砂漠 (新潮文庫)

著者 : 伊坂幸太郎
  • 新潮社 (2010年6月29日発売)
4.01
  • (2007)
  • (2250)
  • (1330)
  • (256)
  • (42)
  • 本棚登録 :17714
  • レビュー :1671
  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101250250

作品紹介・あらすじ

入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決…。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれ成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感溢れる長編小説。

砂漠 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 愛想なしの美女東堂。平和(ピンフ)にこだわる西嶋。鳥瞰型の北村。スプーンを曲げてしまえる南。やませみのような鳥井。

    どこにでもいるようでどこにでもいない大学生たちの春夏秋冬。
    麻雀はちっとも知らないんだけどやってみたくなります。
    大学生活×麻雀ってなんかいい。
    鳥井君もなんだかんだいい。

    なにより西嶋が憎めないわけですよ。こういう、ある意味「空気を読まない」タイプが愛されて居場所を確立しているところがすごく好き。

    私も西嶋のように臆することなく、正しいと思ったことを主張し行動できるようになりたい。そのためにも大学生活をもう一度やり直す決意をした。

    なんてことは、まるでない。

    • まろんさん
      最後の1行に思わずふきだしてしまいました。
      hetarebooksさんは、そんなお茶目なところもまた魅力ですね(*'-')フフ♪

      私も麻雀は一度もやったことがないのですが、
      小説や映画で、大学生たちが麻雀しながらダラダラおしゃべりしていたり
      ちょっと崩れた雰囲気の男性が気怠そうに雀荘で煙草をふかしていたりするのが
      なんだか素敵に見えるのはなぜなんでしょうね(笑)
      2012/10/23
    • hetarebooksさん
      まろんさん♪

      伊坂節炸裂のお話だったので、つい伊坂氏モードで書いてしまいました(*'-')♪

      そうそう、なんだか素敵で憧れてしまったりしますよね。麻雀、ビリヤード、ダーツ、チェス。このあたりは憧れのテッパンです♪

      麻雀といえば私の友人は寮生活でその魔力により単位を落としまくり、8年生になった子がいます(笑)君子、麻雀に近寄らず…(・・;)
      2012/10/26
  •  伊坂幸太郎が、大学生の生活を書くとこうなるのか。よくもまあ、こんなに同じ作風で、違ったテーマで作品を生み出せるもんだなあ。


     北村、東堂、西島、南。麻雀パイの字を持つという理由で鳥居によって集められる四人。
     
     ああ。そうだ。必要なのだ。準備が。

     この世を効率よく生きていくためには、準備が必要なのだ。
     そして、青春には、仲間が必要なのだ。

     仲間がいたから、ホスト礼一とのボーリング対決でも勝てたし、鳥居は再び「ぎゃはは」と笑えたし、超能力のイカサマも見抜けた。南もセドリックを浮かせ・・・いや、飛ばせた。
     仲間が欲しい。

  • 大学で知り合った男女5人の青春小説。
    とにかく様々な点ですごくバランスが取れている作品だと思った。

    4年間で起こる出来事は日常というよりやや非現実色が濃いし、登場人物のキャラクターもいそうで中々いないタイプが揃っていた気がする。
    だけど興ざめするような突拍子さはなく、すべてが程よく現実に寄り添っていて難なく読ませてしまう。
    育まれる友情も芽生えてく恋愛も描かれ方がわざとらしくなく、腹八分目でとどまっているのも良かった。

    そして個人的な感想としては卒業式で莞爾が言った、「本当はおまえたちみたいなのと、仲間でいたかったんだよな」の一言に尽きる気がします。

  • 別の本を読んでる途中だったんだけど、些細なきっかけから久しぶりに読み始めたら止まらず、最後まで一気に読んでしまいました。

    社会を砂漠に例えて、「砂漠を語るにはまずオアシスを語る必要がある」っていうサンテクジュペリの引用から、人生のオアシスである大学生活が描かれます。

    これは西嶋のために書かれた本で、僕らが西嶋に出会うための本だと思いました。

    こんな人が本当にいて欲しいなって思わされる伊坂幸太郎のキャラクターはやっぱり素晴らしいし、広大な砂漠を前にして「もっとこうだったらいいのに」って僕たちが思ったり、実際に行動したりするのはとても大事なことで、そうさせることが、芸術のいくつかある役割の内の大切なひとつだと思うんだけど、伊坂幸太郎はちゃんと作品に還元してて偉いなと思いました。

    「俺たちがその気になればね、砂漠に雪を降らせることだって、余裕でできるんですよ。」

  • 来年大学生になる予定です。すでに楽しみで仕方がないんですけど、同時にあと遊べるのが4年ないし6年かと思うと何か寂しいです。これが終わればあとは40年間働くだけ。普通に考えて一つの場所でずっと働くって凄いことですよね。大人って凄い。みんな凄い。大学では勉強だけでなく、いっぱいいろんなことを五感フル回転で感じて心動かしていきたいです。自分で進路決めて毎日に不安感じながら受験勉強出来てることもつくづく幸せに感じます。

  • 無駄な時間を過ごした。なんてことはまるでない。法学部の学生北村とその友人鳥井、西嶋、東堂、南の物語。砂漠と形容される社会に出て行かなくてはならないからこそ、学生時代というオアシスを仲間とともに無意味に過ごすことは素晴らしい。物語最後の卒業式での学長からの言葉、「学生時代を懐かしんでもいいが、逃げることは絶対するな」、「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢である」まさにその通りだと思った。できれば学生時代に本書と出会いたかったが、彼らのように無駄な学生時代を過ごした私にとって、①砂漠から逃げず②最大の贅沢を続けていく ことの重要性に改めて気づかさせられた。

  • 図書館で。『砂漠』タイトルに込められている意味がもう、、最高。みんな最高。みんな大好きだ。春、夏、秋、冬。そして、春。うっかり卒業シーズンに読んでしまって卒業式の校長の言葉にウルっ。西嶋くんも好きだけど、北村くんも、鳥井くんも、南ちゃん、東堂さん、全員ステキ過ぎだった。がむしゃらにひたむきにキラキラしていたな。がんばっていたな。応援したくなりました♪

  • 西嶋がとっても素敵……!
    西嶋みたいな心、少しでも持てたらいいな。

  • アヒルと鴨のコインロッカーに続いて
    伊坂作品2作目でした。
    大学時代の仲間との日々が綴られており
    読みやすい文章ですいすい読めます。
    南ちゃんの設定のようにあり得ない部分もありつつ
    でも「学生時代ってこんなだったな」と
    思える部分もありで,面白く読めました。
    前作の時もそうでしたが,影の部分も描かれているのに
    全体的には明るい雰囲気がします。
    好きな作家になりました。

  • 『砂漠』伊坂幸太郎  新潮文庫

    こちらでご紹介があって、とても読みたくなり、息子の「伊坂幸太郎単行本コレクション」?に無かったこれを文庫で入手して、先に読みました。
    結論。とても、とても良かったです。まだ伊坂作品6冊目と言う少なさですが、その中で、一番感情移入して読んだ作品の様な気がします。


    入学した大学で出会った5人の男女。同じ学部の同級生である彼らの繋がりは麻雀の面子を揃える、それも名前に東西南北が入っているメンバー+一人、と言う変わった始まり。
    その5人が、恋をしたり、友情を深めたり、事件に巻き込まれたり、と言う青春小説。
    彼らは4年間の様々な共通体験を通して、成長し、互いの絆を深めて行く。

    でも、良くある青春小説と違うのは、この仲間の一人、「西嶋」が体現して居る物が、読み手にグイグイ沁みてくる所だと思う。仲間内で、一際異彩を放つ西嶋。この空気が読めない、外見もキモヲタ風に書かれている彼。この西嶋の名言と迷言、突発的な行動に、仲間は呆れ、振り回されながら、彼の言う、「その気になればね、砂漠に雪を降らす事だって、余裕でできるんですよ。」と言う、根拠の無い自信に満ちた言葉の意味する所を、何となく理解して影響されて行く。

    「人間とは、自分とは関係のない不幸な出来事に、くよくよすることですよ」と西嶋は言う。
    くよくよして、諦めて、見ないふりをする人間が圧倒的に多い中で、西嶋は諦めない。自分の無力を誰より解っているのに。今出来る事を、グズグズ考えないで、本気でやる。自分のやり方で「砂漠に雪を降らそうとする」のである。出来るのに行動しない、如何にも小賢しい言い訳ばかり覚えて馬齢を重ねて来た自分を恥じ、傍観者でいる自分が情けなくなった。

    果てしなく堂々と自分の主観に基づいて「奇跡」を起こそうともがくのは、若さ故なのかも知れ無いが、西嶋と仲間達は、仲間の窮地を奇跡を待つのでは無く、奇跡を起こそうとして必死になる。実際、大きな奇跡ではないが、彼らは小さな奇跡をこの物語の中で起こしていると私は思う。

    この小説の中で「砂漠」とは、学生時代に終わりを告げ、踏み出して行く社会の事としても書かれているが、卒業に際しての最後の学長の言葉は、私の耳に痛かった。でも、もう一つの「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢の事である」には、深く頷いている自分がいた。

    ユーモアとシリアスな出来事に彩られたこの小説、個性的な5人全員好きだけれど、やっぱり西嶋は、「西嶋語録」を作りたくなるぐらい最高だ。そして、そんな彼に恋した笑わぬ美女東堂さん、実は彼を上回るぐらい凄い人かも知れない。

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