風の海 迷宮の岸 十二国記 2 (新潮文庫)

著者 :
制作 : 山田 章博 
  • 新潮社
4.41
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  • (7)
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本棚登録 : 3709
レビュー : 320
  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240541

感想・レビュー・書評

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  • 十二国記シリーズを、この期、初めて読んで、しかもアニメも全く観たことない自分です。epi.1(『月の影 影の海』)、 epi.0(『魔性の子』)、そしてこのepi.2の順に読んだ者だけが味わえるドキドキ感と、そしてラストの意外感を、私めは味わさせていただき、大変嬉しく思っています。

    よって、この巻の大きなネタバレは書かない。でも、文末に主に0、1を通して分かった事を年表にした。ので、それを嫌う方はこれ以降読まないように。

    epi.0において「ホラー」だった世界は、epi.2においては、「天上の理」の世界に書き換えられる。この表裏をひっくり返す驚きは、0、2と読んで行くのが面白いので、この読み方を私は推薦します。こういうのは読書の喜びですね。一方1は「天下の理」の世界でした。

    このシリーズを、私は「歴史書」として読んで行こうと思っている。よってキャラで読む読み方はしない。「泰麒が可愛い、愛しい」とも思わない。泰麒は麒麟として想定内の成長を遂げた。気になるのは、天上の世界の「不気味さ」である。出てくる人物は、みんな普通の人間だ。不老不死になろうとも、人間として理解出来ないわけではない。しかし、黄海の周りに聳える天上世界は、どうも冷たい。謎がある。例えば、何故突然泰麒は「胎果のまま流されなくてはならなかったのか」そのことの説明も、シリーズラストまで引っ張るつもりかもしれない。

    だから私は、世のシリーズファンとは違う向き合い方をするだろうと思う。ただ、傲濫の件はちょっと血がたぎりました。泰麒の絶望感は私も感じていて、景麒の回りくどい説明にはすっかりやられました。また、ラストはてっきりあの場面に結び付くのだと思っていたので中途半端に終わったのは意外(ごめん、未読の人には何が何やらわからないと思います)。

    epi.0の「白汕子、傲濫」等の幾つかの伏線回収が行われました。そういう楽しみはある。

    年表は、仮に高里こと泰麒が、蓬莱山より胎果のまま日本に流された年をX元年として数えました。数え方が間違って1年ぐらいの誤差はあるかもしれないし、月もあまり自信がない。しかし、作ってみて気がついたことがあります。
    (1)X15年-18年あたりが日本の90年代にあたることは、間違い無いと思う。携帯の描写が存在しないからである。その他、マスコミ、テレビ等々の描写はある。
    (2)0において高里が呟いた言葉のうち、「角端、孔子、ムルゲン、ロライマ、ギアナ」の言葉の意味が未だ不明だ。「角端」は0でも言っていた「私の麒麟の角がない」ということに対応しているのかもしれない。「孔子」は、高里が日本で論語を読んでいたはずがない。0において何故レン麟がこんなにもが泰麒を助けようとするのかも不明だ。よって回収されていない伏線はまだ多い。果たして回収されるのか、もわからない。注目したい。
    (3)著者は90年代のうちにシリーズを終わらせようとした節がある。それは今年の新作がブック紹介を見ると未だX18年あたりらしいということでそう思うのである。少なくとも新作発表が、2019年まで持ち越したのは想定外だった可能性が出てきた。

    X元年  泰麒 胎果として日本に流される
    X8年  景麒 景国に降りる
    X9年末 景麒 商家の娘である景王を見つける
    X10年  泰麒 2月蓬山に戻る
    X11年 泰麒 4月日本に戻る
    X14年  5月景国王亡くなる。
    X15年(1992年?)1月陽子日本より来たる
         8月陽子景国王となる
    X18年  泰麒 9月戴国に戻る

    • kuma0504さん
      「蓬莱山より、胎果のまま」→「蓬山より、胎果のまま」重要な語句なので訂正します。すみませんでした。
      「蓬莱山より、胎果のまま」→「蓬山より、胎果のまま」重要な語句なので訂正します。すみませんでした。
      2019/11/30
    • kuma0504さん
      文庫の最新作の紹介文を見ると「6年ぶりに戴国に麒麟が戻る」とあった。だとすると、「戴麒 9月戴国に戻る」はX17年という事になる。次回より訂...
      文庫の最新作の紹介文を見ると「6年ぶりに戴国に麒麟が戻る」とあった。だとすると、「戴麒 9月戴国に戻る」はX17年という事になる。次回より訂正します。でも、でも高里は1年留年したから高校2年でも18歳じゃないかしら?まぁこちらに従います!
      2019/12/03
  • 蝕が起きたことで蓬莱へと流され、人の子として育った泰麒。彼が十年の時を経て蓬山へと戻ってきました。

    泰麒が意外にもすんなりと自分の本来在るべき場所を認められたことは、まだ幼い子どもだったからということもあるのでしょうけど、それ程今まで生きてきた場所が彼にとって不安定な心持ちになる、自分がいるところじゃないと感じるところだったからなのだと思います。
    (ぼくはうちの子じゃなかったんだ)
    そう気づいた泰麒、なんて不憫で痛ましい男の子なのでしょう。
    蓬山で、蓉可をはじめとした沢山の女仙と女怪の汕子の優しさに包まれて、泰麒はやっと愛されることの安心感を知ることが出来たんだと思います。
    泰麒の優しさや純真さは、裏を返せば自信のなさや臆病さとなるのかもしれません。それでも、愛され育てられた子どもは、いつかは自らの足で立って自立していくもの、大切な人を守ることが出来た泰麒を見てそう思いました。
    やがて泰麒は王を選びますが、その決断は彼自身を苦しめてしまいます。けれどその恐ろしい告白(後に解決します)を知ってしまった王となる驍宗の懐の深さ、そして延麒、景麒の兄のような愛情に包まれ、泰麒にも自分がいてもいい場所に気づくことが出来たと思います。
    可愛い泰麒、見守っていきたいですね。

    それにしても、延王は悪玉役を楽しんだろうなぁ。
    そして景麒。彼の微かな笑みは景王もクラリとくるわねぇ。

  • 十二国記内で王を選ぶ役割を持つ麒麟。しかし事故のため10年間消息の知れなかった幼い麒麟に王を選ぶという大役ができるのか?麒麟の苦悩と成長を描いた作品。

    『魔性の子』の空白期間とも重なるエピソード。シリーズ前作『月の影 影の海』ほど壮絶なストーリーではないものの、幼い麒麟である泰麒が周りの期待に応えたいながらも、どうにもならない様子は読んでいるこちらも応援したくなる愛らしさ。

    登場人物たちも魅力的。前作にも登場した景麒が今回も登場していて、前作では彼の内面については深く伺うことができなかったので今作で満足!泰麒の世話をする女仙たちや友達となる武将たちもいい人たちで、だからこそ余計に泰麒の「周りの期待に応えなければ」と苦悩している様子がこちらに伝わってくるのかな、と思います。

    だからこそ彼の成長はうれしく、また終盤に味わう彼の辛さも読んでる側にじかに伝わってきました。

    詳しくは覚えてないのですが、この後またいろいろあって『魔性の子』につながっていったんだよなあ…そのあたりの流れを書いた話の完全版が出るのが今から待ち遠しいです。

  • 十二国記・第二弾、陽子と同じ還り人ですが、今度は男の子?が主役になります。

    エピソード0・『魔性の子』の狭間を埋める物語の一つでしょうか、
    高里が"神隠し"にあっていたとされる時期の前半部になるのかな。

    で、この物語を経て、シリーズ通しての麒麟に対する設定が、
    なんとな~く見えてきたようにも思えました、、ふむ。

    日本では漠然としたままに浮いた存在であった高里ですが、
    ある時、隙間の"手"に誘われて、蓬山に還ってくることになります。

    そんな高里の本性は"人間"ではなく"麒麟"、
    そう、王を選び国造りの象徴となる役割を担う、麒麟です。

    であってもどこか浮いた存在であるのは、変わらずに。
    還り人であるが故に普通の麒麟とは違っている点も、それを手伝っているのでしょうか。

    それが故にか、終盤の王を選ぶくだりはここでも、心地よいカタルシスでした。

    "離れたくない"、その思いを具現化するに全ての壁を取り払って、
    王と麒麟のつながりはそこまで純粋になれるのかと。

    個人的には陽子と同年代であるかどうかも、気になるところ。
    時系列的には、陽子が帰ってきた時よりも前のハズですが、、さて。

    なお、再び還ってからの物語は未だ語られずに、新作に期待中だったりします。

  • 生まれる前に蝕によって蓬莱に流され、人として生まれ育ってしまった戴国の麒麟・泰麒が、十二国に連れ戻されて王を選ぶ物語。
    WH版のレビューにも書きましたが、麒麟・泰麒は蓬莱育ちで十二国のことが全くわからない、という設定なので、彼の悩んだり迷ったりする様子に読んでいるほうも一緒にハラハラしてしまう。
    こうやって巧妙に読者を引き込む書き方は本当に流石だな、と思います。
    饕餮に襲われる場面と、驍宗を必死に追い掛けて行く場面は、何度読んでもハラハラドキドキしてしまいます。
    終盤の、悪玉に浸る延王様も好きです。笑

    十二国の中で一番幸せになって欲しいのが、戴国の主従コンビだなぁ。

  • 2020年2月16日(日)11:30- 高松市郊外(高松中央IC下車7分)にて、#十二国記 「風の海 迷宮の岸 」にて読書会を開催します。

    昨年も2月の祝日「建国記念の日」にあわせて一作目の「月の影 影の海」で開催しました。令和2年、弘始元年!


    【読書会フレンドパーク】http://dkfp.org/wordpress/

  • 再読。ここの記録読み返すと、わたしはこれを最初に読んだっぽい……?先に読めばシリーズの中では穏やかな話だけど、最新刊の泰麒の思いの強さや行動、遡って『魔性の子』の高里を思うとひたすらに胸が痛いな……胸が痛いけど重なり合って物語としての厚みを増していく。この巻を読んだら完全にわたしは汕子たちの気持ちになってしまって、泰麒を救うためなら『魔性の子』で起きたようなことも仕方ないのでは?と思えてきてしまうもんな。麒麟としての孤独や重圧、王への想いなんかも、この本からどんどん積み重なっていって繋がっていくんだな……。毎巻すごい、としか思えてないな。まだ読み直す冊数が多くて嬉しい。

    (201507)貸してくれてるお姉さまのお勧めで、『魔性の子』よりこちらを先に読みました。物語の運び方がやっぱりさすがだなー。転変できないとか、そういう漠然とした不安はあるものの、幸せな状態で穏やかに進んでいく序盤があるからこそ、優しく愛されてきた泰麒が罪悪感を抱く終盤とのコントラストが際立っていて良かった。あとはやっぱり敬語の使い方がすてき。

  • 泰麒〜!!か〜〜〜〜わいいよ〜〜泰麒〜〜!!!何この愛おしさ!!健気さ!!私の脳内でのナンバーワンシーンは景麒の背中に乗せてもらって帰ってきて大興奮して寝れなくなってるところ〜!!!私も女仙になる…あんな可愛くて素直な子を一日中お世話したい……尊い……

    真面目に感想を述べると、魔性の子から手を出し始めて順番に読み進めているんだけど、白汕子とゴウラン(変換無理)が蓬莱に迎えに来ちゃっていたのね、そりゃあんな事態も起きるわ…と納得した。でもあんなに人の血を流したのはやっぱり納得できないけど。蓬莱の常識ではね。
    麒麟という生き物の性質、生きにくさと美しさを泰麒が身をもって教えてくれていて、ずっと彼を応援したくなる巻でした。
    でもこの後泰王も泰麒も行方不明になるんでしょ?そして魔性の子に繋がるんでしょ?何が起きるんだろう…次を進むのが本当に楽しみです。

    • 地球っこさん
      おむすびさん、はじめまして♪
      フォローありがとうございます。
      泰麒、可愛いですよね!愛おしいですよね!お世話してあげたいですよね!
      そ...
      おむすびさん、はじめまして♪
      フォローありがとうございます。
      泰麒、可愛いですよね!愛おしいですよね!お世話してあげたいですよね!
      そのお気持ち、とってもわかります(*^^*)
      あのちっちゃかった泰麒が、六年後蓬莱から還ってきて、今とても大変な状況ですよね。心が痛い……
      来月の3,4巻、待ち遠しいです。なのに、早く読みたいような読みたくないような……もう、どうなっちゃうんでしょうね。
      2019/10/26
    • おむすびさん
      地球っこさんへ
      返信方法間違っていたらすみません。
      こちらこそフォローありがとうございます!
      この間2回目読んだんですが、先を知っていると余...
      地球っこさんへ
      返信方法間違っていたらすみません。
      こちらこそフォローありがとうございます!
      この間2回目読んだんですが、先を知っていると余計に愛おしくてたまりませんでした…泰麒、本当に良い子!ですね!!
      十二国記は今年に入ってから読み始めたんですが、戴国の行く末を18年も案じていた昔からのファンの方々の心中を思うとなんとも言えません
      2019/10/26
    • 地球っこさん
      おむすびさん、お返事ありがとうございます(*^^*)
      私も「十二国記」この1,2年の間に読みはじめた新参者です。昔からのファンの方々にとっ...
      おむすびさん、お返事ありがとうございます(*^^*)
      私も「十二国記」この1,2年の間に読みはじめた新参者です。昔からのファンの方々にとって、新作はどれほど待ち遠しかったことでしょうね。
      来月の3,4巻、おむすびさんのレビュー楽しみにしてます♪
      どうか、泰麒の笑顔を見られますように!
      2019/10/26
  • この話が「魔性の子」に続いていくなんて・・・・と思うと、切ないです・・・。

  •  可愛い子供を只管愛でるお話。
     ではないのだけど、そういう印象(笑)。
     本当にもう泰麒が健気でいじらしくて。そして汕子も。
     女怪のような、何者かを慈しみ護る為だけに生まれた存在というのは理解の範疇外なのだけど、それでも自分にも大切な人や物がないわけではないので、卵果が蝕にのまれた時の汕子の嘆きには胸が苦しくなる。

     とても晴れやかで幸せなラストなのに、このすぐ後にはまた大変な事になるのを知っているから、この本自体はハッピーエンドなのに、読後感がとても哀しい。
     この本と『魔性の子』の間に、一体何が起きてしまったんだろう。
     そして『魔性の子』の後は、どんな展開が待っているんだろう。

     ところで、私の周囲の『十二国記』ファンの間では驍宗が一番人気なのだけど、私は彼が苦手……。とてつもなく格好良いし、凄い人物だと思うし、こういう人物を「王の器」と呼ぶのだろうなとは思うのだけど、どうしても怖くて。とても怖い。
     自分に自信がないから、驍宗のような、非の打ちどころのない(ように見える)、自信に満ち溢れた人物に気後れするのか。
     勿論そんな事は全くないのだろうし、私の被害妄想なのだけど、彼のような人物は、愚かな人間を赦してくれない気がする。
     李斎が、尊敬も出来るし、親しみも持てるし、好きなキャラクターなのだけど、彼女くらいのスケールまでが、私の許容出来る大きさなのかも知れない。
     スケールの大きさで言えば、勿論尚隆もそうなのだけど、彼は「駄目な(駄目に見える)部分」を前面に押し出してくれているので、そこが取っ付きやすい(それも、凡人の勘違いという気もするけれど)。
     驍宗は完璧で、素晴らし過ぎて、得体が知れない。
     それともこういう気持ちを、泰麒が感じたような「畏怖」と呼ぶんだろうか。

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著者プロフィール

小野 不由美(おの ふゆみ)
1960年生まれ、大分県中津市出身の小説家。大谷大学在学中に京都大学推理小説研究会に所属。夫は推理作家の綾辻行人。
1988年、『バースデイ・イブは眠れない』でデビュー。2013年5月、『残穢』で第26回山本周五郎賞を受賞。代表作にテレビアニメ化された『悪霊シリーズ』、『十二国記シリーズ』、『屍鬼』など。

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