本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103350910

感想・レビュー・書評

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  • 2015.5.27

  • 『古典不要論への反撃!?書評劇場』から。

  • 読んでいて本当に辛かった…!描写、どんな思想の上でどんな価値観のもと、どんなことが行われていたのか…漠然と描いていた「昔話のような世界の日本」がことごとく破壊されました。でもそれ以上に…あとがきにあった「幻想を捨てるとラクになる」「本当の過去は、そんなに都合がいいものとは限らなくて(略)(そういった実例を見ていくうちに)奇妙に勇気づけられる気持ちになった」おかげで、妙に読み終わった後スッキリ爽快と言うか…。しかし日本人の本質と言うか核の部分は実に根深い。現代のあれやこれなんか、本当に「善悪問わず現代人がやったていどのことは、とっくの昔に誰かがどこかでやっているもの」なんだなと。仕方ないとかこれでいいとは思わないし、2000年経っても変わらないものの存在を悲しくも思うけれど、過去を知ったことで今、なんかスッキリしてます(笑)個人的に…昔授業ではボロクソにしか言われなかった「生類憐れみの令」の見方が変わった、つーか悪法じゃなかったと知れたことがすごくプラス(*´∀`*)そして昔話にありがちな「おじいさんとおばあさんには子供がなく…」な描写も、簡単に子供を手放す描写も、すごく重く感じました。現代の事件例を出して説明してくれていたのもわかりやすかったです。

  • 図書館で借りた本。
    前回「昔話はなぜお爺さんとお婆さん~~」を読んで、気になった同著者の前作。
    「昔話は~~~」とかぶっているところもあって、するっと読み終えることができました。
    それにしても、現代に生まれて良かったと思う。冒頭の「はじめに」を読んだだけでも、そう思う。
    昔は良かったっていうのも、良かった所だけ思い出して、現状の嫌な部分と比較しているというのが、タネあかしなのかな。(あくまでも個人の感想です)

  • 帯文:”「昔はよかった」なんて大嘘です!?みんな古典に書いてある!” ”我らがご先祖様は、こんなにも残酷で、だけど強かった!”

    目次:はじめに、第1章 捨て子,育児放棄満載の社会、第2章 昔もあった電車内ベビーカー的論争、第3章 虐待天国江戸時代、第4章 本当はもろかった昔の「家族」、第5章 マタハラと呼ぶにはあまりに残酷な「妊婦いじめ」、第6章 毒親だらけの近松もの、第7章 昔もあった介護地獄、…他

  • 昔は良かったという俗説を完璧に打ち破るエビデンスが満載されている本だ.育児放棄、貧困ビジネス、虐待の連鎖、マタハラ、毒親、介護地獄、ブラック企業、家族同士の殺戮、ストーカ殺人、残酷な若者、心の病、動物虐待、見た目社会、金目の社会、、、古典文学に出てくるこれらの実態を見るに、「取り戻そうとしている日本」とは何なのか、改めて考えてみた.安倍に読ませたいな.

  • 古典に精通した著者だからこそ書ける、内容。巻末の参考文献の多さを見ても「読んで教えてくれてありがとう」という感じ。歌舞伎なんか見ると、大した理由でもないのに娘を遊郭に売ったりするシーンがあるし、近松心中ものも「でも、なんで死ぬかな」と、いろんな解説を読んでも芯から納得したことはなかったのだが、これを読んで、かなり納得した。
    歯の治療をする時、「現代に生まれてよかった」とはいつも思っていたけど、ここまで昔がひどかったとは・・・。「今昔物語集」も抜粋しか読まなければ、こういうことって知らずに過ごすわけだよね。
    それにしても、法や意識は変わっても、人間はあやまちを繰り返し、ちっとも変わらないんだな、としみじみ。

  •  平安初期の『日本霊異記』には、若い母親がネグレクトの果てに我が子を死なせそうになる話が。『源平盛衰記』の文覚の出家に至るまでの話はストーカー殺人だし、『古事記』のヤマトタケルノ命は兄を惨殺してるし…。「昔は良かった」という幻想を捨てた方が、ラクだし賢い対処法考えられるのでは!?という本。

  • 江戸時代以前の日本人は、今のアラブやアフリカ人程度の下劣さだったのか!?
    子供の待遇や命は相当軽視されていたようで、代わりに親を今より大切にしなければならない「人の目」があったようだ。
    心身症や鬱患者も比率的にそんなに現代と差が無かったのかも。
    「日本人の誠実さ」が形成されたのはいつ、何によってなんだろう?明治時代の教育?

  • 「少年犯罪が増えている」という言説を証拠をもって否定するところから説き起こし、古典文学によって、いかに「ひどい」ことが普通に行われていたかを示す。
    綱吉が、捨て子や病人の遺棄を禁じた話もあり、古代から近代まで、価値観によって歪んで伝わっている話も多いと思わせられる。

  • 勿論、昔の日本の社会が、今よりも生きるのに良かった訳は無い。軽々に、昔は良かったという話ではないと言うこと。
    それこそ、神代から江戸時代までの古典文学から、生活を浮かび上がらせる。
    色んな考え方の違いも見えて来て、面白い。

  • こういう風に読むこともできる、という程度に。

  • いつの時代も、家族はぶつかり合うし、子どもは残酷だし、人は見た目を気にするし、お金も大好き。

    昔にノスタルジーを感じるのではなく、「人間そんなもんだ」と目の前の人や課題に向き合うほうがよっぽど健康的。
    そして、昔に対して気負わず自分に向き合おう。

  • 20140526

  • 育児放棄、妊婦いじめ、児童虐待に動物虐待、家族同士の殺し合いをさせる(記憶に新しい尼崎の角田美代子事件とか)ストーカーに少年犯罪・・・現代ゆえの犯罪と思いきや、実は昔からあったと。
    実は人間って、長い時間をかけてだんだんと人格者になっていっているのかもしれないなぁ。まぁ、まだ上記のような犯罪はなくなってはいませんが。

  • 最近は特定の民族や国の人々について、歴史上の証拠を上げて、残忍で狡猾だとか決めつける趣旨の本を見かけるが、これは日本人が彼らより優しくて良い民族だと言いたいのだろうか?彼らと同じ歴史を歩んで来なかった者が、彼らより良い人間だというのはおこがましいと思う。人間は条件が揃えば何をしでかすか分からない。全く同じ立場になってみての行動で、はじめて評価が出来るのではないかと思うのだ。例えば自分個人についても、果たしてナチスの時代に生きていたら、どう行動したかなんて分からない。恐らくその他多勢と同じ行動をしただけだろう。この本を読んで、日本人とて特別ではない、人間の自分勝手で残忍な一面を知る事が出来る。

  • なんか途中からファミレスで気さくな物知りねーちゃんから蘊蓄利いてるような気分になった。身近な人の話や個人的な感想がちょいちょい挟まれるようになったせいか?

  • 表紙は「ねぎぼうずのあさたろう」の飯野和好さん。なんだか勝手にひどい話からほのぼのした話に転じるのだろうと想像して読むが、どうにもひどい話ばかりである。古典から読み解く、日本人のひどいところ。
    捨て子、子殺し、妊婦いじめ、ブラック企業。ただ、ところどころに、人や人外のやさしさというか間抜けさみたいなものが描かれていて、それが古き良き、という想像をさせてしまうのかもしれない、と…。
    でもさあ、美人は前世の罪が軽く、醜い人は罪が重い、などと宗教で定義されてはたまらない。そういうわけで、昔はよかった、なんてことないんじゃないの?って。
    日本神話はいきなり蛭児を捨ててしまうし、かつての日本は子どもをはじめ、命が軽かったし、差別がしたくてしたくてたまらなかったのだ。でも、決して「昔」と「今」の境目があるわけでもないし、僕らの間に脈々と受け継がれているんじゃないかなあ。

  • -2014/03/30
    「昔は良かった」と挨拶のように口にするが、昔話を思い出せば一目瞭然。姥捨山は棄老であり、一寸法師は障害者差別である。
    「青い鳥」のように、幸せは今ここにある。

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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