暗渠の宿 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101312811

感想・レビュー・書評

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  • 「汚れなき酒のへど」
    風俗嬢に金を騙しとられ、汚れなき酒を飲み、ゲロを吐く話し。抑えきれない欲望と高尚な気持ちに揺れ動き、寂しさと僅かな希望を残した結末。デビュー作。

    「暗渠の宿」
    数年ぶりに出来た彼女(秋恵)と同棲を始めるところからの物語。
    幸せな同棲生活に、はじめは上手くいっていたが、持ち前の暴力性と猜疑心で、喧嘩や失敗をくし返す日々。

    秋恵の常識的で人格者たる優しさと
    貫多の自分中心的な抑えられない暴力性が
    対比される事で、それぞれの詫びしさや寂しさが強調されて見えるようです。ていうか秋恵のファンになりそうです。

  • 「けがれなき酒のへど」を読む。
    筆者の個性が現れている文体で最後まで一気に読ませる。
    糞みたいな内容なのに最後は何か爽快な、タイトル通りのけがれなき印象が残るから凄い。

  • 虫唾が走る⁡
    ⁡⁡
    ⁡ってな事で、西村賢太の『暗渠の宿』⁡
    ⁡⁡
    ⁡けがれなき酒のへど⁡
    ⁡⁡
    ⁡暗渠の宿⁡
    ⁡⁡
    ⁡の二つの短編集。⁡
    ⁡⁡
    ⁡まあ、どちらも虫酸が走りまくりマクリスティ
    ⁡⁡
    ⁡圧倒的な西村節を炸裂させながら、何故?あんたはそう成るの❓はぁっ⁉️
    ⁡⁡
    ⁡って気持ちにさせるのに、何故だかちょっと面白くなってくる、この中毒性のクズは
    ⁡⁡
    ⁡もう、ほんとクズよ!⁡屑っ‼️⁡
    ⁡⁡
    ⁡こんなピュアなクズ初めて見るわって位の、どうしょうもないクズっ‼️⁡
    ⁡⁡
    ⁡私小説なんでここまで晒してもええんかってくらい、純粋過ぎるけどな
    ⁡⁡
    ⁡この本くれたじゅんこはわしに、こんな風にしてもらいたいんかな❓
    ⁡⁡
    じゅんこからの愛人文庫
    ⁡⁡
    ⁡苦役列車は読んだけど内容忘れたなぁ
    ⁡⁡⁡
    ⁡そう言えば去年亡くなってたなぁ

    ⁡⁡ちょっと西村賢太を掘っていこかな
    ⁡⁡
    ⁡2023年2冊目

  • 出会って40ページで90万騙し取られるスピード感

  • 図書館で。
    最近亡くなられたとのことで、どなたかなと思ったら苦役列車の方だったとは。

    文章に書かれていることがすべてではないとは思うけれどもあまりの自己中心的な性格にゲンナリ。こう言っては失礼だけれども、同棲した女性がいたこともびっくり。最初は優しくて下手に出ているけれども、付き合いだすと女性が自分を立てないと怒る、どなる、暴力をふるう、というのは典型的なDV思考なんだろうな。付き合う前はどんな女性でも自分を見てくれれば、付き合ってくれればそれだけで十分、と思っていたことは嘘では無いのだろうけれども、実際付き合いだすと色々と不平不満が出てきて女の方が自分に尽くすべきだと思う、という思考に変化する。当事者じゃないから面白い思考だなと思うけれども、コレ、実際かかわっている人間だとしたらたまったものじゃないだろうな。

    こういう思考の人はどうすれば暴力的思考から逃れられるんだろうなぁなんて思いながら読みました。もっとも、本人に自分の言動を反省して、それを改める決意が無いとどうにもならない事とは思いますが。

  • クズだなぁと思います。だけど、この文体が面白い。

  • 惚れ込んだ風俗嬢に100万円を持ち逃げされる「けがれなき酒のへど」、念願の恋人との同棲を始めるも徐々にその凶暴な本性が明らかになっていく「暗渠の宿」。どちらも北町貫多の思考回路が丹念に描写されている。側から見れば作ってもらったラーメンが伸びていただけで激昂しているように見えるが、その背景にはプライドと劣等感の荒波に揺られ続ける小舟のような自意識があるのだ。これぞ西村賢太。おもいっくそDVしてるんだけど時折秋恵に向けて優しい眼差しを投げかける。なんやかんやで憎めないのよ。

  • 激昂しやすいが根は小心者。破綻した性格を曝け出しながら読むに耐えない自分語りが続きます。豪快さと矮小さを行き来する主人公の機微に触れ、共感できた方は心が浄化されるかもしれません。硬質な文体は近代文学の雰囲気と無頼感。中身はどうしようもない自虐文学です。

  • 相変わらず西村賢太ばかり読んでいます。
    本作も、ご存知、北町貫多シリーズ。
    恋人欲しさにソープ嬢に入れ込む「けがれなき酒のへど」と、女と一緒に住む部屋を探す表題作「暗渠の宿」を収録しています。
    どちらも読みごたえがありました。
    特に、ソープ嬢に入れ込む「私」の何とも言えない滑稽さ、みじめさ。
    読み手は、どう考えても主人公にとって不幸な結末が待っていると分かっているから、読んでいて同情めいたものが沸きます。
    同情めいたものが沸くが、怖いもの見たさというのか、ページを繰る手が止まらなくなるのです。
    読み終えて、ほーら、言わんこっちゃない。
    しっかり大金を巻き上げられているではないか。
    所詮は「惚れたお前が悪いのさ」ということ。
    「暗渠の宿」は、これから長い年月、貫多と生活を共にする秋恵が登場。
    貫多と住まいを見つけ、一緒に住み始めることになります。
    貫多が秋恵と出会わなければ(つまり、西村賢太が秋恵のモデルとなる女と出会わなければ)、「秋恵もの」と呼ばれる、北町貫多シリーズでも中心を成す物語群は生まれませんでした。
    そう考えると、「暗渠の宿」は感慨深いものがあります。
    ええ、面白かったですとも。

  • 2022/6/18 読了

    氏の作品は、特異なように思えて、多くの人間に共通する、人間の核のようなものをえぐり出すところに特徴があるのだろう。私はそういう小説が大好きだ。

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著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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