- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121600042
感想・レビュー・書評
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約10年前の公務員試験勉強で構造主義を知ってからずっと興味があり、やっと本作に着手。
未開文化の紀行記録とは聞いていたが、ここまで直接的に構造主義に触れていないとは思わなかった。(読み込みが浅いのかもしれないが)
情景記述のの端々に、構造主義を思わせるものがあったが、よほど意識していないと読み飛ばされてしまうような程度だった。
個人的にはメインのブラジルの部分よりも、インドの文化とカースト制度に関する考察のほうが、面白く感じた。
全体を通して、現代でも一部にある、「フランス人がアジア人に接する際の意識」のようなものの底流を感じることができた。
以下、気になった点抜粋。
・文明社会は、それらのもの(未開人や未開の場所)が心の敵対者であった時には、恐怖と嫌悪しか抱かなかったにもかかわらず、それらのものを文明社会が制圧し終えた瞬間から、今度は尊ぶべきものとして祭りあげるという喜劇を、一人芝居で演じているのだ。
・すべての問題は、重大なものでも些細なものでも、いつも同じ一つの方法を適用することによってけりを付けられるということを学んだ。
・極めて短時間の観察が注意力を有益に訓練し、時にはむしろ、他の状況では長い間隠されたままになっていたかもしれない対象の幾つかの特質を捉えることが、観察者の利用しうる時間の短さのために必要とされる密度の高い集中によって、可能になるということを学んだ。
・白人は社会科学に頼っているが、インディオはむしろ自然科学を当てにしている。第2に、白人がインディをは獣だと宣言しているのに対し、インディオは白人が神かどうか疑って見ることで満足している。どちらも同じように無知に基づいているが、後者のやり方のほうが、明らかにより人間に値するものであった。
・残存する唯一の社会は、何もする能力のないものが、すべてを期待しながら生き延び、すべてを要求するものが何も提供しないような社会なのだ。
・われわれが耐え難いと判断する枠組みの中における変化であるかどうかは、事態の犠牲者にとって、対して重要でないことかもしれない。
・数というこの問題に、インドはおよそ三千年も前に直面し、カースト制度によって量を室に変換する方法を求めたのだった。それはつまり、人間集団を、彼らが並び合って生きてゆくことができるように分化させるのである。
・インドのこの大失敗は、ひとつの教訓をもたらす。つまり、あまりに多くの人口を抱えすぎたことによって、その思想家たちの転載にもかかわらず、一つの社会が隷従というものを分泌しながらでなければ存続できなくなったのである。
・一つの民族の習俗の総体には常に、ある様式を認めることができる。すなわち、習俗は幾つかの体型を形作っている。私は、こうした体型は無数に存在していないものであり、人間の社会は個人と同じく、遊びにおいても夢においても、更には錯乱においてさえも、決して完全に新しい創造を行うことはないのだということを教えられた。社会も個人も、全体を再構成して見ることもできるはずの、理論的に想定可能なある総目録の中から、幾つかの組み合わせを選ぶにすぎない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私にはちと難しい。。。
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豊かな修辞、学問的著作の原点、荒さや自己撞着をふくんだ吐露
・西洋文明の秩序と調和は呪われた副産物の排泄を必要とする=原子炉
・文明の大量生産
・自然、未開人=文明が制圧し終えると尊ぶべき物として祭り上げる -
自然、歴史、建物の詳細な描写が主であり、各地での出来事や人々との交流は皆無に近い。旅行記を期待すると楽しめないかも。
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物語文は苦手だが、レヴィストロースの思慮深い言葉にひかれる部分がたくさんある。
特に「どのようにして人は民俗学者になるか」、新世界の章が好き。
景観:人がそこにどのような意味を与えることも自由な一つの広大な無秩序として、そこに現れる。
生者と死者の間の関係について自らのため作る表象は生者の間で優勢な規定の諸関係を宗教的思考の面でかくし、美化し、正当化する努力に他ならない。
歩みを止めること。
人間を駆り立てているある衝動、必要という壁の上に口を開けている亀裂を一つ一つ人間の手に塞がせ、自らの手で牢獄をとざすことによって人間の事業を成就させようとしている、あの衝動を抑えること。
ベースを広げていけばどこかでは仲間になれる。敵対の根拠付けこそが敵対を生む?
若者: 騒々しく無遠慮
およそ最低と思われる俗悪さと手を握ってでも世の中を安全に渡っていこうとする心を砕く。
若年寄りは文学自然科学に多い。 -
構造主義といえば、レヴィ=ストロース。
一冊ぐらいよもうと思って、この厚い本をロンドンに持って行った。正解。日本にいたら他の本に移っていたかも。
正直言って、どこか名著なのかわからなかった。
第一印象。
(1)ブラジルの民族が分析されているが、なんとなく印象紀のようで、もうすこし網羅的に分析しないとあまり説得力がない。
(2)呪術師が限界と霊界の境にいるという話、そして外国人たる調査団は呪術師の家に泊めさせられた話はなんとなく、わかるような気がする。ヨーロッパ人も霊界に近いとおもったのだろう。(Ⅰp73))
(3)もしかしたら、レヴィ=ストロースは、奥地の民族を西洋文化から、上から目線で観察するのではなく、民族から西洋文化を観察するという対等性に特徴があるのかもしれない。(Ⅰp379)
(4)都市は自然と人工との合流点に位置している。(p202)
このあたりの境界性のとらえ方が斬新なのかもしれない。 -
ようやく第5部までを読了。
カデュヴェオ族についての記述では、社会構造が芸術として表現されているというところがたいへんに興味深かった。
芸術とはそういうものなのである。 -
--※詳細は<2>に
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詳細は?でまとめて。