- Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101250250
作品紹介・あらすじ
入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決…。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれ成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感溢れる長編小説。
感想・レビュー・書評
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大学に入ったばかりの斜めな性格の主人公の北村を中心に5人で限りなく青い青春を歩む。個性的な人物と独特な雰囲気、ほかの青春小説とは一味違う。
ある日、鳥井がほかの4人をマージャンに誘い、ここから絆を育んでいく。それからいくつかの事件を通してさらに絆を深めていく。最後の「人間にとって最大の贅沢とは人間関係における贅沢」という言葉はとても身に染みて、素晴らしい読後感を感じさせてくれた。北村の言う通り五人の絆が永遠に続いて欲しい。
5人組という絶妙なバランスと個性的な人物、伊坂さんにしか書けないと思う。オアシスという青春はあっという間で、これから5人は砂漠という社会に入っていく。社会人になっても5人を見守りたい。若いうちに絶対に読んだ方がいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
春夏秋冬ときて、そしていつの間にか卒業の春。
学生時代というのはあっと言う間。
よくいる大学生のよくある学生生活に、犯罪や悪ふざけという思わぬストーリー展開、そして恋愛、挫折も絡めた五人の満ち足りた日々。大きなヤマがあったわけでなく、淡々と過ぎる時間の愛おしさにじわじわくる。その後巣立つ社会は荒れ果てた砂漠のようでもあり、学生時代は厳しさに放出されるまでのオアシスなのかもしれない。(自分は)それに気づいたのは後になってのことなのですが。
しかし、この五人が様々な出来事で体験したことで得た結束力や、奇跡を素直に信じる気持ちがあるなら、この先もオアシスは現れるに違いないと思えた。そんな前向きな原動力が湧くような一冊だった。
熱血な西嶋君とは対照的な、ちょっと冷めた目で世間を見る北村君の語りが良かった。ちょっとこっぱずかしいが、青春小説という雰囲気が出ていると思う。
莞爾君の言葉が目にとまった。「本当はおまえたちみたいなのと、仲間でいたかったんだよなあ。」
それは、こういう青春いいなぁ、と遠い目をして思った読み手の自分でもあった。
解説を読んでどれだけ救われたことか。無駄な(無意味な)時間を過ごすこと。そうやって無意味な時間を積み重ねていくことで、ゆっくり見えてくること、分かってくることが必ずある。焦らずに、その時を待てばいい。若い頃(出来れば学生の頃)読んでいれば、尚良かったのでしょうが、その頃は刊行されてなかったわけで。
卒業ソングが聞こえてくるこの時期読めて良かった。 -
あぁ面白かった〜!初めての伊坂幸太郎さん。
読友さんのブックリストで「登場人物がとても魅力的でオススメ」されていたので読んでみました。
ありがとうございます!
かっちりしたクラスに囲われた中学高校までとは違う、でもまだ社会には出ていない大学生の不安定さ…そんな心持ちを思い出しました。 -
青臭いセリフが心に残る
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最後の1行に思わずふきだしてしまいました。
hetarebooksさんは、そんなお茶目なところもまた魅力ですね(*'-')フフ♪
私も麻雀...最後の1行に思わずふきだしてしまいました。
hetarebooksさんは、そんなお茶目なところもまた魅力ですね(*'-')フフ♪
私も麻雀は一度もやったことがないのですが、
小説や映画で、大学生たちが麻雀しながらダラダラおしゃべりしていたり
ちょっと崩れた雰囲気の男性が気怠そうに雀荘で煙草をふかしていたりするのが
なんだか素敵に見えるのはなぜなんでしょうね(笑)
2012/10/23 -
まろんさん♪
伊坂節炸裂のお話だったので、つい伊坂氏モードで書いてしまいました(*'-')♪
そうそう、なんだか素敵で憧れてしまったりし...まろんさん♪
伊坂節炸裂のお話だったので、つい伊坂氏モードで書いてしまいました(*'-')♪
そうそう、なんだか素敵で憧れてしまったりしますよね。麻雀、ビリヤード、ダーツ、チェス。このあたりは憧れのテッパンです♪
麻雀といえば私の友人は寮生活でその魔力により単位を落としまくり、8年生になった子がいます(笑)君子、麻雀に近寄らず…(・・;)2012/10/26
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大学生の主人公と愉快な仲間たちの物語。合コンしたり、恋したり、麻雀したり。時には事件巻き込まれたり。登場人物の個性が光る、日常の中に起こる非日常を描いた青春物語。
主人公が僕と同じく、法学部で鳥瞰型の人間だからとても共感できた。主人公が彼女を作るまでは。だから、僕も死ぬ気で彼女を作る。
『なんてことはまるでない。』 -
2021(R3)1.16-1.26
年末年始は、管理職登用二次試験などという、受けたくもない試験を受けさせられ、その受験勉強のために読書を絶っていたのだが、それが終わってようやく本にありつけて手に取った一冊。
大学生5人の群像小説。有川浩の『キケン』を思い出した。
“大学はオアシスで社会は砂漠”的な表現が帯にあった。確かにそうだった。
権利はあるが義務はなく、時間は有り余るほどある大学4年間。バカみたいなことに真剣になれる4年間。
(長文)
僕は3人組のバンドを組んだ。
毎週金曜日の21時過ぎ。ギターとラジカセとキーボードを車に積んで学校へ。
オリジナル曲を作ったり、コピー曲を練習したり、夜食をとったり。それに飽きたらドライブ。朝7時頃帰宅し、小学生の登校の声を聞きながら眠りにつく。
学内でもそこそこ名が知れるようになり、学祭のオープニングアクトを務めたり、市内の他の大学の学祭ライブに呼ばれたり。
学生生活残り半年というところで、市内のライブハウスで毎週歌わせてもらえるようになり、ギャラももらった。
卒業有料ライブ、卒業式の学科別謝恩会ミニライブで僕たちは活動を終えた。ミニライブ後、バンドの2人の仲間が舞台袖で泣いていた。これで終わりなんだという寂しさだったと思う。このバンドを作った僕は泣けなかった。なぜなら、次なる場(就職)」が砂漠に見えなかったからだ。
しかし現実は、「砂漠」どころか「地獄」に近かった。大学はオアシスであることは分かっていたけど、砂漠に出て、そのオアシスがどれほど自分を潤してくれたかを痛感した。と同時に大学生活に踏ん切りをつけたつもりが、逆に未練タラタラな自分に気付いた。
苦しんだ20代からもう20年もたった。
立場も変わり、若手から中堅を統括的に指導する立場になった。業務量はさらに増え、ギターを楽しむほどの時間はなかなか取れないけど、読書と同じくらいかそれ以上に、音楽は手放せない。そして時折り、YouTubeにアップしているバンドの歌を聴き、仕事また頑張ろ!どこかでギター弾こ!と気持ちを前向きにしている。
著者プロフィール
伊坂幸太郎の作品





