とにかくうちに帰ります

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103319818

感想・レビュー・書評

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  • 【収録作品】職場の作法(ブラックボックス/ハラスメント、ネグレクト/ブラックホール/小規模なパンデミック)/バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ/とにかくうちに帰ります
    先日の大雪の日、電車が止まって往生したのを思い出した。

  • 最初の「職場の作法」がなかなかおもしろかった。
    いいなぁ、田上さんも浄之内さんも。

    「とにかくうちに帰ります」は思ってたのとぜんぜん違う話だったけど、切実な気持ちはなんかわかるなぁ。
    荷物が重くても、疲れていても、家に帰るためならがんばれる。
    無印の「部屋でくつろぐ」のお菓子が無性に食べたくなる。

  • 「とにかくうちに帰ります」
    最初はどんな状況たよ、と思ったけど大雪の羽田空港で再開待ちの間に読んでたら途端に実感が出た。
    結局俺は飛行機乗れなかったんだけど、この物語は無事に終われたので救われた。

  • 大切な文房具を返してくれない定年間近のおじさん、微妙な成績のアルゼンチン出身フィギュアスケート選手を応援するOL、明日は別れた妻と息子に会う日なのに、大雨でうちに帰れないサラリーマン・・・職場での日々の小さな悲哀と歓喜、同僚とのすれ違いや結びつきを描いた物語集。

    身近にありそうな些細な出来事が描かれ、会話のような独り言のような軽い文章で綴られているため、さくさく読み進めることができた。表題作は、交通手段を絶たれて豪雨の中全身ずぶ濡れになりながらひたすら歩いて家を目指す話である。「給料も今のままでいいし、彼女もできなくていいから、部屋でくつろぎたいんです!」「べつに愛は欲しくないから、家に帰りたい」「うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい」「自分と周囲の人たちの健康を願うように、うちに帰りたい」と登場人物たちが心情を明かし、その切実さに思わず笑ってしまった。目先だけのことを言いきってしまう様子に、概ね人間はわがままな生き物である、と改めて感じた。

    また非常事態の中で、運命を共にする人と人との距離がぐっと縮まる様子が上手く描かれていた。今は同志でも明日からは赤の他人という、一時の連帯感が面白かった。

  • OL鳥飼の社内日々が綴られた連作短編集と、
    大雨の日に必死でうちに帰ろうとする人たちの話。
    「とにかくうちに帰りたい」うちに何かある訳じゃないけど分かる。分かるわー。
    作者の働く人の話はリアルで楽しくて好きだ。

  • どこにでもあるような人間関係の描写が細かくて笑える

    田上さんの様な先輩に出会いたい!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      津村記久子、最近お気に入りになる。この話は未読、、、近いうちに読みたい。。。
      津村記久子、最近お気に入りになる。この話は未読、、、近いうちに読みたい。。。
      2014/03/28
  • 前半は、小さな会社で起こる日常のさまざまのお話。
    って一言でいえばそれだけなんだけど、やっぱり面白いなー。
    ふと思ったけど、津村さんの作品って、小道具の使い方がすごーくうまい。
    主人公のお気に入りの万年筆(ペリカーノジュニア)とかはまあちょっと特別なんだけど、とにかく我ら庶民の生活圏のなかに実際にあるものがちょいちょい出てくる。
    登場人物も同じく、極端なキャラクターの人はいなくて、善人悪人、好き嫌いで分けることができないような、身近にいそうな人ばかり。
    そゆのが小説と現実の距離を縮めてくれてるので、自分の体験のように読むことができる。
    なので面白いんだろうなあ。

    後半は豪雨で帰宅困難になった人々の物語。
    とにかく家に帰りたい一心で雨の中を歩き続ける。
    一人暮らしをしたことのある人なら共感できると思うんだけど、家に帰って誰にも干渉されずに好きなものを飲み食いして、好きなタイミングで寝たり起きたりするしあわせって、結構至福だったりするもんねえ。
    そういう自己完結をさびしいと感じるタイプの人もいるだろうけど、ここではそういう時間をこよなく愛するタイプの人々なので
    家に帰りたいっていう気持ちが切実に伝わってきました。

  • 面白い!女がココロで思っていることの描写がとにかく上手い!ニヤリとする表現力に脱帽。この作家さん、いいです。ほかも読みたい

  • タイトル通り大雨の中とにかくうちに帰ります、話。最近ではだれにでもこういう体験、気持ち、あるんぢゃないかと思います。

    「べつに愛は欲しくないから、家に帰りたい」

    「うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋するように、うちに帰りたい」
    「おれも帰りたいです。自分と周囲の人たちの健康を願うように、うちに帰りたい」

    今度「うちに帰りたい」と思ったときに、どんな「~ように」が自分の中に沸いてくるか覚えておこうっと。

  • 津村さんは心の声の描写がほんとにうまいと思う。

    仕事中に悪態つきたくなったり、相手につっこみいれたくなったり、自分にもつっこんだり。
    ものすごく自然で、そうそう!そうなんだよ!
    って同調できる文章がいっぱいです。

    職場の同僚との距離感って絶妙で、会話も適度な感じの雑談で、でもたまに家でテレビみてて思わずメールしちゃう、というようなリアルな感じが良かった。

    特に何か残る本ではないけれど、仕事のあいまに読むにはいい感じです。

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞など。他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『水車小屋のネネ』などがある。

「2023年 『うどん陣営の受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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