エデン

著者 : 近藤史恵

• 新潮社 (2010年3月1日発売)

感想・レビュー・書評

[アトキンスの卵さんの感想 · 2012年10月14日]

著者ヒット作「サクリファイス」の続編。

スポーツものでありながら、ミステリー要素満載だった前作の続きということで楽しみにしていたが、ちょっと期待しすぎた。

面白くないわけではないが、いい意味の裏切り（どんでん返し）がなかった。

どちらかというと、次の作品（続編というよりスピンオフ）のほうが面白かった（ただしミステリーではない）のでそちらがお勧め。

[leroy-schwartzerさんの感想 · 2012年9月26日]

誓の所属するパートピカルディのスポンサーが撤退することになり、チームは解散となる
解散前の最後のツアーがフランス国内を一周するグランツール。誓はエースのミッコをアシストし、ピレネーで山岳賞を獲得する
そのツアー中、ミッコが落車でけがをしたり、フランスの期待の星ニコラと仲良くなったりするが、ニコラのチームメイトのドニが急死し、ドーピング疑惑が広がる
親友のドニを亡くしたニコラはツアーを離脱し、引退を口にするが、誓の説得で引退は撤回
誓はミッコに誘われ、ポルトガルのチームに移籍することになる

[skylarkingkyさんの感想 · 2012年9月25日]

これは面白い。ロードレースには詳しくないが、その魅力が伝わって来ます。
レース自体のスリリングな展開と、主人公のコテコテの日本人的価値観、美意識と自我との葛藤が読みどころです。
夢物語でなく、適当なレースの着地点であることも好感大。キモチよく読み進みました。

[hyoshi52さんの感想 · 2012年9月2日]

ロードレース物語の二作目「エデン」
新しいチームメイトとツール・ド・フランスを舞台に戦う白石の前に自国期待の新星「ニコラ」が現れる。白石はチームのエース「ミッコ」をアシストし勝利することが出来るのか！？
シリーズ二作目、今回はミステリー色は少なく問題を抱えながらも「ツール・ド・フランス」を戦い抜く白石の姿が描かれる。チームメンバーとの微妙な関係の中、チームに尽くすか、自分の将来をとるか白石の葛藤が気になって一気に読んだ。次の続編「サヴァイブ」につながる良い展開でした。

[横溝ルパンさんの感想 · 2012年8月16日]

前作はミステリー要素が大きかったですが、今作ではそれは薄まっています。しかし、その分自転車競技にかけるチカたちの思いが伝わってきて、優れた青春小説として楽しむことができました。

[ラメロウさんの感想 · 2012年8月10日]

第５回本屋大賞の第二位だった「サクリファイス」の続編です。（本作品だけでも楽しめますが）


今回の舞台はフランス、あのツール・ド・フランス。

思いっきり端折ってしまうと、主人公はアシスト（チームのエースのサポート役）としてツール・ド・フランスに出場し、様々な出来事に遭遇していくというストーリーですが、非常に面白かったです。

あまりに面白かったので、息抜きに少しづつ読むつもりだったが、正味半日くらいで、一気に読んでしまいました。


前作の「サクリファイス」はミステリー色の強い作品でしたが、本作はよりスポーツ（青春）小説寄りになっています。

ロードレース（特にグランツール）の雰囲気がとても良く出ていて、俄か自転車ファンの僕にはとてもリアルに感じられました。

ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなど、実際のレースをTVやDVDで見たことのある方なら、本作品がどれほど上手く臨場感を出すことに成功しているか、分かっていただけると思います。


ただその反面、ロードレースについて全く知識がない方には、少々敷居が高いかもしれませんね。

例えば、ロードレースにおいてのアシストの重要性がいかに高いのかとか、先行逃げ切りがいかに難しものなのかとか、「タイムトライアル」「プロトン」や「千切れる」とか言った用語とか。

しかし、文章自体は非常に読みやすいので、そういった専門用語に多少引っ掛かることはあっても、スラスラと読み進める事ができるのではないかと。


主人公が優勝を狙うチームのエースではなく、そういった華やかさとは対極にあるアシストにすることによって、より繊細で深みのある作品に仕上がっているではないかと思いました。


読後感もとても気持ちよく、いい作品だと思います。

[ぱくすぃーどさんの感想 · 2012年8月6日]

ロードレース、まだ一度みたことないけど
このシリーズを読むとロードレースという競技に
興味が湧いて仕方ない！

ミステリの要素もやっぱり一癖せつなさのある感じ。

ところどころにぐっとくる熱い言葉があるのもいいなあ。

[aoneko1q85さんの感想 · 2012年8月2日]

自転車のロードレースを舞台とした「サクリファイス」の続編。前作よりもミステリー要素はないが、スポーツ小説としてより深みを増したきがする。
日本ではあまり馴染みのない自転車ロードレースというスポーツの特殊性を活かした物語は、スポーツ選手というより人間を描くのに向いている。困難に直面した時の苦悩は、誰もが同じではないが誰もが抱えるものだ。そして楽園はその先かあるいはその中にあるのか、その場所もまた皆あって同じではないものなのかもしれない。
勿論、前作を未読でもひとつの小説として楽しめる。

[メグさんの感想 · 2012年7月22日]

前作から三年、日本を出てフランスのチームに入ったチカ（白石誓）は
チームの一員としてロードレースの最高峰であるツール・ド・フランスに
出場することになった。
しかしスポンサーが撤退するという事態になりチカのチームは存続の
危機を迎える。
長く英雄不在のフランスではツールドフランスに対しての人々の関心が
薄れ、撤退する企業も多いのだ。

そんな中、敵対するチームに若きフランス人のエース、ニコラが現れる。
自分が所属するチームのエース（フィンランド人）のミッコが勝つより
敵チームであろうともフランス人のニコラが勝つ方がフランス国内に
おいてのツールドフランスへの関心は高くなる。

チームが選択したのは敵であるニコラを勝たせること。
エースをアシストすることに誇りを持っているチカは悩む。

チカが選んだ選択は・・・
そしてそんな中またしても事件は起きる。


自転車レースの事もツール・ド・フランスの事も全く詳しくない
けれど読んでいくうちに何となく理解できるようにうまくルールや
レースの展開を盛り込んでくれています。

ミステリ的な要素は前作には及ばないけれどこれはこれで
チーム間の確執やロードレースの闇の部分（ロードレースに限らず
プロスポーツってこういうもん？）

そしてそれぞれの選手の人間模様。
チカの成長。己を差し出すアシストとしてのプライド。
駆け引きや思惑が複雑にねじれて最後まで飽きることなく読めました。

[tantanさんの感想 · 2012年7月7日]

このシリーズは、とにかく好き！ロードレースなんて全然興味なかったけど、この特殊な面白さは、ドラマティック♪薬物絡みの悲しい事件が起こるのは、ミステリー仕立てにするには仕方のないこと。それでも、小説の中で亡くなった人の死を引きずって、読んでてそれを思い出して涙するくらい強烈な印象を残す。未読の人がいたら、誰彼かまわず「騙されたと思って読んでみて！」とおススメしまくりたい、面白さです！！

[kayo-kさんの感想 · 2012年7月4日]

2012.7.4読了。図書館で借りる。

随分前に読んだ『サクリファイス』がとにかく面白かったので、読みたくて文庫待ちだったけど（笑）、図書館で発見！
前作程のインパクトはなかったけど、今作も面白かった。全く知らない自転車ロードレースの世界にしっかり入り込めた。
続いて『サヴァイヴ』へ。

[５１さんの感想 · 2012年6月30日]

サクリファイスでロードレースの面白さを教えていただいた上での続編。

ロードレースのストーリーの面白さ＋ミステリーとしての小説の面白さが合わさっていた前作と比べると、見劣りしてしまいました。脇を固める登場人物達も、前作の方がしっかり描かれていたように思えます。

それでも、すっかり主人公の未来に虜の自分。
応援しながら読み進める中で、世界トップレベルのレースの中でも優勝を目指すような立ち位置になって欲しいと願ってしまいます。

３作目も既に手元にあるので、早速次へ。

[leejiさんの感想 · 2012年6月23日]

「サクリファイス」の続編。舞台（白石が所属するチーム）は日本からスペインを経て、自転車ロードレースの本場フランスへ。
異国で山岳アシストとして活躍を続ける白石に、所属チームの危機、ライバル選手との交流が待ちうける。自分の軸をしっかりと持っている白石だが、ときに迷い悩む姿、行動、そして信念。どんでん返しとまでは言えないけど、「えっ！？」と読み止めてしまうシーンが何度かあり心地よい。
次の「サヴァイヴ」もすごく楽しみ。

[momokeitaさんの感想 · 2012年6月18日]

『サクリファイス』に続く自転車ロードレース物語第二弾です
《アシスト》として成功した白石誓はスペインに渡り現在はフランスのチーム『パート・ビカルディ』というチームに所属していますチームのエースはミッコというフィンランド人
彼は世界最大の自転車ロードレース【ツールド・フランス】で優勝を狙おうかという強豪レーサーです
このミッコを優勝させるために《アシスト》として孤軍奮闘しているのが白石誓というわけです
しかし、突然のチーム消滅の話が・・
誓の思いの中にずっと存在し続ける『チーム・オッジ』の元エース・・・
『サクリファイス』と比べるとミステリー感はなく青春ストーリーまっしぐらです
そして、誓の《アシスト》という役割への思いが色濃く表現されています
主役になりたい思いがない訳ではない
でも、屋台骨を支える縁の下の力持ち・・そんなことに喜びを感じる・・・
http://momokeita.blog.fc2.com/blog-entry-145.htmlより

[jesuspostmanさんの感想 · 2012年6月17日]

小説としての完成度とか、ミステリーとしての面白さとか、そのような評価はあえてしません。とにかく、日本ではマイナースポーツである自転車ロードレースが大好きな人にとってはたまらん一冊。☆5つは、ただの個人的な感想。小説の完成度に対する評価ではありません。これを読んで、ロードレースのファンが増える事を願うとともに、わたくしと共に諏訪湖一周の素人自転車レースをしてくださる方が現れることを期待する！

[ji0wtjさんの感想 · 2012年6月17日]

難解なスポーツ、ロードレースの解説書たりうる、サクリファイスに続く作品。ロードレースが観たくてたまらなくなる。

[かかおさんの感想 · 2012年6月16日]

サクリファイスの続編。
なかなか暗めの話だとおもうのですが、すっきりとした読了感。
スポーツ、特に長距離ものはこんな風に、自分と向き合い競技と向き合い精神的に戦うものなのですね。
エデンと定義したときは、なんだか恐ろしいような泣きたいような気持ちになりました。呪われた、と言いながらも、彼らはそんなエデンから逃れたいと思ってはいないのでしょう。
続編もでているようなので、また図書館で借りてこようとおもいます。

[kattebooksさんの感想 · 2012年6月3日]

『サクリファイス』の続編。

舞台は、ツール・ド・フランス。前作での主人公、白石誓（チカ）がフランスのチームに属してツール・ド・フランスに挑んでいるんですが、そこでまた色々とドラマが引き起こされます。この作品では、『サクリファイス』とは違い、サスペンス色はありません。ツール・ド・フランスの舞台裏を描いたスポーツ小説として仕上がっています。

『サクリファイス』の時には、まさか続編とは思わなかったんですが、この作品では、ちゃんと次に繋がるようになっていると思います。事実、サクリファイス三部作の締めとして『サヴァイブ』と言う作品はこの後に続いています。

『サクリファイス』の時も思ったんですが、非常にテンポの良い作品です。イッキに読んでしまいました。

[hannanさんの感想 · 2012年5月28日]

面白かった、もっと読みたい、自転車ブームだし
どんどん書いてほしい

[makoyanさんの感想 · 2012年5月14日]

ツールのアシスト選手にも勝てるチャンスは巡って来る。それでもアシストに徹するかどうかは自分の判断だ。信念を曲げなければ、信用はより絶大なものになる。しかし、いろんな駆け引きがあるので、己を信じて進むことこそ重要だ。

著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。