怒り(上)

著者 :
  • 中央公論新社
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レビュー : 311
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120045868

作品紹介・あらすじ

殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!

感想・レビュー・書評

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  • 八王子郊外で起きた夫婦殺害事件
    殺害現場に残された「怒」の血文字
    犯人は山神一也と分かっているものの逃亡、全国に指名手配中

    一重まぶたの鋭い目、頰に縦に並んだ3つのほくろ、左利き

    事件から1年後
    房総・東京・沖縄で3つの物語が並行して進んでいく
    房総の漁協勤務の槙洋平と娘の愛子そしてアルバイトの田辺
    東京の大手通信社勤務の藤田優馬と優馬の部屋に住転がり込んできた直人
    訳あって母と沖縄 波留間島に移住してきた泉とボーイフレンドの辰哉と謎の男 田中

    それぞれの日常に溶け込み、次第に心を通い合わせていく三人の前歴不詳の男
    ここへ来るまでは、どこで一体何をしていたのか?
    疑問が心に小さな渦となって、人々の不安を掻き立てる

    読者も折につけ、3つのほくろ、左利きの手ががりがちらつく
    犯人は、誰なのか?
    「怒」の血文字に込めた犯人の思いとは何なのか?

    刑事北見が惹かれる美佳の過去も気になる
    いろんな??が下巻で明かされるのだろうか

    犯人は誰なのかという興味ももちろんではあるが、3つのそれぞれの物語が重く、切なく、悲しく、読者に迫ってくる
    犯人だけではなく、それぞれの心にも言うに言われぬ「怒」が
    あるのではないか
    自分に対して、他人に対して、社会に対して・・・

  • 八王子で残忍な夫婦殺人事件が起き、犯人 山神一也28が逃亡して早や1年。犯人の特徴は①異様に鋭い一重の目②右頬に縦に3つ並ぶホクロ③左利き。話は各々 外房総の父娘、東京で大手通信系会社に勤めるゲイ、流れ流れて沖縄の離島で暮らす母娘、と関係ない地域での物語が展開して行き、更には犯人を追う八王子署の刑事も絡む。それぞれの話に どこか素性の知れない人間が強く絡んでいて読者の好奇心を煽って行く。
    やはりこの作者の上手さに読む手が止まらないままに(上)巻を読了。これらはいったいどのような収斂を見せるのでしょうかね?

  • 東京八王子の凄惨な殺人事件を縦糸に
    東京、沖縄、房総の3舞台で起こる話を
    横糸として紡がれていく物語。
    それぞれの場に現れる、
    生きてきた背景が全く見えない4人。
    東京、北見刑事が愛する女性。
    東京、排他的な愛を求める優馬と同棲を始める直人。
    沖縄、奔放な母に引きずり回される泉が
    出会う無人島で暮らす田中。
    房総、何かに追われるように
    自分を捨ててしまう愛子と
    そんな愛子を哀しい気持ちで
    接する事しか出来ない洋平たちの平凡な町に
    忍び込むように住み始める田代。
    少しずつ心を通おせようとする人々が
    得体の知れないものへと変容していく。

  • 八王子で起きた殺人事件。
    夫婦が殺害され、現場に残された「怒」の文字。
    逃亡を続ける犯人の山上一也。

    その事件から1年後のこと。
    遠く離れた3つの場所で3つのストーリーが展開されていく。
    そこには「山上?」と想像される人物が一人ずつ。
    誰が山上なの?
    どんどん引き込まれて、とまらない。

  • 八王子で起こった夫婦殺害事件。
    容疑者山神一也は一年経った今でもまだその足取りが掴めていない。
    廊下には被害者の血を使って書かれた言葉「怒」の文字が残されていた。
    「怒」の文字は何を意味するのか? 

    房総半島の港町浜崎に住む父と若い娘。
    東京の会社に勤めながら実はゲイである若い男。
    母親と共に沖縄の島に移り住んできた女子高校生。
    犯人山神を未だに追い続けている警察官。

    四つの視点と舞台から描かれ、それが頻繁に変わるため、最初は非常に読みにくい。
    短い章単位であちこちへ飛び、登場人物も多いので、それぞれのキャラを頭の中で纏めきるのがなかなか難しい。
    それでも、そこはさすがに現代の名文家吉田修一。
    少しずつながら話の展開に興味が湧いてくる。

    警察官を除く三つの場所に謎の男が一人ずつ登場してくる。
    当然その誰かが犯人山神一也なのだろうと推測できるが、それが誰なのか?
    ヒントと思しき会話や場面が合間に現れだす。
    ばら撒かれた数多くの伏線がどのように回収されていくのかが気になり、徐々に居ても立ってもいられなくなってくる。

    というあたりで、上巻は終了し、下巻へと続くのである。
    そんなわけで、この上巻の三分の二を過ぎたあたりから、ページを捲る手が早くなってくるのだ。
    さあ、どういう結末が待っているのか、下巻が非常に楽しみだ。

  • その男が誰なのか核心に迫っていくスリルがあります。吉田さんは人物、生活を浮き彫りにするのがうまいですね。どんどん引き込まれて、このまま下巻に突入です。

  • だれもまだそれほど怒ってない

  • さすがだなあ。前作以上に地方コミュニティの閉塞や重たい空気感が漂いながらミステリーとしてのエンターテイメント性がアップしている。映画化はある一点で大変困難だろう。キャラの、特に造形を脳内でイメージする小説ならではの設定。

  • 読了。
    ネットで東方神起のある曲について書いてあると知り、図書館でかりて。そしたら映画上映中のやつだったww

    読みやすかった。上下巻合わせて1日で読めた。というか返却日過ぎてたので急いで読んだんだけど。

    この巻では何か影のある人物が何人か出てくる。それぞれが、指名手配されている凶悪事件の逃走犯らしき人物のように思え、「こいつか?ん?逆にこいつ?」みたいな感じでどんどん読み進めることができる。

    そしてそれらの人物に関わる人たちにも不幸や悲しみやネガティヴな思いがまとわりついていて、暗い。

    まず最初の夫婦殺害事件のインパクトも強いのだけど。

    続きが気になってすぐ下巻に手を出すと思う。
    (161106)

  • 全力で信じることを試される人々の話。

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著者プロフィール

吉田 修一(よしだ しゅういち)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業後、スイミングスクールのインストラクターのアルバイトなどを経験。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞しデビュー。同作は第117回芥川龍之介賞候補にもなった。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞を同年「パーク・ライフ」で第127回芥川龍之介賞、2007年『悪人』で第61回毎日出版文化賞及び第34回大佛次郎賞、2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞、2019年『国宝』で第14回中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。2016年には芥川龍之介賞選考委員に就任している。その他の代表作に、2014年刊行、本屋大賞ノミネート作の『怒り』。2016年に映画化され、数々の映画賞を受賞。

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