- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102071052
感想・レビュー・書評
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頭木弘樹"絶望名人カフカの人生論"
カフカの翻訳を手がける著者は、学生時代にカフカ全集を少しずつ買い集めるのを楽しみとしていたが、その文学作品とは異なる日記や手紙の類はスルー。
のちカネッティのカフカ書簡分析『もう一つの審判』を読み、カフカの手紙の面白さに気づくも時すでに遅し。当のカフカ全集はいまは古本でしか手に入らないという。
そこで著者は、本書をとりまとめ、いまや古本でしか手に入らないカフカの手紙や日記のエッセンスの紹介をこころみる。
○カフカほど絶望できる人は、まずいないのではないかと思います。カフカは絶望の名人なのです。誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはき、誰よりも前に進もうとしません。しかし、だからこそ、私たちな彼の言葉に素直に耳を傾けることができます。成功者が上からものを言っているのではないのです。
○君は君の不幸の中で幸福なのだ。
(親友マックス・ブロートからの手紙)
○生きることは、たえずわき道にそれていくことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない。
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カフカののこした言葉には星★いつつをつけたい。
しかし、解説には星★ひとつ。
解説がカフカの絶望をあらわしていることばたちを破壊してる気さえするので、総合的に星ふたつといったところ。
カフカの絶望っぷりネガティブぷりにひたりたくてよんだのに…。
読みやすさ分かりやすさを重視したのか、解説は現代人の価値観によってかかれているような気がします。
当時の社会的背景や、カフカの個人的背景などの考証を中心に解説してほしかったです。
そのため、いまいちカフカの絶望ぶりにひたれませんでした。