騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

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  • 新潮社
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106255

感想・レビュー・書評

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  • 桶川ストーカーの話と、北関東連続殺人事件の調査報道の話はさすがに、単行本の方が充実していてダイジェスト版でしたが、その他のエピソードも圧巻でした。中でも、最後の特攻隊の話は感動的で、そのお話でじっくり1冊本にしてほしいくらいでした。

  • 2016年、50冊目です。
    マスメディア、警察などの情報を鵜呑みにしてしまうことの恐ろしさが書かれている。要は、自分に入ってくる情報を自分でしっかり納得してあるいは正しく客観的にみて、判断することが大切だと論じています。
    足利事件や日系ブラジル人の殺人後の母国への逃亡、桶川ストーカー殺人事件などが取り上げられています。著者のすごい執念を感じるとともに、公的権力を持つ立場の人間のいい加減さや建前主義を感じます。人は立場に胡坐をかき、楽をしてしまうため、「調査」という手間のかかるプロセスを排除してしまう。これに歯止めをかけるのは、一人一人の正義感や良心によるしかないのかと嘆息してしまう。
    こういった書籍の読者を通して一人でも多くの良識ある人間を増やせればいいということなのかもしれない。

  • 著者は、桶川事件や足利事件を暴いたジャーナリスト。闇に埋もれてしまいそうな事件や警察の公式発表では見えない真実を自らの取材で明らかにする「調査報道」の第一人者だ。
    本書は、著者がこれまでにも著した桶川事件等だけでなく、小さな事件を含めて取材の過程や報道内容を綴ったもの。
    100を調べて10を書くという。報道することが叶わなかった事象も多くあるのだろう。地べたを這うような取材が心を打つ。
    ジャーナリストかくあるべし。これからも渾身の取材をぜひお願いしたい。

  • 「桶川ストーカー殺人事件」で桶川事件、「殺人犯はそこにいる」で足利事件について事件の真相を警察よりも早く暴いた衝撃的なルポを発表したジャーナリストが語る調査報道の極意。

    著者の報道の原点はタイトルの通り「騙されてたまるか」。真相が闇に葬られたり、捻じ曲げられることに、報道人として我慢できない。こうした怒りの衝動を発する一方で、できるだけ証拠を集め、間違いない結論に達さなければ、怖くて公にできないという臆病さも持つ。彼にとっては警察からの発表も簡単に鵜呑みにしない。

    真実を伝えなければならない調査報道に携わる者として、ピッタリの性格。それゆえに苦労して取材した結果もウラが取れなければ、容赦なくボツにしてしまう。

    そうした著者の12の調査報道が収められた本書。短編ミステリー集のような味わいがある。

  • レビュー省略

  • 冤罪事件と未解決事件。
    改めて、こんなにあるんだなと思いました。

    著者の調査報道はすばらしいですね。
    マスコミも間違ったことを報道することなく、
    事実確認をしっかりとしてもらいたいです。

    ・・・が、警察が発表してることは正しい。
    と思うのは当然か。
    でも、やっぱり真実が知りたいです。

  • 桶川ストーカー殺人事件、足利事件、北海道図書館職員殺人事件など警察の発表を不審に思い真実を追求していく著者(元Focus記者、現在日本テレビ所属)100取材し10わかったことを書くというのはいうは易しだが、実際に現場に行き、見れるもの会える人に会い、裏取りを地道に行っていることがわかる。
    警察、記者クラブがそれぞれ自分の利権を守っており、それぞれのケースに於いては必ずしも真実を追求する集団ではないのがわかる。

  • 「10取材して1を書け」の1が書いてあるのだと思う。息つく暇もなく読み終わってしまう。「裏取り」の大切さ、身にしみる。コミュニケーションの分野で仕事をしていると、昔より今の方が、事実確認の大切さは増しているのではないかと感じる。一方、ジャーナリズムや刑事事件、弁護士などの仕事をしている人が「裏取り」という言葉を使うのはしょうがないと思うけれど、一般の、しかもコミュニケーションの仕事の経験のない、文書校正を始めたばかりの人が嬉々として「裏を取る」なんて言葉を使っているのを聞くと、「何様?」「あなたは刑事なんですか?」と聞きたくなってしまった経験から、そういう仕事の人には「裏取り」ではなくて、別の表現を使って欲しいと思う。でも事実確認、以外の良い言葉が浮かばないです。この差別感、個人的なものなのかな。黒木メイサに「はあ〜?!」と言ってほしいわ。

  • 「調査報道」に対しての凄まじい程の執念さがよく分かりました。

  • 事件そのものよりもその報道の姿勢について述べているのが特徴。他社のマスコミ、事件での情報の与え手である警察についてここまで書いていいのか不安になるほどマイナスイメージが付きそうな本だった。小さな声に耳をかす、しっかり裏付けをとる。自分の仕事に対する姿勢を見直そうと、考えさせられる本だった。

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著者プロフィール

昭和23年生。皇學館大学学事顧問、名誉教授。博士(法律学)。
主な著書に、式内社研究会編纂『式内社調査報告』全25巻(共編著、皇学館大学出版部、昭和51~平成2年)、『類聚符宣抄の研究』(国書刊行会、昭和57年)、『新校 本朝月令』神道資料叢刊八(皇學館大學神道研究所、平成14年)。

「2020年 『神武天皇論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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