丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.99
  • (908)
  • (1093)
  • (688)
  • (95)
  • (15)
本棚登録 : 9726
感想 : 945
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240589

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み

  • 丕緒の鳥
    序盤は初めて出たキャラクターなこともあって、展開が読めなくて、読みにくかった。
    でも、最後の陽子の式典では綺麗な陶鵲ができて良かった。せつなくて綺麗そうだから実際に見てみたい。陽子には丕緒と蕭蘭が伝えたかったことが伝わったようで良かった。
    蕭蘭が予王によって殺された可能性が高いのはほんと悲しい。

    落照の獄
    日本には死刑があるけど、本当に死刑ってするべきものなのか考えさせられる話だった。
    死にたくて死刑になりたくて凶行に及ぶ人もいる。だからといって、死刑ではなく終身刑にしても税金でその犯罪者を養う必要がある。
    本当に難しい。

    青条の蘭
    過去と現在と時系列が交差した構成になっている。
    最後の多くを語らない書き方が幻想的で良かった。ずっとどこの国の話なんだろうと考えながら読んでた。
    標仲の想いが伝わって、青条の蘭を民が代わる代わる運ぶ様に涙が出た。報われて良かった。

  • 最新作へ向けてひたひたと読んでいる。シリーズにおいて5番目に位置する本書は、これまでの怒涛に展開する長編とは異なる短編集。陽子が即位した景国を言ってしまえば地味に、しかし震える描写でもって描いた『丕緒の鳥』。『落照の獄』ではひたすら暗鬱とした気分に沈み、しかしもう少し信じてみようと顔をあげられたのが『青条の蘭』。運命とはなんぞやと慟哭しても足りぬ悲しみがあった『風信』は、けれど春近しの小さな暖かさを灯す。名もなき男たちの在りように、勝手に希望や失望を感じた。次は『華胥の幽夢』。それを読めば、さあ辿りつく。

  • 長編は、完璧なハッピーエンドではなく、「すべてがうまく行くことはない。でも、頑張れば何か変えられる」ことを感じさせてくれるけど、短編は長編よりも少し「うまくいかない」感が強く、その分、描かれる光がより際立ってる気がする。
    「青条の蘭」の、思いを繋ぐ最後の畳み掛けが心を揺さぶる。

  • yomyomに掲載されていた短編二編+描き下ろし短編二編。いわば「主役」の王たち 、麒麟たちの怒涛の物語、ではなく、王と普段触れ合うことのない役人や庶民たちの切実でぎりぎりとした短編でした。王がいない時代って怖い……。

  • 「丕緒の鳥」 小野不由美


    「希望」を信じて、男は覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか―表題作ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。
    (作品紹介より引用)

    小野不由美さんの十二国記シリーズはヤバいです!
    超面白い。
    超・超面白い。
    その作り込まれた世界観に圧倒されるし、メインキャラクターも個性的だし、セリフも奥深いし、読んでいて最高に気持ちいい瞬間がある。
    本当に面白くて、小説なんだけど「漫画か?」と己にツッコミをいれたくなるほど何回も読み返してます。

    一応シリーズもので、これまで外伝短編あわせると8作品が出てます。まだお話は完結してません。
    で、完結してないんだけど全然続きが出てこなくてようやく出たのがこの「丕緒の鳥」。
    なんと、12年ぶりよ!
    しかも12年ぶりなのに本筋じゃなく短編(笑)
    ヒドイ(ToT)
    まぁ「新作長編もこれから出ます」という情報が出ただけいいですけどね。
    戴国がどうなるのか、慶国は?
    気になります。

    まだ読んだことのない方のために解説すると、
    十二国記シリーズはファンタジーものです。その名のとおり、十二の国がある中国っぽい雰囲気の世界が舞台です。
    十二国すべてがお話で出てくるわけではなくて、メインは慶国、雁国、戴国、恭国あたりでしょうか。
    (作品ごとに舞台となる国や主役、年代はかわります。でも基本の登場人物は各作品に共通してでてきます。)
    この世界では、基本的に王政で麒麟とよばれる特別な生き物(人?)が国ごとに存在しています。
    この麒麟が王様を選びます。
    麒麟は基本的には不老不死で、王も麒麟に選ばれた時点で不老不死になり、国に使える人たちも不老不死です。(ざっくり刃物で切られれば死にます)
    色んな国の王様や麒麟や政治や民の話です。

    シリーズ第一作目では、蓬莱(限りなく私らの日常に近い近代的な世界)の中嶋陽子というひかえめ女子高生が、突然現れた金髪の男(これが麒麟)に王に選ばれ、無理矢理十二国の世界に連れてこられ、でも途中ではぐれちゃって、知らない人に騙されたりよくわからない化け物に殺されそうになったり散々な目に遭いながら元の世界に戻ろうと足掻く、というストーリーです。

    で、この短編はその世界に生きるどっちかというと普通の人たちの話です。陽子はほんのちょっとしかでてきません。

    完全ファンタジーな世界なんですけど、世界観が重厚でそこに生きる人々は我らとなんら違わないわけでして、ファンタジーなんだけど現実とリンクして色々考えてしまいます。

    この本のなかで特にインパクトがあったのは「落照の獄」という作品。
    法治国家として長く平和だったけどなんだか最近不穏な空気になってきた柳国で、大量殺人犯を死刑にするかどうか裁判官たちが悩む。
    という話です。
    不穏な現実世界と重なりますよね。
    実は最近、殺人して無期懲役中な人の書評ブログを読んでたりするので、それも重なって「死刑」についても考えたりしちゃいました。
    (この人については色々興味深いのでおいおい本を読んで感想文書きます。)

    これ、元々ライトノベル扱いだったらしいんですが、全然ライトじゃないです(笑)
    こんな武骨なのがライトノベルなら世の中の本なんてライトノベルだらけです。
    っていうか前から疑問なんだけどライトノベルってなんなのさ(笑)
    私に言わせりゃノベルにライトもヘビーもねぇ!

    作者の小野不由美は、館シリーズで有名な綾辻行人の嫁さんです。
    すごいよね、夫婦で売れっ子小説家。
    このシリーズは昔NHKでアニメもやってました。ちゃんと見てなかったから見てみたいなぁ。

  • 待ち焦がれている十二国記の続きじゃないからと数年積ん読しつづけてようやく手に取ったけど、もっと早くに読んでおけばよかった。タイトルにもなっている丕緒の鳥の話の作り込みが特に素晴らしく、砕け散る陶鵲の澄んだ音が聞こえてくるかのよう。

  • 待ちに待った十二国記!
    誰もがそう思うシリーズ。
    私はこのシリーズを,勝手に「人生のバイブル」と称している。

    十二国記シリーズにしては,本作は珍しい視点で,短編四編すべてが「雲の下の人々」の話。しかも,一話目から四話目にかけて,だんだん雲海の上からかけ離れた人物が主人公となっていく。

  • 今回は短編集。ちょっと暗い内容だったけど、その世界にすぐ入り込めた。
    どの話も、ラストの余韻がよかった。

  • 「希望」を信じて、男は覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか―表題作ほか、己の役割を全うすべく煩悶し、一途に走る名も無き男たちの清廉なる生き様を描く全4編収録。
    「Bookデータベース」より

    最後の解説にもある通り,ファンタジーでありながら,リアルな描写からファンタジーでないような感覚で読める4つの短編集.
    どうしようもない現実に立ち向かう4編の中の主人公たちには「清廉」ということばがしっくりとくる.厳しい現実に向き合いながら,そこから前向きになれる要素を見つけることができることが救い.

  • 十二国記シリーズ
    スピンオフ、短編4作

    王が斃れ、あるいは道を失った国の荒廃、官民の苦悩などが描かれている。

    夜明け前がいちばん暗いよね。うん
    どの国も平穏が来るといいな

    でもね、やっぱり本編が読みたいのです
    王と麒麟の話。 早くーーー!!

全945件中 111 - 120件を表示

著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小野不由美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×