありそうで、無さそうな仕事で、良いところを突いてる（笑）
1番のヒットワークは、バスの広告アナウンス。
キャッチーなひと言広告って、バスならではだなっておもう。特に都会に住んでいればなおさら、子供の頃から耳馴染みのアナウンスだから。

どんな仕事もプロ。課金発生中だよ仕事中は（笑）
たやすい仕事なんか、ないよねー。

著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」（のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題）で第21回太宰治賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞など。他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『水車小屋のネネ』などがある。

「2023年 『うどん陣営の受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」