未練―女刑事音道貴子 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425382

感想・レビュー・書評

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  • 刑事 音道貴子シリーズの短編集。どの作品もミステリーとしての面白さもさることながら、音道貴子の一女性としての日常、感情の機微、また犯罪の被疑者の心情内面等に重点が置かれた作品集だと感じた。
    登場人物たちの細かな感情の動きや彼らの行動を細部まで描き、単なるミステリー小説ではなく人間模様を描く作品集となっている。

  • シリーズ短編集。重たい話が多いが読みやすい。貴子さんの生活に根差した部分もあり、親しみがもてる。しかし事件ものはきちんと片づけて終わってほしかった・・・。古物商の事件、ラストに持ち越しかと思ったら、ラストでも煮え切らないまま。小学生による幼児殺害と虐待の話はきつかった。

  • 女刑事音道貴子シリーズの短編集。常に直球勝負、四角四面な性格の音道刑事。音道とその同僚、そして家族の人間模様を描いている。短編集なのでちょっとした空き時間に読めて、しかも面白い。

  • 音道貴子シリーズのファンだからか、やはり面白い。それぞれの登場人物の背景や、その後が気になる。

  • シリーズで前作があるのを
    知らず、たまたま手に取った本。読みやすく面白かった。事件の解決そのものじゃなくて、その事件に関わった人の心の物語集。

  • 音道の短編集。
    通勤途中に読むのにちょうどよかった。
    だんだん、登場人物に愛着が湧いてきた。

  • 久しぶりに音道貴子シリーズを読みたくなって、読んでたかどうかはっきりしないまま、短編が入ってるのを借りてきた。いくつか読んだことがあるから「音道貴子」とおぼえてるわけだが、読みはじめて、これは初めて読むような…と思い、しかし途中で、読んだことがあるような…と思いながら、機動捜査隊に所属する音道の、事件との関わりを読む。

    機動捜査隊というのは、110番があったら現場へいちはやく駆けつける部署で、音道はときに血の海を見、遺体をまえに被害者の無念を思う。「ケイサツ」といっても、いろんな部署があって、いろんな働き方があるんやなあと、一人暮らしの音道の生活を垣間見て思う。

    宮城県の外れへ嫁いだ友人が若女将をつとめる小さな旅館で、音道が休んでしばらく過ごす日々を書いた「山背吹く」。かつては故郷の星だった相撲取りのガンちゃんが人を殺してしまった。服役し、仮出所したガンちゃんを受け入れたのは元後援会長の酒屋の旦那。音道は、そのガンちゃんの姿、暮らしぶりを見て思うのだ。

    ▼罪を犯した人と接することは、貴子にとって日常の一こまになっている。だが、罪を償い、再び世間に溶け込もうとする人の姿というのは、初めて見た気がした。(p.155)

    公園の砂場で子どもが死んだ事件を追っていくと、警察官夫婦の家で起こっていた虐待がみえてきた「聖夜まで」。その警察官夫婦の妻のほうは、音道の親しい先輩でもあった。"あの人に限って"というようなことはないんやなーと思うとともに、先輩の夫が音道とこんなやりとりをするところには、つい、「だからか」と思ってしまった。

    ▼「子どものいない人には分からないかも知れませんがね、子どもが小さいうちは、必要なのはほぼ百パーセント、母親なんですよっ。子どもにとっては、母親がすべてなんです!」
     「その母親が、どうして最愛の子どもに暴力を振るわなきゃならなくなるか、それが夫の責任だとは、思わないんですかっ」(p.276)

    やっぱり前に読んだ気がするなあと思ったら、7年前に単行本で読んでいた。

    (7/11了)

  • 衝撃的な前作の余波はどこにいった?
    と肩透かしを食らってしまうが、
    大丈夫、ちゃんとその件は、後で出てきますから。

    事件性はほとんどないが、
    最初の「未練」が一番ぐっと来たかな。
    おいしいカレーが食べたくなるいい話だ。

    というよりは、他の話が少し辛すぎる。
    「山背吹く」も話としては良かったけど、
    音道貴子の諦観がちょっと胸が痛い。

  • シリーズ短編集第二弾

  • 「聖夜まで」の衝撃が心をザワザワさせられた。
    なんで、誰かなんとかできなかったのか。
    誰が悪いのか。
    やりきれない。

    短編は彼女の私生活も多々見えて長編とは違うよさがあると思った。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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