- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101228013
感想・レビュー・書評
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征爾売り出す。1962年音楽を学ぶための渡仏から始まるあの小澤征爾の第一歩。戦後の余韻残るなかフランス、ドイツ、アメリカで数々の名指揮者から薫陶を受ける。瑞々しい感性。
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23 歳にして海路 (しかも貨物船) で渡欧とは、すごいバイタリティーですね。天才の真似事はしようにもできませんけど、音楽に限らず日本人が日本国内に凝り固まりがちなのは否めない事実だったりするのでしょうね。
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海外経験があればより面白く感じるだろう
2023年6冊目 -
学生時代に音楽をやっていたから、世界的な指揮者である小澤征爾さんのエッセイがあると知った時、いつか読んでみたいと思っていた。
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26歳で海外入りをスタートしてから賞を受賞して世界を駆け回る瞬間瞬間を切り取ったような内容で、
世界から来た数々の優秀指揮者と戦いながら確実に成果が認められていく工程に本当に強いなぁと素人ながら感じた。
先行き安定ルートが確実にあった訳ではなく、成果を紡いで人生にしているようで、それでも日々練習やレッスンを続ける努力は惜しまず、だからこそ彼は認められ続けたのだな、と。
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小澤征爾がフランスへ渡り、指揮者コンクールで優勝してミュンシェ、カラヤン等々名だたる指揮者のレッスンを受け、バーンスタインのもとで副指揮者となり、2年半後に日本に凱旋するまでの物語。私が物心ついた頃には有名だった小澤さんの凄さを改めて認識した本だった。しかも日本凱旋したのは弱冠26歳だったというのだから驚く。
もちろん彼に基礎やそもそもの素養があったに違いない。が、小澤征爾を際立たせたものは、音楽に素直に感動する気持ち、それを求めて向上したいという気持ちや努力、そんな自分を応援してくれる人に感謝し、同時に弱音もはける素直さを持っていたことではないか。そう思わせてくれる内容だった。そんな人間みが滲み出ているからこそ、オーケストラの人間にこの人と音楽をやってみたいと思わせ、周りの人に手を差し伸べたいと思わせる力があったのではないだろうか。
それにしてもスクーターでヨーロッパ大陸に乗り込み(登録番号が違っているのを許してもらったり適当に免許取ったり)、コンクールの締切後に受け付けてもらったり、なんといい時代だったんだろうと羨ましくなる。←ただし後書きによると、締切後の手続きを手伝ったパリのアメリカ大使館の女性は小澤の将来を予見していたらしい。だからこそ頑張ってくれたのだろうが、才能ある若者のめをつまない柔軟な対応! -
これはある本屋さんに行かなければ、きっと出逢えなかった、もしくは出逢えたとしても、もっとずっと後になってしまったであろうと思う。
学生時代、ドラマで“のだめカンタービレ”にハマって、“音楽”の世界にとても興味を持っていた時期があったことを思い出す。
わたし自身、小学生までピアノを習っていたからその影響も大きかった。
そしてこののだめで知る“指揮者”の世界。
なんだか、この本を読んでいるうちにあの頃観た映像がありありと思い出されて、とても感慨深い…
小澤征爾さんのお名前はとても有名だけど、彼が音楽するところを観たことは、残念ながら1度もないと思う。
どんな風に音楽されるんだろう。
わたしのやりたいことリストにまた1つ項目が増えた。 -
小澤征爾が、スクーターでヨーロッパ一人旅に向かったのは24歳。勢いのある文章。こちらまで何かに挑戦したくなる。初心を忘れず、ただ良いものを作りたいと、したいと、思える何かが、好きだから続けられる、それが天職なんだろうな。
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2年半で出会う人の多さや国、そのエピソードの濃さに驚いた
そしてエピソードも音楽一色だけでなく、スキーとかして普通なことも楽しんでいるのに驚いた
今ほど、連絡手段や情報もなかっただろうから、計画もあんまりなくスクーター1つで乗り込むのはすごい勇気だと思った
でも、大変だとかをあんまり感じさせず常にパワー全開でいろんなところを疾走している感じ
あとは国ごとのオケの違いとか、いろんな世界の指揮者のこととか知れたので面白かったです
実際の手紙が出てくるので、実際に旅している様子がよくわかります
オケをまとめるには音楽好きとか技術とかだけでなく、人を惹きつける何かがあったんだと思いまし -
「世界のオザワ」こと指揮者の小澤征爾氏の若き日の海外での音楽修行を中心としたエッセイ。
60年近く前に書かれたもので、24歳からの約2年の、パリ、ドイツ、アメリカなど、滞在先の生活がユーモアたっぷりで描かれている。
指揮者コンクールのことも書かれていて、興味深かった。
パリではブザンソン指揮者コンクールで優勝。
そのあとのボストンのコンクールでも優勝。
指揮者のコンクールについてあまり知らなかったんだけど、最近Netflixで見た「のだめカンタービレ」でも千秋先輩のコンクールの場面を見ていたので、より内容がイメージできた。
オーケストラの音の間違い探し、初見での課題曲って、本当に審査内容だったんだなぁ。
ピアノコンクールとも審査の方式はまったく違っていて、面白い。
(この頃の小沢さんの年齢も、ちょうど千秋先輩がパリで指揮者デビューした頃と同じくらいの年齢だ!)
指揮者コンクールで立て続けに優勝してからは、ベルリンやボストンでの音楽祭に参加したり、ニューヨークフィルの副指揮者に就任し、日本に帰国してからは日比谷公会堂で日本フィルハーモニー定期演奏会の客演奏を務めたりと、大活躍。
滞在先からの家族への手紙の描写も多く織り交ぜており、小沢さんが家族にとても優しく、楽しい人物なんだな、というのが伝わってきた。
だけど、ネットで調べたところ、N響のオーケストラにストライキを食らうなど辛い経験も沢山したようですね・・・。
海外での指揮の作法が日本の風習と合わなかった、とか・・・。
いつか、小沢さんの指揮するオケ、見てみたいな。
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小澤征爾と言わずもがな著名な指揮者。だけど、小澤さん自信のこともオーケストラのこともあまり知らない。。それでも楽しめる清々しく軽い文体。文中に引用されている、家族への手紙が小澤さんの温かく気取りのない人柄を表していてよかった。
あとがきにある、小澤家の経済状態がどうあれ家族全員が個性的に生きるのが当たり前と表現されている家風、興味深いと思った。「室内楽奏者のように弾いてください」というそれぞれの個性を開き合って聞き合って奏でるって素晴らしい!
2019.7.20