シーシュポスの神話 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102114025

感想・レビュー・書評

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  • 読み進めるのが難しく少しずつ読みました。
    後半へいくほど高揚感が高まり、
    読後には爽やかな気持ちになりました。

  • 11月24日 成田くん紹介

    生きる不条理性を超越したシーシュポスについて、気鋭カミュによるによる論証

    • shigamedさん
      意味ない苦行を延々とし続けることは拷問に等しい.しかし,カミュはそこに人間の真理を見出すのだという.カミュ,熱い!
      意味ない苦行を延々とし続けることは拷問に等しい.しかし,カミュはそこに人間の真理を見出すのだという.カミュ,熱い!
      2011/12/06
  • 日本で言う賽ノ河原ですな。繰り返し繰り返し同じ現象をすると頭がイカレるっていいますね。不条理だ。不条理だ。てか、カミュの作品なのにカフカの解説はいってません?これ?不条理だ。

  • 不条理についての考察が前半でなされています。
    カミュは繊細で優しくて大好きな人間です。
    ゆっくりしっかり読み進めたいと思います。

    不条理は西田幾多郎先生の絶対矛盾自己同一性と一致する部分が多いように感じます。

  • 難解な本である。思考の水平線をカミュと同じ高さに保ち続けないと、論理を維持するのが困難だ。
    自分が10代に考えていたことを明らかにしてくれた箇所があり、深く感動した。

  • 人間は終わりの見えない、無目標の作業をする時が一番つらいらしいです。そんな類の話を、わざわざ難しく書いています。でも今作は少し神話に題材を置き、自身の哲学を出すあたりはさすが。痛烈なことを言いながら、決して声は荒げない、紳士カミュに座布団一枚!

  • 否応のない現実

  • カミュが自らの文学の主題である不条理について論じた、哲学的エッセイ。

    カミュは「不条理」を次のように捉えている。人間には世界を理性(logos)に基づいて意味付けしようとする本質的な志向性があるが、世界の側は人間の理性を一切受け付けずこの志向性を常に裏切る。このように人間と世界が相対立した状態、人間と世界を結ぶ唯一の関係性が、「不条理」である。この不条理を自覚してしまった人間にとって、人生は生きるに値するのか。不条理は人間に自殺を要求するのか。これが本書の唯一の問題である。この問いに対峙するに際して、カミュは断固として不条理から目を逸らさない、不条理の自覚を手放さない。ヤスパース・シェストフ・キルケゴール・フッサールの"実存哲学"は、不条理(=人間と世界の和解不可能な絶対的断絶)を解消してしまおうとしている(「飛躍」「(生を超えたものへの)上訴」と表現されている)として「哲学上の自殺」であると批判される。

    問いに対してカミュは答える。不条理を自覚しそれと不断に対峙し続けねばならぬ。反抗せよ。自殺は不条理に対する屈服である。人間は世界に対して意味を付与しようと反抗し続け・そして敗北し続けよ、不条理というその反抗の絶対的な不可能性を自覚しつつ、その上でなおその不条理に対峙することを決して放棄することなく。希望などない、何も解決しない、問題は先鋭化されるばかりだ。しかし「こうした反抗が生を価値あるものたらしめる」。

    更に論を進め、人間の凡ゆる秩序付与を世界が峻拒するという不条理こそ、自由の根拠だとする。そして、凡ゆる価値判断が無効となり事実判断のみが為される不条理のもとで「重要なのはもっともよく生きることではなく、もっとも多くを生きることだ」「自分の生を、反抗を、自由を感じとる、しかも可能な限り多量に感じとる」ことだ。不条理を自覚し、瞬間(「現在時」)を生きよ(「明日というものはない」←連続的な時間の継起という観念は生を目的-手段連関で埋め尽くそうとする合理性による意味付与から生じる。『美と共同体と東大闘争』参照)。

    私は、不条理というものを冒頭に書いたカミュの定義とは若干異なる仕方で捉えていた。則ち、「logos(理性、言語、論理、自己意識)による世界の対象化は虚偽であり私はそれを否定しようとするが、否定を遂行した瞬間その対象は logos による別の規定を不可避的に受けるしかなく、それがまた虚偽として否定の対象となり、以下この否定運動が無限に続き・決して何らか積極的な実体には到り得ない」という事態として(cf. 否定神学、ロマン主義的アイロニー)。人間は世界を覆う虚偽を否定し続け・そして敗北し続けよ、否定を完遂することの不可能性を自覚しつつ、その上でなお否定運動を決して放棄することなく。他にしようがない。これは、カミュの描く「不条理のもとでの反抗」という生の在り方に近いと思う。ただ、カミュは"人間"が世界を意味付与しようとして"世界"がそれを拒否するとしているが、私は"人間"が世界を対象化しようとして且つ"人間"がそれを否定するとしている点で異なる。また、カミュは自殺を認めないが、私は否定運動の極限に於ける自己否定としての自殺は・認めないとしたところで意味がないと思っている。こうした差異を自分なりに解釈し直した上でならば、カミュの描く「不条理のもとでの反抗」という生の在り方を、私は受け入れられる。

    そして、不条理を自覚し反抗という形で不条理を生き抜くことを通して、自分の運命は――自分を超越した何か(神など)ではなく――まさに自分自身が支配しているのだということを知る。そのとき、不条理を自覚し・それを肯定する以外にはないということを知ったシーシュポスと同様に、不条理を生きる人間は「幸福」である。 何と苦悩に満ちた「幸福」であろうか、その苦悩には自分独りで対峙する以外にないのだ。

    カミュの傑作。

  • 不条理を考察する。

  • 無知な自分には、全て理解することができなかった。
    大げさかもしれないが、人生を変えるだけのパワーをもった作品。
    人生は不条理だと感じ、劣等感を持つ人にこそ読んで欲しい作品。

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