夜のピクニック (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.88
  • (4445)
  • (5096)
  • (4749)
  • (588)
  • (131)
本棚登録 : 48351
感想 : 3994
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (455ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101234175

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 447ページをかけて、一日の歩行祭という出来事が丁寧に描かれています。
    読んでいて、修学旅行よりも思い出になりそうだし、こういうイベントやってる学校があってもいいだろうなと思いました。運営側はめちゃ大変だろうけど笑

  • 夜を徹して80キロを歩く高校イベント「歩行際」。ラブチャイルドの少女は異母兄弟と同級生となっていた。密かに二人のこれからを賭けて夜のピクニックに参加する。
    物語は歩行祭スタートからゴールまでの、思春期後期の高校生達が交わす言葉・視線・想いで綴られる。賭けには勝って、異母兄弟二人の交流は始まりそうだ。
    高校時代の友人達はこんなに大人だったろうか。自分は誰かの心許す友人の一人になれていただろうか。うーむ。ダメだったかも。

  • 個人的に嫌悪感と爽快感、両方あった。

    複雑な家庭の事情を抱える二人。
    その事情と似た事例が身近にあったため、読んでいてイライラした部分が多数あった。
    現実はより複雑で感情的だと思うが、小説なのだから予定調和で軽く書かれているのも仕方ないとも理解している。

    そのうえで、人の秘密に対して周囲の人が無遠慮に探りを入れたりするのが不快に感じた。
    ただ、読んでいくと秘密に踏み込まれてもいいと思えるほどの信頼関係が成り立っていて、仲違いすることなく青春していたので良かった。

    最後は盛り上げるというよりするりと物語が進んでいく。
    へとへとになりながらも笑顔があり、爽やかな終わりだった。

  • 母校の物語。「歩く会」の経験は忘れられない。
    最初は飛ばしていたんだけど、後半ガス欠した思い出。
    泣きながら走っていた人もいた。
    「試験に出ないスカスカ国語」や「貴方と歩く夜が怖い」等
    それぞれのクラスの色ののぼり。
    みんな足にマメを作って歩く運命共同体。
    休憩の嬉しさ。
    家に帰った後、何時間眠っただろう。青春の一コマ。

    • ワイコロアさん
      まいけるさん、コメントありがとうございます!
      母校の行事が小説になっているなんてうれしいですね。「夜のピクニック」は今もやっているのでしょう...
      まいけるさん、コメントありがとうございます!
      母校の行事が小説になっているなんてうれしいですね。「夜のピクニック」は今もやっているのでしょうか。
      爽やかな気持ちにさせてくれた作品でした。
      2021/09/25
    • Kazuさん
      ノンフィクションでもあるのですね。
      懐かしい思い出として読めるなんて、羨ましいです。
      我が母校では、遠泳がこれに相当する行事でしたが、2時間...
      ノンフィクションでもあるのですね。
      懐かしい思い出として読めるなんて、羨ましいです。
      我が母校では、遠泳がこれに相当する行事でしたが、2時間も泳ぐだけの小説は知りません。
      ゴールの砂浜にたどり着いた時に、膝がガクガクでまともに歩けなかったことを思い出しました。
      2024/01/30
  • 40歳の今読むのではなくて、もう少し若いときに読んでいればもっと高い評価だったと思う。

    ただひたすら歩く1日の中に、あらゆるドラマが凝縮されていて、全く飽きずに読み進められる。

    気持ちよくエンディングに向かい、読後とても温かい気持ちになれる。
    評判通り良い作品だと思った。

  • 高校の行事で、一昼夜歩く。言ってしまえば、ただしそれだけ。それで一冊の本を仕立てる。ベストセラー作家はおそろしい。

  • 恩田陸さんの代表作と言っていい本を今更だが、やっと読んだ。
    完全に一緒にワクワクして、萌え萌えして、ぐだぐだして、ゴールの遠さに絶望し、家のベットの恋しさに悶絶した(笑)
    あまりにリアルなので、こんな事、想像で書くなんて凄いぞ!って思い、読み終わって調べたら恩田さんの母校でのイベントが背景になっているとわかって納得。
    本当素敵なイベント。青春ていいよね!

  • 高校生24時間耐久ウォーキング遠足!
    そのたった1日掛けのイベント内で、高校男女が、青春を駆け抜ける。恋愛もあり、友情もあり、互いの人生生い立ちの嘆きあり様々。
    400ページ以上ある長編の中、まるで自分自身もその場にいるような感覚で、読み終えてどっと疲れた。ただの疲れとは違い、達成感得た喜びで、終える事が出来て良かった。
    その後の2人の関係性は?ちょっと連想しつつ読み終えました。

  • 長い間積読となっていた『夜のピクニック』
    信頼している本屋大賞作品だし、みなさんのクチコミの評価も高いし
    読めばおもしろいことはわかっているけれど…

    学生でなくなったときから、学園ものはなんとなく避けるようになりませんか?
    私だけ?

    最近ミステリーを連続して読んでいたので箸休めみたいな気持ちで手に取りました。
    が、とてもよかったです。

    読後感はさわやか
    とにかくさわやか

    みなさんもっと早く読んでいれば…とおっしゃっていますが、
    私は今読めてよかったです。
    卒業して10年以上経ってわかる、このときの愛おしさ。

    でも、この本を誰かにおすすめするとしたら
    その人が高校生のときにおすすめしたいかも!

    • yhyby940さん
      おっしゃる通り、60歳を過ぎた私でも何だか甘酸っぱい。是非、等身大の方々に読んでいただきたいですよね。
      おっしゃる通り、60歳を過ぎた私でも何だか甘酸っぱい。是非、等身大の方々に読んでいただきたいですよね。
      2024/03/17
    • pipipiさん
      コメントありがとうございます。
      甘酸っぱかったです(^^)
      本当に。この小説を読んで過ごす高校生活と読まずに過ごす高校生活は違うのではないか...
      コメントありがとうございます。
      甘酸っぱかったです(^^)
      本当に。この小説を読んで過ごす高校生活と読まずに過ごす高校生活は違うのではないかと思います。
      2024/03/17
    • yhyby940さん
      明らかに違うでしょうねえ。ただ残念ながら私は、ゴリゴリの男子校でした。
      明らかに違うでしょうねえ。ただ残念ながら私は、ゴリゴリの男子校でした。
      2024/03/17
  • 学生の頃に読んだことがあったけど、再読。
    大人になってから読むと、また感じ方が違かったな。
    青春という一言では表せないくらい、もっと深いと思った。
    こういう学生の時の行事で、自分の人間性がある程度できていくのか。

  • 高校3年生の最後の行事で登場人物が色々な思いをもって過ごします。

    読み心地の良い本でした。
    読書初心者でも最後までスラスラ読めました。
    青春っていいなぁ、友達っていいなぁと思える本でした。
    どデカい衝撃や感動は無いけど、このゆったりした感じがこの本の味だと思います。
    読後感も良かったです。
    娘や嫁にもいつか勧めてみたいと思います!

    • まいけるさん
      はじめまして。
      私もこの高校の卒業生です。
      歩く会
      青春のほろ苦いいい思い出です。
      はじめまして。
      私もこの高校の卒業生です。
      歩く会
      青春のほろ苦いいい思い出です。
      2024/04/23
  • 第二回本屋大賞受賞作。修学旅行の代わりに行われる夜通し80kmを歩き続けるイベント「歩行祭」を舞台にした、男子高生・融と女子高生・貴子のふたりを主人公とした物語。

    二人は三年生になってから同じクラスになった。それまでお互いを避けてきたのにどうして、と困惑する二人は、実は異母兄弟なのだった。「葛藤と対立」からはじまる二日間の人間模様がどのような結末を迎えるのか、わくわくしながらずっと読み続けていられる名作でした。そして結末での「葛藤と対立」の落としどころが素晴らしかったです。しっかり活力がある作風で進んでいくのに、落としどころではさりげないくらいの柔らかさで印象的。緩急や硬軟のメリハリ、だともとることができるのではないでしょうか。

    読んでいると、きっと細かくきっちり、がっちりとしたプロットを立てて書いていったのだろうと思えるのですが、プロットに沿って書いていても文章が生きいきとしているし、アウトラインに沿うように無機的になる部分が無いところもさすがでした。単純計算すると、作家が38,9歳くらいのときに書いたものだと推測できるのですが、作家の実年齢よりも20歳も下の世代のやり取りを、脚が浮つくことなく成立させることに成功しているところは、腕っぷしあってこそでしたね。しっかり血が通っていました。

    そして、哲学や知見が登場人物たちの口から散見されるのですが、なかでも「これは!」と共感したものを引用して終わります。こういうことをなんとなく感じていたけれど、しっかり言葉にしていなかったなあというところがしっかり言葉になっていました。
    ______

    融は未完成の少女たちが苦手だった。ふわふわしていて、サッと表情が変わったり、絡みつくような目をしたり、恨めしい素振りをしたり。その青臭さが魅力であることは認めるものの、あんなふにゃふにゃしたものに手を出したら、大変な目に遭うのではないかという不安の方が大きかったのだ。(p225)
    ______

    ……僕も苦手な方ですね。ひとつこの引用に言い添えるならば、ここで語られている性質って、少女たちだけに限らず、成人を迎えた女性たちのほとんどにも失われずにある、ということです。輪郭がくっきりした大人の女性の存在のほうが珍しいような気がするのですが?

    というわけですが、さまざまな世代の人が読んでもきっと楽しめるだろう佳作なのでした。おもしろかった。

  • 著者の別作品で同じようなコメントを書いた気がするが、読者に考えさせるのが本当に上手いと感じる。その点、結構好き嫌いが分かれる気もしている。(私はかなり好きな部類)

    本作品は、大きな事件が起きるわけではなく、それほど描写も変わらない。タイトルの通り「歩く」というのが一つのキーワードなのだが、不思議と一緒にそこを歩いているような感覚を持った。

    普段、仕事やプライベートで次から次へとやることが降ってくるし、携帯やパソコンさえあれば、大して考えなくても何でもできてしまう(という錯覚に陥っている)。

    うまく言語化できないが、そんな自分を内省し、自分のため、人のために「今」という時間をちゃんと過ごそうと思った。

  • 少しの事前情報はあったものの、本当に高校生がただ一晩歩くだけだった。でもそれがいい。実際にその年齢の生徒たちがどう思うかは分からないが、大人になってから読み、追体験することで「高校生の時は何をやってもキラキラしている」「高校生だから体験できる」青春までもおすそ分けしてもらっている気持ちになる。落雁や草もちみたいに。大きな事件は起きないが、80km歩行という大きな背景に包まれて、主人公含めた生徒たちが自分たちの力で、歩行とともに自分の中の悩みを昇華させていくのもいい。一切教師が絡んでこない。
    単調であるはずの内容を、ここまで景色や感情の移り代わりをリンクさせたり時には対比させて、内面をここまで鮮やかに書けるのは、この作者の特徴だと思う。人間が好きなんだなと分かる作品だった。

  • 「夜」という特別な時間が、普段言えない本音を引き出す時がある。自分の心に素直になるというか。また本当の意味で「その人」を理解することが出来たり、そこで一生ものの友情という「絆」が生まれたり。

    大人になると、本音で話して強い絆で結ばれることって本当稀になる。この話は主人公たちがただ友人と話してるだけなのに(でも同時に歩いてもいるし、内容もなかなかですが)、謎に気持ちが高揚する時ってあったなあーと自分の学生時代を振り返り懐かしい気持ちになった。
    きっと主人公貴子と一緒にゴールした仲間(でもあの人はきっと違う)たちはこれから先も、一生を通して大事な関係を続けていくんだろうな。そんな時間をリアルに過ごせる若者?が、眩しいくらい素直に羨ましい。

    読後強烈に、学生時代の友人に会いたくなった。その人たちとしか作れない空気感とか味わいたいし、くだらない話や真剣な話、いろんな話がリアルにしたくなったよー。

  • 青春の甘酸っぱい匂いのする小説。異母兄妹の反発し合いながらも最後は和解する、というハラハラしながら一気に読んでしまった。ハッピーエンドなだけに後味が非常に良い。映画はあまり話題になった印象は無かったが、読むのは面白いが、映像になると一晩だけの出来事だけで、盛り上がりに欠けるかも知れない。

  • 全校生徒が夜通し歩き続ける。ただ歩く、それだけであるのに、最初から最後まで魅力に溢れていて物語に引きずりこまれた。

    「みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。」

    あとから振り返ると一瞬のことが、歩いている今は永遠のように感じる。その長い長い時間だからこそ、非現実的なイベントだからこそ、共に歩く仲間といつもは話さないことを話し、普段は考えないようなことを考える。
    そして、何気ない歩いている間の一瞬の風景が、周りの友達と共に永遠に残り続ける思い出となる。大きな事件が起こるわけではないけど、感情に溢れたきらめく思い出となる。そんな高校生活のイベントを共に過ごしているかのように感じた。

    あまりにも現実味に富んだ心身の疲労に、飾らないありのままの友人との会話、歩くからこそ初めて気づく景色の描写に心地よい疲労感を感じた。
    歩行祭で成長していく青春物語。喜怒哀楽や辛さ、切なさ、幸せ。沢山の感情が詰め込まれていた。共に歩行祭を歩ききった、そんな爽やかな読後感だった。

  • まだまだ続きます、新潮文庫の100冊。
    キュンタコンプリートできて幸せです。笑
    1枚だけスマホに飾ってます。笑

    今更ですが、本屋大賞に絶大な信頼をおいている私です。
    お盆の連休の夜にこの一冊を読みたい!と購入しました。

    年に一度、北高では「歩行祭」が行われる。
    それは夜通し80キロを歩くというイベント。
    楽しみにしている人も、
    何かを決心するきっかけにする人も、
    思い出になるように楽しむ人もいる。

    貴子と融(とおる)は、周りの友人たちから「付き合っている」「好きでしょ」と言われる。
    だけど二人は話したこともないし、
    融から憎まれているような目で睨まれる。
    好かれているなんて絶対にない。
    きっとこのまま接点もなく卒業していく。

    だけど。

    だけど、歩行祭の力を借りて。

    お祭りとしての高揚感、
    ゴールまでたどり着けるか不安に思い、
    非日常の緊張感、
    体力も気力も極限まで疲労し、
    特別な空気が漂うこの歩行祭の時に。

    貴子はずっと秘めていた気持ちに対して賭けに出ます。

    わたくし事ですが、
    高校生の時のマラソン大会が苦手でした。
    全くランナーズハイにもならないし、
    何で走ってるのか意味がわからず泣きたくなったり。苦笑
    同じように文化祭や体育祭も苦手でした。
    みんなでお祭り!イベント!楽しむ!みたいな同調空気についていくのに必死でした。
    部活に入っていた私は、ある程度免除されてましたが。

    今思えばそんな風に思わず、普通に楽しめば良かったのになあ、と。
    本書を読めば少しだけ追体験のように、自分の気持ちも広がるかなあと思い、読み進めました。

    きっと翌日からは、また日常が続いていくけれど、
    歩行祭の前とは決定的に違う。
    ああ、なんか素敵だなあと思いました。
    景色を見ながら、友達とただただ歩く。
    今なら言えなかったことも言えるかもしれない。
    そんな空気。

    個人的には「蜜蜂と遠雷」の方が合っていたかも。
    でも、夏の夜の読書には最適の一冊でした!

  • なんだかミーハーな感じがして食わず嫌いしていた作品。作者の出身大学に入学したのでついに手を伸ばしてみました。すごく好きでした。なんか自分まで夜のピクニックしてるみたいで。

  • 自分には遠い昔の青春小説かぁ、なんて読み進めると、いやいや感動して泣きそうになりました。
    二人とも話しができて良かったね。
    ここまで高3で考えるか?ということもあったけど、友達同士のやり取りも爽やかで、なんか気恥ずかしい感じも素敵だった。
    娘に薦めたい一冊!

    • まいけるさん
      私も読みました。私、この高校出身なのです。実際に夜のピクニックに参加したので思い出深くて・・・。夜通し歩いた後の自由歩行という名のマラソン大...
      私も読みました。私、この高校出身なのです。実際に夜のピクニックに参加したので思い出深くて・・・。夜通し歩いた後の自由歩行という名のマラソン大会、きつかったです。笑
      2021/09/25
全3994件中 21 - 40件を表示

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

恩田陸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×